Cafe おままごと⑦
かっきーと一緒にカフェに行ってからしばらくたったある日の休日...
私はいつものようにあそこのカフェに向かっていた
ただそこで目にしたのはいつもの光景ではなく...
○○:だから...
何度もお話しているように、撮影の許可は今までもこれからも出すつもりはありません
お引き取りください
AD:そこを何とか...
○○:しつこいですね...
なぜそこまでこの店に執着するんです?
あなた、こちらに1回でも来店されたことないですよね?
AD:...
○○:どうせ、物珍しいカフェだから...とか?
こどもが接客しているから...とか?
そんなもんですよね?
AD:...
○○:私たちはそんなに生ぬるい考えで運営しているわけではないので...
AD:じゃ、じゃあその考えだけでも...
○○:そんなついでみたいな感じで話せるものではないので
お引き取りください
それからADとカメラクルーは渋々引き上げていった
○○:はぁ....
桃子:おつかれ
○○:もう...疲れたよ
桃子:しつこかったもんね
○○:うん....
桃子:まぁ...切り替えて
あっ!あやめちゃ~ん
電柱の陰に隠れて見てたつもりなのに、桃子さんに見つかった
あやめ:...あ、あの...
○○:もしかして...見ちゃった?
あやめ:コクッ
○○:そっか...
ごめんね...
あやめ:い、いえ...
桃子:ほら、店の入り口での立ち話もなんだから中に入ろ?
桃子さんにそう促されて店内に入る
一方....
AD:なんなんだよ、あの若けぇ店員
別にいいだろ、せっかくあんなちんけな店、取り上げてやろうと思ったのに
カメラ:なっ!マジでむかついた
AD:こっちは来てやってるってのにな
カメラ:さっきのやり取り撮ってるけど、これSNSに流しちゃわね?
AD:それいいかもっ!
『こんな横暴な店員がいる店、二度と取材しない』
とか書いてな
カメラ:いいねぇ~笑
俺らに対してあんな態度取ったんだ、これくらいいいだろ
○○:改めてごめんね
あんな場面見せちゃって
あやめ:いえ、私は大丈夫です
○○さんは...大丈夫ですか?
○○:...うん
桃子:なに強がってるのよ
毎回あんな勝手な取材の対応するたびに、家で泣きそうな顔してるのに...
○○:ね、姉ちゃん//
お客さんの...しかもあやめちゃんの前で言わないでよ
桃子:なんでよ笑
かわいいじゃんね?あやめちゃん
あやめ:はい笑
○○:はずいって///
こ、コーヒー淹れてくる!
桃子:ふふっ
私、キリマンジャロで~
あやめんは?
あやめ:わ、私は...
ぶ、ブルーマウンテン....でもいいですか?
○○:ふふっ、大丈夫だよ
ちょっと待っててね
あやめ:あの...桃子さん
桃子:ん?どうした?
あやめ:今日、あの子たちは...
桃子:今日は休園だよ~
あやめ:そう...なんですね
桃子:...不思議じゃない?
いつもはやってるのに...って
あやめ:コクッ
桃子:やっぱね...
実は今日、あの人たちが来るかもって聞いてたんだ
あやめ:えっ?
桃子:私の親友がTV局で働いててね
ある程度その日の動きを見て、教えてくれるの
あやめ:そうなんですね...
...ああいうのってよくあるんですか
桃子:うん、ある
TVもそうだけど、動画配信者が勝手に来ちゃったり...
そのたび○○が追い出してるんだけどね
あやめ:そんなことが...
桃子:だから、ほら
桃子さんに見せてもらったのは、あるサイトの評価サイト
この店は...最低評価!?
あやめ:なんで!?
桃子:追い出された人たちは、みんなご丁寧に最低評価にしてくれるんだよね~
あやめ:...
桃子:あとね~
あっ!あった
あやめ:これって...
桃子:さっきの人たちはSNSに書いてったね~
あやめ:...
そこには、さっき自分が見た○○さんとスタッフのやり取りが...
動画付きで、しかも悪意のある切り抜き方をされて載っている
あやめ:なにこれ...
