76. オルソケラトロジー治療中に高次収差の増加と調節精度の向上がみられたが,調節精度の向上と眼軸伸長の抑制に関連が認められたのは,治療開始後6か月間のみであった

The associations of accommodation and aberrations in myopia control with orthokeratology

Ding C, Chen Y, Li X, Huang Y, Chen H, Bao J. Ophthalmic Physiol Opt. 2022 Mar;42(2):327-334. doi: 10.1111/opo.12930. Epub 2021 Dec 5. PMID: 34866209; PMCID: PMC9300108.

目的:オルソケラトロジー(OK)が調節機能と収差に及ぼす影響を調べ,それらの相関関係を探り,近視コントロールにどのような役割を果たすかを明らかにすること。

方法:前向き症例対照研究。61人の小児をOK群(n = 30)と単眼鏡(SVS)群(n = 31)に分けた。OK群における調節力と眼球波面収差は,ベースライン時,OK装用1,3,6,9,12か月後,およびOK中止後1ヶ月(13か月目)に測定した。SVS群では,ベースライン時,3,6,12か月後に同様の測定を行った。眼軸長(AL),調節ラグ面積,球面収差(SA),コマ収差,全高次収差(HOA)を含む収差が分析された。

結果:OK装用中,各回の調節ラグ面積はベースラインより小さく(すべてp<0.01),各回の収差はすべて治療前より高くなった(すべてp<0.001)。OK治療1か月後,調節ラグ面積とSAの変化は有意な相関を示さなかったが(p = 0.16),OK中止後,これらの変化は相関を示した(p = 0.01)。OK群では,多変量回帰分析により,調節ラグ面積の変化は,最初の6か月ではAL進行と関連していたが,1年後の分析では関連していなかった。SVS群では,すべての期間において,調節ラグ面積の有意な変化や収差は見られなかった。

結論:HOAの増加と調節精度の向上はOK治療中にみられたが,OK中止後は減退した。調節精度の向上と眼軸伸長の抑制に有意な正の相関が認められたのは,治療開始後6か月間のみであった。

※コメント
オルソを使用することで高次収差が増加し,これは調節精度の向上と関連している可能性が考えられます。そして,調節精度の向上が短期的には眼軸伸長の遅れに関連していることを意味します。これは,調節ラグを減らすことを目的とした臨床的な光学的介入が,近視の進行を十分に制御できない理由を説明できるとのことです。

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