Cafe　おままごと②

あのカフェに行った後...

あやめ:ただいま～

あやめ母:おかえり、模試どうだった？

あやめ:まぁまぁだったよ

あやめ母:ふ～ん...
あなたこの前の模試でＣ判定なんか取って来たんだから、しっかり復習しておきなさいよ

あやめ:は～い...

あやめ母:あんな兄とは違って、あなたにはいっぱい投資したんだから
いい大学に行って、金持ちにお嫁に貰ってもらって...

出た出た...母親の妄想癖...

親に大事に育ててもらったのには感謝しているけど...
家に帰ると自分の感情は親に支配される
大学は行きたい
でも...親が猛プッシュしてくるところには行きたくない...
私は...親の操り人形でもお飾りでもないのに...

私の兄も私と同じように、いろいろ習い事をやってきたけど、すべてうまくいかず...
それで引きこもってしまったから、親が家から追い出した
縁も切ると言って...

いい子でいるのも苦労するのよ...

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

昨日に続いて来てしまった...
というよりは、家にいるのがいたたまれなくなって、気が付いたらここに向かっていた

今日も奈央ちゃんと咲月ちゃんいるのかな...
カフェも楽しみだけど、あの子たちに会いたくて向かってるんだな...

？？:い...いらっしゃいましぇ...

奈央ちゃんと咲月ちゃんではない
あの子たちよりももう少し小さい子が出てきた...

？？:えぇ～とぉ...えぇ～とぉ

？？:彩ちゃ～ん！

彩:てれちゃぁ～ん...

瑛紗:いらっしゃいませって言えた？

彩:うん！！

瑛紗:ﾖｼﾖｼ
偉いねぇ、彩ちゃん！

彩:えへへ///

瑛紗:あっ！ごめんなさい、ご案内しますね

あやめ:は、はい...

昨日の奈央ちゃん咲月ちゃんより小さい子と、中学生ぐらいの女の子...
今日の当番の子たちはこの子達なんだな…

○○:あっ、あやめちゃん
いらっしゃい

あやめ:こ、こんにちは

○○:申し訳ないんだけど、コーヒーちょっと待ってもらうかもしれないけど大丈夫？

あやめ:大丈夫です！

○○:ほんとにごめんね
瑛紗～

瑛紗:はーい

○○:ちょっと卵切らしちゃったから急いで買い物行ってくるね
店の番お願いしてもいい？

瑛紗:まかせんしゃい！

○○:おっ！頼もしい
じゃあ頼むわ

瑛紗:はーい、いってらっしゃーい

彩:しゃーい！！

あやめ:あの...

瑛紗:あっ！注文ですか？

あやめ:はい...
○○さんが帰ってくるまで待ってた方がいいですか？

瑛紗:大丈夫ですよ
私もここで○○さんたちの手伝いしまくってるので！

あやめ:はぁ...

瑛紗:まぁでも...
お兄ちゃんの煎れたコーヒーはお待ちいただかないといけないですけどね

あやめ:えっ...お兄ちゃん？

瑛紗:はい、私の大事なお義兄ちゃんです

あやめ:えっ...

瑛紗:あっ、注文ですよね
彩ちゃ～ん

○○さんと桃子さんの妹さん...
でもお義兄さんって言ってたから...なにか事情でもあるのかな
でも他人の事情を勝手に詮索しちゃいけない...

そんなこと考えていると...

彩:ｼﾞｨｰｰｰｰ

なにこの子...
めちゃくちゃかわいいんだけど！！

あやめ:あぁ、ごめんね～
はい、注文お願いします！

彩:は、はいっ！
てれちゃ～ん

注文のカードを持ってちょこちょこと走って裏に向かって行く姿を見てると...
なんかこう...母性みたいなものが湧いてくる
いいなぁ...私もあの頃に戻りたい
そんな風に思う

瑛紗:オムライスとコーヒーか...
彩ちゃん、お客さんのところに行ってお話しててくれる？

彩:え...

