205. 小児内斜視の非手術続発性外斜視:多施設共同研究

Non-Surgical Consecutive Exotropia following Childhood Esotropia: A Multicentered Study

Colpa L, Khalili S, Kraft S, Bacal D, Hemptinne C, Yuksel D, Cossari A, Mireskandari K. Am J Ophthalmol. 2023 Jul 28:S0002-9394(23)00300-8. doi: 10.1016/j.ajo.2023.07.021. Epub ahead of print. PMID: 37517526.


目的:非手術続発性外斜視(Non-surgical consecutive exotropia:NCX)は、手術の介入なしに自然に内斜視(esotropia:ET)が外斜視(exotropia:XT)に転換する場合に起こる。高度の遠視を伴う早期発症の調節性内斜視で生じると考えられているが、その原因に関するコンセンサスは得られていない。我々は、NCXの臨床的特徴を報告し、保存的管理に対する反応を評価する。

デザイン:レトロスペクティブ、多施設観察ケースシリーズ。

方法:生後6か月以上で、初診時に内斜視と診断され、外科的介入なしに外斜視に転換した患者。感覚性斜視は除外した。年齢、視力、調節麻痺屈折、眼鏡処方、偏位量、両眼視を収集した。

結果:49人の小児が含まれ、ETとNCXの平均年齢はそれぞれ3.5±1.6歳と8.4±3.6歳であった。平均屈折異常は、ET時で+4.40±2.13D、NCX時で+4.05±2.74Dであった。屈折力低下は60%にみられ、高度遠視は35.7%のみであった。1人を除くすべての患者が遠見でXTを呈した。XTに対して、平均1.55±0.48Dの遠視処方の減少が認められた(N=17)。最終的に、43%が外斜視の手術を受けたが、屈折矯正を行った人と行わなかった人の割合は同程度であった。

結論:NCXは屈折性遠視でも非屈折性遠視でも起こるが、高度の遠視は症例の3分の1にしかみられない。平均して、外斜視への移行は5年以内に起こる。屈折矯正の効果はわずかである。予測危険因子は同定されなかった。この結果は、遠視に関連した原因説を覆すものである。輻湊系の役割など、屈折矯正以外の説明はさらなる研究に値する。

※コメント
外斜視への移行が5年以内というのは意外でした。経験則ですが、思ったよりも早いです。
もっと長い年月で外斜するイメージですが、backgroundの違いによっても左右されるのかもしれません。

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