210. 近視発症の独立した危険因子としての仮性近視:学童における前向きコホート研究
Pseudomyopia as an independent risk factor for myopia onset: a prospective cohort study among school-aged children
Sun W, Yu M, Wu J, Han X, Jan C, Song J, Jiang W, Xu Z, Wu Z, Xu J, Hu Y, Bi H. Br J Ophthalmol. 2023 Aug 4:bjo-2022-322330. doi: 10.1136/bjo-2022-322330. Epub ahead of print. PMID: 37541767.
目的:人口ベースのコホート研究に基づき、仮性近視が近視発症の独立した危険因子であるかどうかを調べる。
方法:中国上東省の農村部と都市部の学校から非近視児童を募集した。ベースライン検査は2020年9月に開始し、全参加者6か月の追跡調査をおこなった。仮性近視は、調節麻痺前の等価球面値(spherical equivalent:SE)が-0.50D以上かつ調節麻痺後のSEが-0.50D未満と定義した。近視は、調節麻痺下SEが-0.50D以上と定義した。
結果:合計2328人の小児(ベースライン年齢:4~17歳)が最終解析に組み入れられた。6か月の追跡期間中、21.1%(355/1680)の仮性近視眼が近視を発症し、3.8%(110/2879)の非近視眼および非仮性近視眼が近視を発症した。ベースラインの調節麻痺下SE、近業、屋外の時間など、複数の近視リスク因子で調整した結果、仮性近視は近視発症の独立したリスク因子であることがわかった(relative risk=2.52、95% CI 1.86~3.42)。さらに、仮性近視の小児は、より近視性の調節麻痺下SE(p<0.001)、調節麻痺下SEと非調節麻痺下SEとの差(p<0.001)が小さく、両眼の調節幅が大きい(p<0.001)と、近視発症のリスクが高かった。
結論:これは、仮性近視が学童期の近視発症の独立した危険因子であることを証明する重要な縦断的研究である。
※コメント
non-cycloplegic and cycloplegic autorefraction はオートレフ(Nidek ARK-1, Japan.)にて測定しています。
仮性近視の定義が、調節麻痺前の等価球面値が-0.50Dより大きい近視、調節麻痺後のSEが-0.50D未満であること。その状態の仮性近視があると、近視発症の危険因子であるようです。
個人的に思うことは、この調節麻痺前のレフ値の再現性がどうなのかということです。ここがアバウトだと、結局得られた結果もアバウトになりますので、根拠の薄いものになると思いました。
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