171. 東アジア人と非東アジア人における正視眼の成長

Emmetropic eye growth in East Asians and non-East Asians

Yii FS. Ophthalmic Physiol Opt. 2023 Jun 27. doi: 10.1111/opo.13195. Epub ahead of print. PMID: 37368239.


目的:東アジア人(East Asians:EA)と非EAの正視者の眼軸長(axial length:AL)成長曲線を比較すること。

方法:正視特有のALデータ(光学的バイオメトリーで測定)を有する28の研究のメタ回帰を行った。正視は、球面等価屈折率(SER)が-0.50~+1.25Dと定義し、平均年齢が20歳以下の場合は、調節麻痺下で測定した。AL成長曲線(平均AL対平均年齢)は、まず加重非線形混合効果モデルを用いて全データセットに当てはめた後、民族を2段階のグループ化変数(EA対非EA)としてモデルを再度当てはめた。成長曲線パラメータにおける民族差は、Wald検定を用いて検定した。

結果:合計3331人のEAおよび1071人の非EA正視者(平均年齢:6.5-23.1歳)が組み入れられた。最終的なAL(差:0.15mm、95%CI:-0.04~0.35mm、p=0.15)、またはy切片を得るために最終的なALをオフセットする必要がある量で表される初期AL(差:-2.77mm、95%CI:-10.97~5.44、p=0.51)のいずれにおいても民族差の証拠はなかった。同様に、AL成長率(曲線の急峻さ)は民族間で差がなかった(差:0.09、95%CI:-0.13~0.31、p=0.43)。総合すると、AL成長率は6歳時の0.24mm/年から11歳時には0.05mm/年程度まで減少し、その後は光学的バイオメトリーの再現性(±0.04mm)を下回り、16歳頃(最終AL:23.60mm)には実質的にプラトーとなった。

結論:EAと非EAの正視者のAL成長曲線は同等である。

※コメント
正視眼の成長率はアジア、非アジア人で差がない。屈折のrangeが広いこと、年齢層の上限が25歳であることは、結果に影響を及ぼしている点のひとつである事は間違いないと思います。人種間の違いを見たいのであれば、小児期に絞った方が結果の解釈がしやすいと思いました。

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