20. 男性,斜視角が大きい,年齢が高い,偏位の遠近差がある,下斜筋過動は,調節性内斜視の悪化のrisk factorである

Assessment of Refractive Error Changes and Factors for Decompensation in Patients With Fully Accommodative Esotropia


Çelik S, Ocak OB, İnal A, Aygıt ED, Gürez C, Hüseyinhan Z, Gökyiğit B. J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 2020 Jul 1;57(4):217-223. doi: 10.3928/01913913-20200504-02. PMID: 32687205.

目的:調節性内斜視患者の悪化リスクに影響する因子を明らかにし,屈折異常の変化を評価する。

方法:後ろ向きな集団ベースのコホート研究は,調節性内斜視と診断された患者(7歳以前に内斜偏位が発症,遠視の完全矯正および/または遠近両用眼鏡を使用した8~10⊿の内斜視)を対象とした。屈折異常の変化が記録された。比較のため,患者を非代償不全型調節性内斜視と代償不全型調節性内斜視の2群に分けた。

結果:223名の患者が基準を満たした。平均追跡期間は5.94±0.31年(範囲:5~8年)。7歳未満,7歳〜12歳,12歳〜17歳の各群における等価球面値の変化は,統計的に有意であった(P < 0.001)。遠視の減少は7歳から12歳の間で0.13D/年,12歳から17歳の間で0.06D/年であった。223 例中 41 例(18.4%)は,追跡期間中に眼鏡治療を中止した。眼鏡中止群において,遠視度数と弱視の存在は低かったが,視力のレベルと偏位の遠近差の存在は高かった(それぞれP < 0.001, .007, .01, 0.01)。調節性内斜視の悪化は223 例中 30 例(13.5%)で発生した。男児は斜視手術を必要とする傾向が強かった(P = 0.32)。発症時の平均年齢,矯正下・裸眼における遠近の内斜視角,偏位の遠近差,下斜筋過動は,代償不全型調節性内斜視患者において有意に高かった。

結論:遠視は初期から7歳まで増加し,それ以降は近視側に移行した。調節性内斜視が消失し,眼鏡治療を中止できる小児は少なかった。男性,斜視角が大きい,年齢が高い,偏位の遠近差がある,下斜筋過動は,調節性内斜視の悪化が顕著であった。

※コメント
時々調節性内斜視の経過中に悪化して斜視角が増加,たまに複視を自覚する症例を経験します。自分の施設での特徴も後ろ向きに調査してみようと思います。

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