98. 近業距離が近いほど調節精度は悪くなる。これは,正視よりも早期発症の近視,特に未矯正の近視でより顕著である。眼鏡をかけることで,調節の閾値や感度,近業距離(30cm未満)での調節精度がある程度改善される可能性がある

The relationship between accommodative accuracy at different near-work distances and early-onset myopia

Yu QW, Zhang P, Zhou SB, Hu Y, Ji MX, Luo YC, You HL, Yao ZX. Zhonghua Yan Ke Za Zhi. 2016 Jul;52(7):520-6. Chinese. doi: 10.3760/cma.j.issn.0412-4081.2016.07.010. PMID: 27531113.


目的:早期発症近視児の近業距離の違いによる調節精度を観察し,調節精度と早期発症近視の関係を考察すること。

方法:症例対照研究。7歳から13歳の正視児37名,未矯正の早期発症近視児41名,矯正眼鏡をかけた早期発症近視児39名を対象とした。50cm,40cm,30cm,20cmの4つの近業距離における屈折異常と調節精度の測定を自動フォロプターの両眼融像クロスシリンダー(fusion cross cylinder:FCC)を用いて行なった。

結果:ほとんどの被験者が調節ラグを示し,その中には正視の小児も含まれていた。近業距離の違いによる全被験者のラグ比率は,それぞれ75.21%(50cm),87.18%(40cm),92.31%(30cm),98.29%(20cm)だった。すべての調節精度は悪化し,調節ラグ比とFCCの値は,距離の短縮に伴って増加した。調節精度の群間差は,30cm(χ(2)=7.852,P=0.020),20cm(χ(2)=6.480,P=0.039)で統計的に有意であった。グループ間のFCCの値は,30cm(F=3.626,P=0.030),20cm(F=3.703,P=0.028)で有意差があり,50cm,40cmでは認められなかった(P>0.05)。また,30cmと20cmのFCC値は,未矯正の近視児[1.25±0.44Dと1.76±0.43D]と正視児[0.95±0.52Dと1.41±0.58D]で統計的に有意差があった(P=0.012,0.008)。近視の程度と近業距離の違いによる調節精度の相関は,統計的に有意ではなかった(P>0.05)。しかし,近視の程度と20cmでの調節ラグ値(FCC)との相関は統計的に有意であった(r=0.246, P=0.028)。

結論:近業距離が近いほど調節精度は悪くなる。これは,正視よりも早期発症の近視,特に未矯正の近視でより顕著である。眼鏡をかけることで,調節の閾値や感度,近業距離(30cm未満)での調節精度がある程度改善される可能性がある。近業距離での調節精度の悪さは早期発症の近視とは関係ないかもしれないが,FCCの値(20cm)は早期発症の近視と関係がある。FCCの値が高いほど近視の程度は高くなる。

※コメント
早めの眼鏡装用とやはり適切な視距離が大切ということです。

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