278. ヒト近視における房水中の炎症性サイトカインおよび酸化ストレスレベルと眼軸長との関連性

Association between inflammatory cytokines and oxidative stress levels in aqueous humor with axial length in human myopia

Yu Q, Wang C, Liu Z, Yue Y, Hsiao Y, Zhou Q, Zhou J. Exp Eye Res. 2023 Oct 6:109670. doi: 10.1016/j.exer.2023.109670. Epub ahead of print. PMID: 37806610.


本研究では、強度近視(high myopia:HM)患者の房水(aqueous humor:AH)中の炎症性サイトカイン含量および酸化ストレスレベルを調査し、これらの因子と眼軸長(axial length:AL)との関係を検討することで、近視の発症および進行における軽度の眼内炎症および酸化ストレス不均衡の役割を探った。40人の患者(70眼)のAHサンプルが、移植可能なcollamer lens(ICL-V4c)手術中に採取された。被験者をALによって3群に分けた:A群(AL≦26mm)、B群(26<AL≦28mm)、C群(AL≧28mm)。3群のAH中の腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、マトリックスメタロプロテアーゼ-2(MMP-2)、インターロイキン-1β(IL-1β)の濃度をLuminexシステムを用いて測定した。酸化ストレスレベルは、総抗酸化能(T-AOC)、カタラーゼ(CAT)、一酸化窒素(NO)およびマロナルアルデヒド(MDA)含量をターゲットとした試薬キットを用いて測定した。その結果、A群と比較して、C群ではIL-1β、MMP-2、IL-6濃度が有意に高く、T-AOC濃度が有意に低かったが、CAT、NO、MDA、TNF-α濃度には群間で有意差はなかった。AHのIL-6濃度(r = 0.379、p = 0.016)、MMP-2濃度(r = 0.469、p = 0.002)、MDA濃度(r = 0.354、p = 0.025)はALと正の相関を示したが、T-AOC濃度(r = -0.678、p = 0.000)はALと負の相関を示した。これらの結果は、軽度の眼内炎症と酸化ストレス不均衡が近視と関連している可能性を示唆している。近視の発生と進行における軽度の眼内炎症と酸化ストレス不均衡の役割を確認するためには、さらなる実験が必要である。

※コメント
近視と房水内成分に関連があることが示唆されたようです。
軽度の眼内炎症と酸化ストレス不均衡のため眼軸が伸びるのか、眼軸が伸びたため軽度の眼内炎症と酸化ストレス不均衡が起きたのか。
今後の検討に期待です。


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