瑛紗:火を使うと危ないから、ね？

彩:やぁ～だ！てれちゃんといっしょにいるぅ～！

瑛紗:彩ちゃん...

彩は少し人見知りの所があるからな...
でも離れてくれないと、このままでは料理できないし...

？？:あっ！あの時のお姉ちゃんだ！

ﾀﾞｯﾀﾞｯ

ｷﾞｭ

あやめ:あっ！こんにちは、咲月ちゃん

咲月:こんにちは！

あやめ:今日奈央ちゃんは？

奈央:なおは今日おやすみ！
なおのママとおかいもの行くって言ってた！

あやめ:そうだったんだ...

咲月:わたしもさびしかったんだけどさ...
お姉ちゃんきてくれたから、さびしくない！

あやめ:ふふっ
ありがと、咲月ちゃん

咲月:えへへ

瑛紗:さっちゃんと一緒ならどう？

彩:...ううんﾌﾘﾌﾘ

瑛紗:う～ん...
さーつきちゃん！

咲月:なぁ～に！

瑛紗:ちょっとおいで～

咲月:なぁ～に、てれちゃん

瑛紗:ちょっと彩ちゃんと一緒にお客さんの所行っててくれないかな？

咲月:いいよー！
彩ちゃん、行こ？

彩:...やぁだ！
ｸﾞｽｯｸﾞｽｯ...うぇ～ん

瑛紗:あぁ...彩ちゃん...
ｵﾛｵﾛ

桃子:やっぱ泣いちゃったか～

瑛紗:桃ちゃん...

桃子:よしよし、大丈夫だよ...

彩:うぅ...

桃子:大丈夫、瑛紗のせいじゃないから
私が見てるから、料理おねがいしてもいいかな？

瑛紗:うん！

桃子:咲月ちゃんは...

咲月:おねえちゃんのとこいる！

桃子:ん？お姉ちゃん？

咲月:きのう来た！

桃子:昨日...
あぁ...あやめちゃんか！

咲月:あのおねえちゃん、あやめちゃんっていうんだ！

桃子:そうだよ？

咲月:じゃああやめちゃんのとこ行ってくる！

桃子:はぁ～い
私も挨拶しておかないとね

咲月:あやめちゃ～ん！

あやめ:！？

まさか...名前で呼んでくれた！？

咲月:あやめちゃん！

あやめ:はぁい！

咲月:えへへ
あやめちゃん...ｽﾘｽﾘ

咲月ちゃんは私の膝にすりすりしながら寝てしまった
めっちゃ可愛い...
もうこの子連れて帰りたいくらい...

桃子:こら！咲月ちゃん！
お店の中は走っちゃいけないって昨日も言ったのに...
ごめんね、あやめちゃん

あやめ:いえいえ！全然大丈夫です！

さっきいらっしゃいませって言ってくれた可愛い子を抱っこしながら、桃子さんがやって来た

あやめ:あの...その子は...

桃子:うちの最年少の子なんだけどね...
ちょっと人見知りで...

あやめ:そうだったんですね...

桃子:最年少だから瑛紗と一緒に居てもらっていたんだけど、最近いやいや期が来てるみたいでね...
瑛紗の言うこともなかなか...笑

あやめ:瑛紗ちゃんって...

桃子:あぁ..うちの妹でね
料理やってくれてる子なんだけど

あやめ:あの...こんなこと聞くのも違うとは思うんですけど...

桃子:ん？いいよなんでも聞いて？

あやめ:さっきお話したんですけど...
○○さんの事を「大事なお義兄ちゃん」って言ってて...

桃子:瑛紗そんなこと言ったんだ...

あやめ:ごめんなさい...

桃子:ううん！あやめちゃんが謝ることじゃないよ
確かに...私たち姉弟と瑛紗は血が繋がってないの

あやめ:...

桃子:あの子は...
保育園に預けられたまま、親が迎えに来なかったの

あやめ:えっ...

