316. 強度近視性斜視に対する上直筋-外側直筋loop myopexy術後の異なる注視方向における眼圧変化

Intraocular pressure changes at different gaze positions after superior rectus muscle-lateral rectus muscle loop myopexy in highly myopic strabismus

Arai S, Suzuki H, Hayashi S, Inagaki R, Haseoka T, Hikoya A, Komori M, Shimizu T, Hotta Y, Sato M. Jpn J Ophthalmol. 2023 Nov 15. doi: 10.1007/s10384-023-01032-4. Epub ahead of print. PMID: 37966564.

目的：強度近視性斜視（highly myopic strabismus：HMS）における上直筋-外直筋（superior rectus muscle-lateral rectus muscle：SR-LR）loop myopexy（筋移動術）前後の異なる注視位置における眼圧の変化を評価すること。

研究デザイン：非ランダム化臨床前向き介入試験。

方法：SR-LR loop myopexyを受けたHMS患者14例（18眼）を3群に分けた： 100⊿未満（軽度ET群）、100⊿以上（重度ET群）、100⊿以上で内直筋（MR）の後退を同時に行った（重度ET＋MR群）。眼圧は、各群の正面視、外転位、内転位で術前と術後に測定した。

結果：軽度ET群では術後眼圧に変化はなかった。眼圧は、重度ET群では外転位（20.0±2.1→16.0±1.9mmHg、p＝0.043）、重度ET＋MR大群では外転位（22.2±5.9→15.6±4.3mmHg、p＝0.048）および正面視（15.8±5.0→10.2±2.8mmHg、p＝0.043）で有意に低下した。外転位と内転位における眼圧の術前の有意差は、重度ET群（7.4±3.4mmHg）と重度ET＋MR群（10.0±5.5mmHg）で術後に消失した（それぞれ3.2±2.8mmHgと3.6±1.7mmHg）。外転位と内転異位の眼圧差は全群で同様であった。

結論：SR-LR loop myopexyは、HMS患者において、外転位と正面視で眼圧を低下させた。

※コメント
強度近視性内斜視は正面から外方を向くときに眼圧が上がることがあります。SR-LR loop myopexy（筋移動術）（横山法）によって、その眼圧上昇を軽減（正常化）することができるという報告です。