33. 垂直プリズム順応試験は,遠見と近見で偏位量が異なる上下斜視患者において,融像性輻湊を解除して手術の程度を判断するために有用である

Contribution of vergence adaptation to difference in vertical deviation between distance and near viewing in patients with superior oblique palsy

Ohtsuki H, Hasebe S, Furuse T, Nonaka F, Nakatsuka C, Shiraga F. Am J Ophthalmol. 2002 Aug;134(2):252-60. doi: 10.1016/s0002-9394(02)01519-2. PMID: 12140032.

目的:vertical vergenceの順応を評価し,上下斜視患者において,視距離が垂直偏位の違いに関与するかどうかを明らかにする。

デザイン:前向き非比較研究

方法:片眼上斜筋麻痺患者84名を登録し,遠見と近見の上下偏位の差により,A,B,Cの3タイプに分類した。上下偏位を矯正するためにプリズム順応試験を2〜3時間行い,プリズム順応試験に対する垂直偏位の反応を3タイプ間で比較した。

結果:プリズム順応試験で5Δ以上の増加と定義された垂直輻湊順応は,遠見で13名(16%),近見で23名(27%)に確認された。3つのタイプのうち,輻湊順応は,遠見が近見を上回るBタイプに多かった。B型の9名(39%)がプリズム順応試験によりA型に変化し,そのうち7名は近見偏位が増加し,遠見と近見の差が小さくなった。

結論:垂直輻湊順応は遠見と近見の垂直偏位の差に寄与している。垂直プリズム順応試験は,遠見と近見で偏位量が異なる上下斜視患者において,融像性輻湊を解除して手術の程度を判断するために特に有用である。

※コメント
遠近の斜視角に差がある場合は垂直順応が関与している可能性があり,PATはその関与の判断に有用であるのと報告です。

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