294. 機械学習モデルによる強度近視眼の長期視力予測

Machine Learning Models for Predicting Long-Term Visual Acuity in Highly Myopic Eyes

Wang Y, Du R, Xie S, Chen C, Lu H, Xiong J, Ting DSW, Uramoto K, Kamoi K, Ohno-Matsui K. JAMA Ophthalmol. 2023 Oct 26. doi: 10.1001/jamaophthalmol.2023.4786. Epub ahead of print. PMID: 37883115.


重要性:強度近視は、その有病率の上昇と、病的近視によって引き起こされる重篤な視覚障害の潜在的リスクにより、世界的な関心事となっている。人工知能を用いて将来の視力(visual acuity:VA)を推定することは、臨床医が視力低下のリスクが高い患者を事前に特定し、監視するのに役立つ可能性がある。

目的:強度近視患者の3年後と5年後のVAを予測する機械学習モデルを開発すること。

デザイン、設定、参加者:このレトロスペクティブな単一施設コホート研究は、3年後および5年後の最高矯正視力(best-corrected VA:BCVA)が判明している患者を対象に行われた。これらの患者の眼科検査は2011年10月から2021年5月の間に行われた。一般情報、眼科基本情報、眼底およびOCTに基づく近視黄斑症のカテゴリーを含む34の変数を、解析のためにカルテから収集した。

主な転帰と測定: 3年後および5年後のBCVAを予測する回帰モデルを開発し、5年後の視覚障害発症リスクを予測する2値分類モデルを開発した。モデルの性能は、弁別指標、キャリブレーションベルト、決定曲線解析により評価した。相対変数の重要性は、説明可能な人工知能技術により評価した。

結果:967人の患者(平均[SD]年齢、58.5[14.0]歳;女性678人[70.1%] )の合計1616眼がこの解析に含まれた。その結果、サポートベクターマシンが3年後のBCVAを最もよく予測し(R2=0.682;95%CI、0.625-0.733)、ランダムフォレストが5年後のBCVAを最もよく予測した(R2=0.660;95%CI、0.604-0.710)。5年後の視力障害リスクを予測するためには、ロジスティック回帰が最も良好であった(受信者動作特性曲線下面積=0.870;95%CI、0.816-0.912)。ベースラインのBCVA(logMARオッズ比[OR]、0.298;95%CI、0.235-0.378;P<0.001)、近視性黄斑新生血管の既往(OR、3.290;95%CI、2.209-4.899;P<0.001)、年齢(OR、1.578;95%CI、1.227-2. 028;P<0.001)、およびカテゴリー4の近視性黄斑症(OR、4.899;95%CI、1.431-16.769;P=0.01)が4つの最も重要な予測変数であり、5年後の視力障害のリスク増加と関連していた。

結論と関連性:本研究の結果は、臨床情報と画像情報に基づき、強度近視眼の長期的なVAを正確に予測するモデルを開発することが可能であることを示唆している。このようなモデルは、将来の視力に関する臨床評価に使用できる可能性がある。

※コメント
将来的な視覚障害に関する予測は非常に臨床的意義が強いと思います。この手の研究・報告がどんどん世に広まり、有効活用されていくのを願う次第です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?