桃子:今回は映像付きか...
あやめ:なんですか、これ
ひどすぎませんか
桃子:うん、ひどいよ
でも...それを平気で書ける人が世の中にはいるの
SNSは何でも書ける
思ったことも、感じたことも
それはいいことだけじゃなくて、あまり発信すべきものでなくてもね
あやめ:...
桃子:だからこそ、かな
私たちはSNSを信じていないし、お客さんにも発信しないようにお願いしている
それは、子供たちを守るためでもあるし....
なにより、この店を守るためでもあるから
あやめ:桃子さん....
桃子:あやめちゃんは知ってるかな~?
この有名な風刺画
あやめ:見たことはあります
桃子:今の私たちにぴったりだと思わない?
ナイフを向けているように見えて実は...みたいな
あやめ:そう...ですね
これを見た人たちは○○さんが悪者に見えてしまうでしょうね
自分たちは被害者面して...
桃子:...みんながみんな、あやめちゃんみたいに他人を想える人ならいいのにね
そういって桃子さんは俯いてしまう
桃子:今の世の中には、相手を想えない人が多すぎる
この言葉を言われた相手がどう思うかなんて、ここに書いてる人は何も考えてないだろうね
○○:姉ちゃん、落ち着いて
桃子さんの口調が徐々に熱を帯びていく
そこにコーヒーを持ってやってきた○○さんがなだめていく
桃子:...もう限界だよ!
なんで...なんで!
正しい行いをしている人たちが、糾弾されなきゃいけないのっ!
桃子さんの意見...
すごく全うだと思う
今の世の中SNSが中心に動いている
ニュース番組を見れば、やれトレンドが~とか、最近インスタで話題の~とか
何かしら情報が入れば、すぐに拡散される
しかも事件・事故なら、警察や消防を呼ぶより先に直後の様子をカメラに納め、すぐに投稿する
それをニュースに使用したいって言ってくるメディア
いかれてるよね...
なんとも重苦しい雰囲気
いつものこのカフェでは考えられないほどの沈んだ気持ちになる
そんなときに...
カランカラン
美波:やっほ~...って桃子どうした!?
桃子:みなみん....
急に現れた綺麗な女性
もしかして....
美波:もしかして....あいつらなにかやった?
○○:うん....
美波:はぁ...
桃子、○○、本当にごめんなさい
桃子:....みなみんは謝らなくていいよ
美波:ううん...あの企画書が出た時に止めれなかった私の責任
本当にごめん
そういって頭を下げる、「みなみん」と呼ばれている女性
○○:頭をあげてください、美波さん
お客さんもいますから
美波:...
桃子:あやめちゃん、この人がさっき言ったTV局に勤めている私の親友
あやめ:あぁ...筒井あやめです
美波:...△▼TVの梅澤美波です
お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ありません
あやめ:い、いえ...
桃子:みなみん、かた~い
美波:でも....
コトッ
○○:はいこれ、美波さんの分
美波:...いいの?
○○:大事なお客さんだからね
姉ちゃんもあやめちゃんもおまたせ
あやめ:ありがとうございます
桃子:ありがと
美波:それで...あいつら何やった?
○○:取材拒否したら、その腹いせにSNSに動画のせましたね
桃子:しかもご丁寧に悪意のある切り抜き方してね
美波:...ふざけやがって...
なにが面白いカフェあったので、取材行ってきます、だよ
私の親友に嫌な目に合わせやがって...
美波さん...
すごく怖い
でもその怖さの中に、友を想う気持ちがあるからここまで怒れるんだなと
同じ女性として...そして人として、かっこいいなと思う
美波:SNSに載せたのは即刻削除するように指導する
そして....別部署に異動させるよ
桃子:うん、よろしく~
ちなみに謝りに来ようとしても入れないからね
美波:わかってる
SNSやネットに書き込む言葉
誰でも使える武器だからこそ、人として間違えたくない
全員が全員、いい人とは限らないけど...
自分が関わる人には嫌な思いをしてほしくない
そう思った1日になった
To Be continued...
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