124. 遠視性弱視眼では,血管密度および灌流密度が有意に低下していた。弱視治療後,遠視性弱視患者の血管密度および灌流密度は増加する
Evaluation of retinal microcirculation alterations using OCTA in hyperopic ametropic amblyopia patients before and after treatment
Rao T, Zou W, Hu X, He H, Luo W, You Z. Int Ophthalmol. 2023 Apr 21. doi: 10.1007/s10792-023-02707-0. Epub ahead of print. PMID: 37081133.
目的:光干渉断層計アンギオ(OCTA)を用いて,治療前後の遠視性弱視患者と健常児の網膜微小循環を比較し,遠視性弱視の病態を探ること。
方法:4~8歳の遠視性屈折性弱視18名を患者群,年齢をマッチさせた健常児18名を対照群として無作為抽出した。中心窩無血管帯(foveal avascular zone:FAZ)面積,周囲および円形度,黄斑表層網膜毛細血管叢の血管密度(vessel density:VD)および灌流密度(perfusion density:PD),黄斑厚,網膜神経線維層周辺厚,神経節細胞-内叢層厚を両群間で比較した。弱視治療6か月後,同じパラメータを再度測定した。
結果:遠視性弱視の中央部,内側,内鼻側,内側下部のVDとPDは,眼軸長調整後,対照群より低かった。治療開始6か月後,VDは外鼻側と外下側領域を除き,有意に増加した。中央部(p < 0.001),内上側(p = 0.001),内下側(p = 0.011),内耳側(p = 0.026)のPDが増加した。FAZの周囲と円形度はグループ間で有意な差があった。治療6か月後,FAZの面積と周囲は減少し円形度は増加した。
結論:遠視性弱視眼では,血管密度および灌流密度が有意に低下していた。弱視治療後,遠視性弱視患者の血管密度および灌流密度は増加し,微小血管系の異常が弱視の発症要因であることが示唆された。
※コメント
微小血管系の異常が発症の要因であるとの結論ですが,弱視の原因なのか結果なのかは議論の余地があると思います。形態的な変化があるという事はわかりました。