92. 単焦点眼鏡の使用は弱度近視の子供の近視進行に影響を与えない

Single-vision spectacle use and myopia progression in children with low myopia, a propensity score matching study

Zhang B, Chang P, Lin L, Qu J, Zhao Y. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2022 Apr;260(4):1345-1352. doi: 10.1007/s00417-021-05423-6. Epub 2021 Oct 9. PMID: 34625845; PMCID: PMC8500818.


目的:弱度近視の小児において,単眼鏡の使用が近視の進行に与える影響を調査すること。

方法:MYOSOTISは,中国杭州市の2つの地区の小中学校全46校を含む,前向きな近視スクリーニング調査である。1対1の傾向スコアマッチング(propensity score matching:PSM)の後,1,685組の弱度近視の生徒が含まれた。グループ1はベースライン時に眼鏡を使用していない1,685人,グループ2は両方の調査ラウンドで眼鏡を使用している1,685人で構成された。屈折は非調節麻痺屈折で調べ,両眼の平均等価球面値(SER)を分析した。近視の進行は,2回の調査間のSERの平均変化率(r∆SER)を評価し,2つのグループ間で比較した。

結果:PSM後,ベースライン時の年齢,性別,SER,未矯正視力(VA)に両群間で有意差は認められなかった。近視の進行については,r∆SERは両群間で有意な差は認められなかった(-0.67±0.97 vs -0.69±0.81 D/year,P=0.448)。年齢,性別,SER,VAの調整後でも,両群間のr∆SERの差は有意ではなかった( -0.031, 95% CI -0.089 ~ 0.028 D/year, P=0.302)。年齢とSERで層別化したサブグループ解析,および感度分析でも,両群間の近視進行に有意差はなかった。

結論:本研究において,単焦点眼鏡の使用は弱度近視の子供の近視進行に影響を与えないことを示している。視力が日常生活に支障をきたしている場合,弱度近視の子供には眼鏡が推奨される。

※コメント
非調節麻痺下ではありますが,弱度近視者は眼鏡を使用してもしなくても,近視進行の加速・遅延に影響を与えないとのことです。

以下,baseline data(Group 1:Group 2)
平均年齢(歳):11.0 ± 2.0:11.0 ± 1.9
屈折値(D):− 1.86 ± 0.63 :− 1.84 ± 0.61
裸眼視力(logMAR):0.45 ± 0.18:0.44 ± 0.16 (小数でおよそ0.3-0.4)

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