119. 眼軸伸長は,年齢,屈折異常,性別,両親の近視によって異なる。本研究で推定された規範データは,仮想のコントロールグループとして機能する可能性がある(Chinese children's data)

Normative data for axial elongation in Asian children

Naduvilath T, He X, Xu X, Sankaridurg P. Ophthalmic Physiol Opt. 2023 May 3. doi: 10.1111/opo.13159. Epub ahead of print. PMID: 37132642.


目的:中国人小児の眼軸伸長に及ぼす屈折異常(refractive error:RE),年齢,性別,親の近視の影響を明らかにし,この集団の規範となるデータを作成すること。

方法:2007年から2017年にかけて中国で実施された8つの縦断研究のレトロスペクティブ分析である。6歳から16歳の4701人の参加者が,1,2,3年換算の進行データを提供した結果,近視,正視,遠視のそれぞれ26.6%,14.8%,58.6%の11262眼がデータセットになった。縦断的なデータには,眼軸長および調節麻痺下屈折値が含まれた。眼軸長を対数変換し,主効果と交互作用を含む一般化推定方程式を用いた指数関数モデルを作成した。モデルベースの推定値とその信頼区間(confidence intervals:CIs)が報告された。

結果:眼軸伸長率は,年齢が上がるにつれて有意に減少し,その減少率はRE群に特異的であった。近視の眼軸伸長率は,正視や遠視よりも高かったが,その差は年齢とともに減少した(近視,正視,遠視それぞれ,6歳では0.58,0.45,0.27mm/年,15歳では0.13,0.06,0.05mm/年)。近視になった人の眼軸伸長率はベースライン時に近視の人と同様であったが(10.5年で0.33mm/年,p = 0.32),近視にならなかった人では有意に低かった(10.5年で0.20mm/年,p < 0.001)。眼軸伸長は,男性よりも女性で,また,両親ともに近視の人は,片方の親が近視の人や近視でない人と比べて大きく,近視の人よりも非近視の人で差が大きかった(p < 0.01)。

結論:眼軸伸長は,年齢,RE,性別,両親の近視によって異なる。CIsを含む推定された規範データは,仮想のコントロールグループとして機能する可能性がある。

※コメント
本研究では,中国の小児の近視眼と非近視眼の大規模なデータセットを使用して,眼軸伸長が屈折異常の状態によって異なり,年齢,性別,親の近視の影響を受けることを示しています。
眼軸伸長の規範的推定値は,近視のリスクがある子供を特定し,すでに近視である子供の進行に対する近視コントロール戦略の影響を評価するために使用できます。
*注意点:今回データは都市部の中国人の小児のみから得られたものである

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