290. 眼科におけるスマートフォンアプリケーションの臨床的有用性: 系統的レビュー

Clinical Utility of Smartphone Applications in Ophthalmology: A Systematic Review

Nagino K, Sung J, Midorikawa-Inomata A, Eguchi A, Fujimoto K, Okumura Y, Miura M, Yee A, Hurramhon S, Fujio K, Akasaki Y, Hirosawa K, Huang T, Ohno M, Morooka Y, Zou X, Kobayashi H, Inomata T. Ophthalmol Sci. 2023 May 31;4(1):100342. doi: 10.1016/j.xops.2023.100342. PMID: 37869018; PMCID: PMC10587618.


トピック:眼科における診断、治療、症状管理のために数多くのスマートフォンアプリが考案されている。スマートフォンアプリケーションの有効活用には、その目的、対象疾患、有効性、有用性を系統的に評価することが重要であるにもかかわらず、その妥当性、信頼性、臨床的有用性を正式に評価した研究はほとんどない。

臨床的意義:本報告では、眼科における臨床導入の可能性があるスマートフォンアプリケーションを特定し、その実用的有用性に関するエビデンスを要約する。

方法:1987年1月1日から2022年7月25日までに発表された眼科におけるスマートフォンアプリの治療効果、疾患検出、診断精度、疾患モニタリング、および有用性に関する原著データを報告する論文を2022年7月28日にPubMedおよびEMBASEで検索した。その質は、Joanna Briggs Institute Critical Appraisal Checklistを用いて評価した。

結果:最初の検索で510件の論文が得られた。115件の重複と285件の論文を包含基準および除外基準に基づいて除外した後、残りの110件の論文の全文をレビューした。さらに、71件の論文が最終的な質的統合に含まれた。すべての研究は、質が高い(87.3%)または中程度(12.7%)と判定された。それぞれの関心のあるアプリケーションに関しては、24件(33.8%)の研究が診断精度を評価し、17件(23.9%)が疾患の検出を評価し、3件(4.2%)が介入の有効性を評価していた。合計48のスマートフォンアプリケーションが同定され、そのうち27(56.3%)が公開されていた。そのうち17(35.4%)が眼科検査、13(27.1%)が疾患発見、10(20.8%)が医療従事者支援、5(10.4%)が疾患教育、3(6.3%)が患者の治療アドヒアランスを促進する機能であった。対象疾患は「弱視」(18.8%)が最も多く、次いで「網膜疾患」(10.4%)であった。また、2つ(4.2%)のスマートフォンアプリが疾患の治療において有意な有効性を報告した。

結論:このシステマティックレビューでは、眼科におけるスマートフォンアプリケーションの診断精度、疾患検出可能性、および有効性に関する研究について包括的な評価が示された。臨床的有用性が期待される48のアプリケーションが同定された。適切なスマートフォンアプリケーションにより、遠隔医療による未診断疾患の早期発見や、慢性疾患の遠隔モニタリングによる視機能障害の予防が期待される。

※コメント
素早く、手軽に、身近にという観点からスマホを利用した介入が拡がってきています。これからどんどん新しいものが出てくると思いますので、注目したいと思います。

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