206. アトロピン点眼液による小児の近視進行抑制効果: 無作為二重盲検多施設共同第II相APPLE試験
Atropine Ophthalmic Solution to Reduce Myopia Progression in Pediatric Subjects: The Randomized, Double-Blind Multicenter Phase II APPLE Study
Chia A, Ngo C, Choudry N, Yamakawa Y, Tan D. Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2023 Jul-Aug 01;12(4):370-376. doi: 10.1097/APO.0000000000000609. Epub 2023 May 10. PMID: 37523428.
目的:軽度から中等度の近視を有する小児を対象に、近視進行に対する低濃度アトロピンの用量反応効果と安全性を評価すること。
方法:この第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、軽度から中等度の近視を有する6~11歳の小児99人を対象に、アトロピン0.0025%、0.005%、0.01%の有効性と安全性をプラセボと比較した。被験者は就寝時に両眼に1滴ずつ点眼した。有効性の主要評価項目は等価球面(spherical equivalent:SE)の変化で、副次的評価項目は眼軸長(axial length:AL)および近見logMAR(視力)の変化と副作用であった。
結果:プラセボ群、アトロピン0.0025%群、0.005%群、0.01%群のベースラインから12か月までのSEの平均±SD変化は、それぞれ-0.55±0.471D、-0.55±0.337D、-0.33±0.473D、-0.39±0.519Dであった。アトロピン0.0025%群、0.005%群、0.01%群の最小二乗平均差(アトロピン-プラセボ)は、それぞれ0.11D(P =0.246)、0.23D(P =0.009)、0.25D(P =0.006)であった。プラセボと比較して、アトロピン0.005%(-0.09mm、P =0.012)および0.01%(-0.10mm、P =0.003)では、ALの平均変化は有意に大きかった。いずれの治療群においても近見視力に有意な変化はみられなかった。最も一般的な眼の有害事象はかゆみと霧視であり、それぞれアトロピン投与群の小児4例(5.5%)に発現した。平均瞳孔径と調節幅の変化はわずかであった。
結論:0.005%と0.01%のアトロピン投与は小児の近視進行を効果的に抑制したが、0.0025%では効果は認められなかった。いずれの用量のアトロピンも安全であり、忍容性も良好であった。
※コメント
低濃度アトロピン(<0.01%)の有効性を評価した最初のランダム化研究です。
baseline SE:−3.50±1.20 D(mean±SD )
AL:24.64±0.79 mm
The study cohort consisted of children aged 6–11 years with a spherical equivalent (SE) between −1.0 and −6.0 D in both eyes.
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