35. 間欠性外斜視の約半数が非共同性(incomitance)を示した

Incomitance and Eye Dominance in Intermittent Exotropia

Adams DL, Economides JR, Horton JC. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017 Aug 1;58(10):4049-4055. doi: 10.1167/iovs.17-22155. PMID: 28813578; PMCID: PMC5559177.

目的:間欠性外斜視が第1眼位において交代固視する際に斜視角が変化するかどうかを調べる。

方法:前向き観察コホート研究。間欠性外斜視の被験者37名を対象に,非共同性の証拠となる検査を行った。ビデオトラッカーにより,中央の小さな標的を固視している間の各眼の位置を記録した。赤外線を通すシャッターで片眼を塞ぎ,両眼の連続追跡を可能にするcover-uncover testを実施した。各眼が固視している間,斜視角が測定された。非共同性との関連として,優位眼,固視安定性,偏位量のばらつき等の機能が評価された。

結果:平均斜視角は18.2°±8.1°であった。右外斜偏位と左外斜偏位の差は16/37人の被験者で検出可能であった。トラッキングエラーを考慮した場合,非共同性の平均幅は1.7°であった。調節努力,優位眼,固視安定性、偏位量のばらつきとは無関係であった。

結論:共同性は斜視を麻痺性あるいは制限のあるものと区別する特徴であると考えられている。予期せぬことに、cover-uncover test中のアイトラッキングにより,間欠性外斜視の被験者の約40%に非共同性が存在していた。これは外斜視の平均10%にあたり,最大で5°になることもある。手術による矯正を計画する際に考慮する価値があるかもしれません。

※コメント
間欠性外斜視の被験者の約半数が固視眼によって斜視角が異なる,非共同性を示していたという報告です。
この状態になるメカニズムは明確ではないようですが,内直筋が弛緩・伸展することによる力の非対称性が考えられています。
* 筋繊維の萎縮,サルコメアの乱れ,コラーゲンの蓄積などが明らかにされ 1,2),MRIでは筋容積の減少 3)を示している

1) Kim SH, Cho YA, Park CH, Uhm CS. . The ultrastructural changes of tendon axonal profiles of medial rectus muscles according to duration in patients with intermittent exotropia. Eye (London). 2008; 22: 1076– 1081.
2) Yao J, Wang X, Ren H, Liu G, Lu P. . Ultrastructure of medial rectus muscles in patients with intermittent exotropia. Eye (London). 2016; 30: 146– 151.
3) Hao R, Suh SY, Le A, Demer JL. . Rectus extraocular muscle size and pulley location in concomitant and pattern exotropia. Ophthalmology. 2016; 123: 2004– 2012.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?