桃子:まだここに託児所ができる前、私たちの親が保育園をやっていたの
そこに当時５歳の瑛紗がいたんだけどね
親御さんが急にいなくなったの

あやめ:...

桃子:瑛紗の親御さんが経営する会社が倒産してね
多額の借金を背負っていた社長のお父さんとその奥さんが、借金を瑛紗に背負わせないために自ら...

あやめ:そんな...

桃子:結果、借金は親御さんの死亡保険金で何とか完済したよ
でも残された瑛紗には、何も...
それを聞いた当時瑛紗の担任をしていたうちの母親が引きとったの

あやめ:そんなことが...

桃子:引き取った後、瑛紗は引きこもっちゃってね...
でもずっと引きこもっていた瑛紗の相手をしてたのが、○○でね
今ではお兄ちゃん大好きっ子よ笑

あやめ:そうだったんですね...

桃子:ごめんね、こんな話

あやめ:いえ...私が聞いてしまったので...

桃子:ふふっ、あやめちゃん優しいのね
彩ちゃんも寝ちゃったから、お布団に寝かせてくるね

あやめ:はい！

桃子:○○帰って来たからもうちょっとコーヒー待っててね

あやめ:はい！大丈夫です！

○○:ただいま～

瑛紗:おかえり～

○○:おっ！おいしそうにチキンライス作れたね

瑛紗:うん！

○○:ﾖｼﾖｼ

瑛紗:えへへ///

○○:じゃあ卵買ってきたから、これでよろしくね？

瑛紗:はぁ～い！

瑛紗:お待たせしましたー！
オムライスです！

あやめ:すごいおいしそう...

咲月:ﾑｸｯ

あやめ:あっ、さつきちゃん起きたのね
おはよう

咲月:...おはよ！
さつ寝てた？

あやめ:うん

咲月:うぅ...
あやめちゃんといっぱいお話したかったのに...

あやめ:大丈夫だよ～
オムライス一緒に食べながらお話しよ？

咲月:うん！

瑛紗:はいこれさっちゃんの分ね

咲月:ありがと！てれちゃん

瑛紗:はーい！
あっ！マスターが今コーヒー淹れてるので、もう少しお待ちくださいね

あやめ:はい！

瑛紗:さっちゃんはどうする？
オレンジジュース？

咲月:うん！

瑛紗:はーい

あやめ:おいしいね、咲月ちゃん

咲月:うん！
てれちゃんのりょうりはおいしいの！
なんたって○○お兄ちゃんがおしえたからね！

あやめ:そっか...
（大好きなお兄ちゃんに教えてもらって...私たち家族とは正反対だ...）

ｺﾄｯ

○○:お待たせしてごめんね...
遅くなっちゃったね

あやめ:いえいえ！楽しい時間を過ごせていたので、全然大丈夫ですよ！

○○:ほんとに申し訳ない...

あやめ:今日ここにくるまでにあまりいいことなくて...
気がついたらここに向かってたんです...
ここのカフェに来ると心が温かくなって
それが私にとっては生きがいになってきてて...
昨日の今日で何言ってんだと思われるかもしれないですけど...

○○:そんなことないよ
むしろ嬉しいかな

あやめ:○○さん…

○○:だから...つらいこと、悲しいことがあったらなんでも言ってね
どんな話でもちゃんと聞くから！

あやめ:...はい！

ｷﾞｭ

咲月:あやめちゃん！
いたいいたい？

あやめ:えっ？

ｽｯ

○○:綺麗なお顔に雨は似合わないよ
これ良ければ使ってね

あぁ...私泣いてるんだ...
心に溜まったものが、○○さんの言葉とこのカフェの暖かさで溶かされているんだ...

あやめ:ｸﾞｽｯ...ありがとうございます...

咲月:だいじょーぶだいじょーぶ
いたいのいたいの～とんでいけ～！

あやめ:ふふっ、ありがと咲月ちゃん

咲月:うん！

私にとっての心の拠り所ができた気がする
このカフェには助けてもらってばっかだなぁ…
何か私にできることあるのかな…

To Be continued...？