11. RLRLは治療期間中,持続的に脈絡膜の肥厚を引き起こす。3ヶ月の黄斑部脈絡膜厚の変化のみで,12ヶ月の近視抑制効果をそれなりの精度で予測することができる

Longitudinal Changes and Predictive Value of Choroidal Thickness for Myopia Control after Repeated Low-Level Red-Light Therapy

Xiong R, Zhu Z, Jiang Y, Wang W, Zhang J, Chen Y, Bulloch G, Yuan Y, Zhang S, Xuan M, Zeng J, He M. Ophthalmology. 2022 Oct 11:S0161-6420(22)00780-1. doi: 10.1016/j.ophtha.2022.10.002. Epub ahead of print. PMID: 36240954.

目的: 低レベル赤色光(RLRL)療法を1年間繰り返し行った近視児の黄斑脈絡膜厚(mCT)の経時的変化と,近視抑制に対する治療効果の予測値を評価すること。
デザイン:多施設共同無作為化比較試験(RCT; NCT04073238)のデータの2次解析。
参加者:mCT測定が可能であった5施設のうち2施設でRCTに参加した8~13歳の近視小児。
方法:650nmの赤色光を発する家庭用デスクトップライト装置を用いて,低レベルの赤色光治療を繰り返した。ベースラインと1,3,6,12か月後のフォローアップ時に,SS-OCTで脈絡膜厚を測定した。視力,眼軸長(AL),調節麻痺下等価球面値(SER)および治療コンプライアンスが測定された。 主要アウトカム評価:ベースラインに対する1,3,6,12か月後のmCTの変化,および近視コントロールとの関連。
結果:120名の小児が解析に含まれた(RLRL群:n=60,単焦点メガネ群:n=60)。RLRL群では,ベースラインからのmCTの変化は1年以上にわたって正の値を示し,1ヶ月目に14.755μmの最大増加,3ヶ月目に5.286μm,6ヶ月目に1.543μmと徐々に減少し,12ヶ月目に9.089μmとなった。SVS群では,mCTの薄層化が認められ,ベースラインからの変化は,1,3,6,12ヶ月目にそれぞれ-1.111,-8.212,-10.190、-10.407μmであった。満足な近視コントロールは,ALでは年間進行率が0,0.05,0.10mm未満,SERでは0,0.25,0.50D未満と定義された。3ヶ月のmCTの変化のみを含むモデルは,12ヶ月間の満足な近視コントロールの予測識別力を持ち,曲線下面積は0.710-0.786であった。年齢,性別,ベースラインのALまたはSERを加えても,モデルの予測性能は有意に改善されなかった。
結論:この多施設共同RCTの解析では,RLRLは治療期間中,持続的に脈絡膜の肥厚を引き起こすことがわかった。3ヶ月の黄斑部脈絡膜厚の変化のみで,12ヶ月の近視抑制効果をそれなりの精度で予測することができる。

※コメント
引き続きRLRL療法の報告です。この方法で脈絡膜が肥厚し,近視進行が抑えられる可能性があるとの事。機序は不明ですが,非常に興味深い内容です。


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