330. DIMS (defocus incorporated multiple segments) レンズを装用した近視児童の眼軸伸長に関する年齢マッチ分析

Age-matched analysis of axial length growth in myopic children wearing defocus incorporated multiple segments spectacle lenses

Graff B, Lam CSY, Vlasak N, Kaymak H. Br J Ophthalmol. 2023 Nov 27:bjo-2023-324508. doi: 10.1136/bjo-2023-324508. Epub ahead of print. PMID: 38041675.


背景/目的:DIMS(Defocus incorporated Multiple Segment)レンズは、単焦点(single vision:SV)レンズと比較して、近視児童の眼軸長(axial length:AL)の伸長を抑制できることが知られている。しかし、治療目標である生理的なAL成長を達成するために、AL成長が十分に抑制されているかどうかはわかっていない。

方法:Lamらによって2014年から2017年にかけてすでに収集されたデータのうち、DIMSとSVレンズによるAL成長を、年齢をマッチさせた近視コントロールシステムに従って再評価した。各眼の治療開始1年後の個々のAL成長を、同じ時点の対応する年齢に対して色分けしてプロットした。2つの治療群は、年齢とベースラインALに基づいてさらに細分化された。

結果:全体として、DIMSレンズを装用した眼の65%(男性61%、女性70%)、SVレンズを装用した眼の16%(男性16%、女性16%)は、生理的AL成長率の範囲内にあった。DIMSレンズを使用した眼のAL成長率の中央値も生理的成長率の範囲内である。サブグループでは、DIMSレンズを装用した眼は、この治療目標に関してもSVレンズを装用した眼より優れていた。SVレンズを装用した小児のうち、年長児とベースラインALが高い小児は、生理的AL成長率を達成する可能性が最も低かった。

結論:DIMSレンズは、年齢やベースラインALに依存することなく、近視児童のAL成長率を生理的AL成長率のレベルまで低下させることができる。高年齢やALが高い眼の小児は、治療をしないことでALの成長が増加するリスクがある。

※コメント
年齢本来の成長(眼軸伸長)を考慮した上でDIMSレンズの効果を検証した結果、やはりDIMSレンズは抑制効果がありました、という報告です。

本文抜粋-
・このテーマについて既に知られていること
近視は、成人期に重篤な眼疾患や不可逆的な視力低下のリスクをもたらす。小児に適用される近視管理または近視抑制治療は、最終的な近視を可能な限り低く保ち、このリスクを最小限に抑えることを目的としている。DIMSレンズを含むいくつかの異なる近視治療法は、対照治療と比較して近視の進行と眼軸長(AL)の伸びを一定の割合で抑制できることが研究で示されている。しかし、成人期における眼疾患のリスクを最大限に軽減するための生理的AL成長という治療目標を達成するために、AL成長が十分に抑制されるかどうかはわかっていない。
・この研究で追加されたこと
65%のDIMSレンズは、近視児のAL成長率を正常なレベルである生理的AL成長率に近づけることができたが、単焦点(SV)レンズは16%しかこの治療目標に到達しなかった。SVレンズを装用した小児のうち、年長の小児とベースラインALが高い眼の小児は、治療初年度に治療目標である生理的AL成長率を達成する可能性が最も低かった。
・この研究が研究、実践、政策に与える影響
低年齢近視児だけでなく、高年齢近視児やベースラインALが高い眼の子どもも近視治療を受けるべきである。近視治療に関する今後の研究では、ベースラインALも含めるべきであり、個々の年齢を考慮してAL成長の評価を行うべきである。年齢をマッチさせた近視コントロールシステムは、小児のAL成長と研究グループ全体のAL成長の両方を評価するために使用することができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?