112. 遠視小児において,中心近方型多焦点ソフトコンタクトレンズを使用することにより、眼軸伸長速度を加速させることができる

The effect of peripheral defocus on axial growth and modulation of refractive error in hyperopes

Beasley IG, Davies LN, Logan NS. Ophthalmic Physiol Opt. 2022 May;42(3):534-544. doi: 10.1111/opo.12951. Epub 2022 Feb 21. PMID: 35187687; PMCID: PMC9303555.


目的:多焦点ソフトコンタクトレンズを用いて,相対的な周辺遠視性デフォーカスを与えることにより,遠視児の眼軸成伸長と屈折異常が調節できるか確認すること。

方法:遠視の参加者を対照群と試験群に割り付けた前向き対照研究。対照群では,単焦点眼鏡で矯正し,眼軸長と屈折異常の変化を3年間追跡した。試験群では,最初の6か月間は単焦点眼鏡を使用し,その後2年間,2.00Daddの中心近方多焦点ソフトコンタクトレンズで矯正し,眼軸長と調節麻痺後の屈折異常が観察された。コンタクトレンズの中央の「near:近方」部分は遠見屈折異常を矯正し,「distance:遠方」部分は遠視性デフォーカスを引き起こす。参加者は,最後の6か月間は単焦点眼鏡に戻された。

結果:平均年齢11.13歳(SD 1.72)(範囲8.33-13.92)の22名が試験を完了した。最初の6か月間は,どちらのグループでも眼軸長に変化はなかった(p = 1.00)。2年間の介入期間中の眼軸伸長は,試験群では0.17mm(standard error of the mean:SEM 0.04)(p<0.0005),対照群では0.06mm(SEM 0.07)(p = 0.68)だった。眼軸長は,どちらのグループでも最後の6か月間は不変だった(p = 1.00)。屈折異常は,両群とも最初の6ヶ月間は安定していた(p = 1.00)。2年間の介入期間中の屈折異常の変化は,試験群で-0.26D(SEM 0.14)(p = 0.38),対照群で-0.01D(SEM 0.09)(p = 1.00)だった。試験群(p = 1.00),対照群(p = 0.63)ともに,最後の6か月間に屈折異常の変化は見られなかった。

結論:遠視小児において,中心近方型多焦点ソフトコンタクトレンズを使用することにより、眼軸伸長速度を加速させることができる。

※コメント
使用したコンタクトレンズは、
Biofinity multifocal contact lenses (CooperVision, coopervision.com), with a centre‐near design and an add power of +2.00 D
(昨日報告した研究と同じレンズ)
対象者のSEは+5.23D

(不同視のない)遠視児に対する周辺網膜への遠視性デフォーカスは眼軸伸長に効果はあるようです。

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