164. 単眼弱視眼と非弱視眼における短期パッチオクルージョン治療後の網膜と脈絡膜の微小血管の変化の比較

Comparison of Retinal and Choroidal Microvasculature Changes in Monocular Amblyopic and Non-amblyopic Eyes following Short-term Patch Occlusion Treatment

Kim JG, Lee SY, Lee DC. Curr Eye Res. 2023 Jun 11:1-9. doi: 10.1080/02713683.2023.2222231. Epub ahead of print. PMID: 37272669.


目的:単眼性弱視患者において、遮閉治療後の網膜および脈絡膜微小血管の短期的変化に弱視眼と非弱視眼の間で差があるかどうかを調べること。
さらに、これらの変化が臨床パラメータの改善と関連しているかどうかを明らかにする。

方法:12歳以下の単眼性弱視で、2~12か月間の遮閉治療を受けた患者のカルテを分析し、後ろ向きな縦断ペアアイケースコントロール研究を実施した。OCT angiography画像を用いて、弱視眼と非弱視眼の遮閉治療前後の網膜中心無血管幅(foveal avascular zone width)、網膜血管密度(vessel density:VD)、脈絡膜厚(choroidal thickness:CT)、脈絡膜血管性指数(choroidal vascularity index:CVI)を比較検討した。また、前述のパラメータと最高矯正視力(best-corrected visual acuity:BCVA)および立体視の変化との相関を分析した。

結果: 57人の患者から114の眼が登録された。ベースライン時、傍中心窩表在性血管叢のVDは0.994±3.312%(p = .026)、中心窩および傍中心窩深在性血管叢のVD(deep capillary plexus vessel density:DCPD)は2.403±8.273%(p = .033)、および2.469±4.95%低くなっていた。CTは30.6±90.7μm厚くなり(p = .014)、CVIは弱視眼と非弱視眼で1.920±3.432%高くなった(p < 001)。短期間の遮閉治療により、弱視眼では、中心窩および傍中心窩のDCPDがそれぞれ1.264 ± 3.829%(p = .017)、1.028 ± 3.662%(p = .036)増加し、CTが15.5 ± 51.5μm(p = .019)に薄くなり、CVIが1.296 ± 3.997%(p = .018)に減少した。遮閉治療後、中心窩DCPDが減少しCVIが増加すると、BCVAが向上した(それぞれp = .017および .035)。

結論:遮閉治療後、中心窩DCPDの増加およびCVIの減少は、BCVAの向上と関連していた。

※コメント
弱視眼に対して遮閉を行うことで脈絡膜の状態に変化が起こる。脈絡膜形態と視力に関連があるとの事です。
この手の報告は様々ありますが、再現性の問題(測定の再現性、検者間の再現性、被検者間の再現性)があるので、解釈には注意が必要だと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?