69. 0.20mm/年をカットオフ値とする眼軸長の変化は,非進行性の近視と進行性の近視を区別することができる可能性がある

Axial length changes in progressive and non-progressive myopic children in China

Chen J, Liu S, Zhu Z, Bulloch G, Naduvilath T, Wang J, Du L, Yang J, Zhang B, Zou H, Xu X, He X. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2022 Nov 30. doi: 10.1007/s00417-022-05901-5. Epub ahead of print. PMID: 36449076.

目的:思春期の発達と水晶体補償により非進行性近視児(年間等価球面値(SE)進行度0.25D未満)では眼軸長(AL)は増加し続けるが,その量は不明であった。本研究の目的は,進行性近視と非進行性近視を正確に鑑別するためのAL変化量のカットオフ値を検討することである。

方法:2つのコホート研究から,6~10歳の近視で治療を受けていない小児計8,546人が登録された。光学式バイオメーターによってALとオートレフラクションによる調節麻痺下SEをベースライン時および毎年評価した。年間のAL変化を計算し,進行性近視と非進行性近視の年間眼軸伸長率のパーセンタイルを制限付き三次スプラインによる分位点回帰で推定した。ROC曲線下面積(AUROC),陽性予測値(PPV),陰性予測値(NPV)を適用して,進行性・非進行性近視の予測精度を評価した。

結果:8,546人の近視小児のうち,603人(7.06%)が非進行性近視であった。非進行性近視の年間AL変化量は中央値0.25mmで安定していたが,進行性近視の中央値は年齢とともに0.58mmから0.42mmに減少した。非進行性近視と進行性近視を区別するためのAUROCは0.88で,各年齢層で0.85以上であった。年間AL変化量(カットオフ値0.20mm/年)は,進行性近視の割合が高い進行性近視と進行性近視の割合が低い非進行性近視を予測する上で,PPVとNPVが有意に高いことがわかった。

結論:非進行型の近視児は,進行型の近視児に比べ,眼軸伸長が著しく少なかった。0.20mm/年をカットオフ値とするAL変化は,非進行状態と進行状態を区別することができ,進行状態を評価するための代替手段となり得る。

※コメント
年間0.02mmの眼軸伸長が近視進行群/非進行群を分ける,1つの境目,考え方になるとのこと。
中国 上海の6〜10歳の小児を対象としたデータ。
非常に面白い観点だと思いました。

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