344. 成人の斜視手術前後の両眼視機能

Binocular Function in Adults before and after Strabismus Surgery

Šneidrová J, Novotný T. Cesk Slov Oftalmol. 2023 Fall;79(6):296-302. English. doi: 10.31348/2023/32. PMID: 38086701.


目的:成人患者の斜視手術前後の両眼視の状態、眼球偏位量と方向を評価し、術後合併症の発生をモニターすること。

方法:Zlín(ズリーン)のTomas Bata(トマス・バタ)地域病院眼科で外科的治療を受けた58名の成人斜視患者を対象とした後方視的研究。手術前後のprimaryの眼球偏位量と程度、両眼のアライメント、手術後の両眼視の状態、術後合併症の発生について評価した。

結果:convergent strabismusの平均偏位は術前+23.46°、術後+6.6°、divergent strabismusは術前-21.5°、術後-1.48°、vertical strabismusは術前+12.5°、術後+3.75°、麻痺性斜視は術前+20°、術後+3°であった。術前には、最大63.9%の患者に両眼視がなく、31%に抑制、5.1%に融像を認めた。術前に立体視があった患者はいなかった。術後、39.7%に抑制、31%に融像、6.9%に立体視がみられた。術後に両眼視を経験しなかった患者は22.4%のみであった。58例中21例で、観察期間が3年以上あった患者のうち、術後に両眼視機能が改善または発達したのは12例、改善しなかったのは9例であった。第1群では、58.3%が追跡期間を通じて安定した偏位を示した。一方、第2群では33.3%にとどまった。斜視手術後の両眼視機能の改善は、術後偏位の長期安定につながると考えられる。

結論:成人患者における斜視手術は効果的で安全な方法であり、目の位置を調整する美容的な方法であるだけでなく、両眼視機能の状態を誘導または改善することが可能である。

※コメント
成人の斜視オペ後に両眼視の改善(向上)がみられることについては同意しますが、両眼視がでたからといって偏位が安定するかどうかは症例にもよりけりだと個人的には思っています。(平均するともちろん安定している結果にはなるかもしれませんが…)

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