322. 親の近視と強度近視が就学前児童の遠視予備状態に及ぼす影響
The impact of parental myopia and high myopia on the hyperopia reserve of preschool children
Pu J, Fang Y, Zhou Z, Chen W, Hu J, Jin S, Liu X, Wang L, Feng J, Tong H, Xing S, Jiao Y. Ophthalmic Res. 2023 Nov 21. doi: 10.1159/000535193. Epub ahead of print. PMID: 37989114.
はじめに:本研究の目的は、北京遠視予備調査の大規模な中国人の就学前児童を対象に、親の近視および強度近視と子供の屈折およびocular biometryとの関連を探ることである。
対象/方法:この幼稚園をベースとした横断研究では、3~6歳の園児を登録した。調節麻痺下屈折、眼軸長(axial length:AL)、角膜半径(corneal radius:CR)を全児童に測定した。保護者には、屈折状態(近視なし、軽度近視:-3D未満、中等度近視:-3D以上-6D以下、強度近視:-6Dより大きい)に関するアンケートに答えてもらった。
結果:2053人の小児(男児1069人、女児984人)が登録され、平均年齢は4.26±0.96歳、平均等価球面屈折(spherical equivalent refraction :SER)は1.11±0.97Dであった。そのうち90.7%の子供には少なくとも1人近視の親がおり、511人(24.9%)の子供には少なくとも1人の強度近視の親がいた。SERは、親の近視の重症度が高くなるにつれて有意に低下した(P<0.001)。未就学児の近視は、親の近視と独立して関連していた(OR, 10.4;強度近視の親が1人、11.5;強度近視の親が2人)。年齢(OR=1.1)、性別(OR=1.7;女児)、近業時間(OR=1.2)、母親(中等度近視と強度近視のOR;1.4と2.0)および父親の近視(中等度近視と強度近視のOR;1.6と1.9)は、遠視予備を欠く独立した危険因子であった。
結論:親の強度近視は、就学前児童のSERの低さ、ALの長さ、AL/CR比の高さと関連していた。親の近視と近業は、高い教育ストレスにさらされる前に遠視予備状態を早く消失させる素因となる可能性がある。
※コメント
遺伝的要因が早期から影響していることを示唆する内容です。
このような遺伝的要因×近業等の環境因子が交わることで、より強い近視進行効果がでてくるというのがやはり事実なのかもしれません。