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My role 42話


27枚目のシングルの準備と同時に、新メンバー募集に向け準備が始まった

俺も菊池さんとともに募集サイトを作る日々が始まっていた
そんなある日...


菊池:○○君はさ...

"ファンの人たちをどう思ってる?"



菊池さんに急にそんなことを聞かれた


○○:...急ですね

菊池:まぁね笑


○○:どう...ですか...
少なくとも、今の乃木坂がこうして活動できているのは、ファンの皆さんの応援のおかげだと思ってます

それは感謝してもしきれないですよね
アイドルという職業は、ファンの方たちとの信頼関係の上で成り立つ職業ですし...

ただ...


菊池:ただ?

○○:...今後状況によっては、乃木坂の勢いが陰る一つの要因になってしまうかもしれないかなとも思います

菊池:...その心は?

○○:...近頃続く誹謗中傷や、憶測で広がるガセ情報
もちろんそれは乃木坂に限った話ではないですけど...
『言ったもん勝ち、やったもん勝ち』になってるじゃないですか

菊池:そうね...

○○:ってなると...
仮にですよ?乃木坂を落としいれようとする人たちがいた場合、もしくは乃木坂の人気を利用し、出した人が注目されるようなものに使われてしまった時
何も根拠のない情報を出されたら、それを信じてしまう人も多数出てきてしまうと思うんです

菊池:うん、確かにそうだね

○○:今までもそんなの跳ね返してきたグループだとは思うんですが、ここまで手口・手段・拡散力が上がってくると厄介ですし...

アイドル、と言えど人の子ですから、『気にするな』と言っても、気にしちゃう部分は少なからずあると思うんです
それで体調を崩して、やりたかった夢から離れていくのは、一番切ないですから...
だから状況次第ではっていうのはあるかなと…

菊池:...なるほどね~

○○:すみません...
こんな悲観的な考えしかできなくて

菊池:いやそれも立派な考えだよ
...やっぱり、日芽香の従妹だね
よく人を見てる

○○:...自分は...日芽香がつらい時に何もしてあげられなかったですから...

菊池:...その後悔から、かい?

○○:そう...ですね

菊池:じゃあ、君も乃木坂の運営に思うことはあったんじゃないかい?
体調を理由に活動ができなかった日芽香を見てきた君なら

○○:...最初は...

でもこうして裏側に携わらせてもらって、その大変さも知りましたし...
運営に、っていうよりかは、あの時の自分に対して腹が立つことは何度かありましたね

菊池:そっか...


○○:菊池さんはどうなんですか?
ファンの方たちの変遷を立ち上げから見てきた方からみた、今のファンの人たちは...

菊池:僕かい?そうだね...
彼女たち...って言ってももう卒業してっちゃった1期生は、僕が最初から見てたから、悲観的なコメントを見るたびに落ち込んださ
あの子たちは、AKB48の公式ライバルって形でデビューしたから、風当りはひどかったしね

○○:...

菊池:そんなデビューだったから、いろんな人からいろんなこと言われた
聞きたくないような言葉とかね、いっぱい見たり聞いたりしたさ

1期生たちは...
彼女たちはアイドルになりたくてオーディションを受けた、今時の普通の女の子たちだった
それが選ばれたら今度は、天下のAKBさんのライバルですって言われて、アイドルファンの人からはあまりいい目で見られなくって...
公式ライバルですって募集時には出してたんだけどね
それでも申し訳ないなと思ってたよ

○○:でも...それを跳ね返したんですもんね

菊池:そうだね
でもそれは決して彼女たちが強くなったわけじゃなく、強くならざる得ない状況だったからともいえる

それでもグループが大きくなったのは、彼女たちの地道な努力とファンの人たちの理解と応援があってこそ
だから...ファンの人たちを楽しませたいって気持ちはあるけど...

ファンの人たちが、彼女たちを誇りに思うように
"彼女たちから見ても自慢のファンの人たちであってほしい"

そう思うし、そう思われていたい、っていうのが僕の願いの一つかな

○○:...

菊池:もちろん、感謝しているし、ファンの皆さんが居なければここまで来れていない
その言葉に嘘はないし、それは結成当時からいるスタッフは何よりわかってるはず

だから現状が理想とは離れてしまっている、今の状況
やっぱり少し辛い

○○:...

菊池:...僕の理想は『相思相愛』
この言葉が一番合うかな

もちろんなかなかできることじゃない
1人対1人ですら難しいんだから

それでも!
思い思われ、一緒に進んでくれる人達と一緒に居たい

○○:...素敵ですね

菊池:机上の空論だと思うかい?

○○:...それは自分たち運営次第かと

菊池:...やっぱいい観点を持ってるね笑

○○:...皮肉ですけどね...笑
その理想の為に、わずか一部の人たちに何ができるか
それをどうにかするのが、自分たちの仕事ですからね...

菊池:そうだね
配信ライブも無断転載されていたり、ルールを守れない人も増えてきている
『これだから乃木坂ファンは...』って言われるのもこっちとしても悔しいしね

○○:そうですね...
動画配信サイトでも、かなりありますもんね
冠番組の無断転載とか

菊池:そうだね...
どうする?いっそのこと、チャンネル作ってアーカイブで載せちゃう?

○○:あぁ!いいかもしれないですね!

菊池:じゃあ冠番組のスタッフさんに相談してみるわ

○○:わかりました!
あっ、Webサイトの大体の骨子は出来ました!

菊池:おおぉ!仕事がはやい!

○○:あとはここに、写真だったり、動画だったり載せてデザインを確定させて...
最終的にバグが出ないか確認して公開できるかなと

菊池:りょーかい!
じゃあ今シングル中にその他諸々準備して、次のシングルで募集の広告を打つか...

○○:そうですね



ピロリン

○○:...あっ、すみません

菊池:大丈夫だよ笑
じゃあ俺はほかの準備あるから行くわ

○○:了解です!
自分も召集かかったんで、そっち行きますね

菊池:了解
じゃあ今日ももう少し頑張るか

○○:はいっ!




レッスン室


ガチャ
○○:...失礼しまーす


いつもは熱気・活気にあふれるレッスンルーム
だが、そこにはいつもの元気がない


そう、選抜発表が行われた後だから


...それにしても、いつもより空気が重いのはなんでだ?



ギュ

それになんか抱き着かれてるし...


○○:えぇっと...れん...か...?


聖来:...グスッ
蓮加さんじゃないもん...聖来だもん

○○:おぉ...
どうだった?

聖来:○○は知ってるんじゃないん?

○○:別件があったからなぁ...

聖来:あんなぁ...聖来なぁ...

"選抜選ばれた!"



○○:ほんとっ!?

聖来:うんっ!

○○:おめでとう!

聖来:えへへ、ありがとう

○○:嬉しいね~...
そうか、良かった


聖来:でもな?

○○:ん?

聖来:松村さんが...卒業してしまうんよ...

○○:あぁ...それでか

聖来:○○は知ってたん?

○○:ん?あぁちょっとね

聖来:やっと一緒に...できると思ったのに...

○○:...聖来と松村さんは同じ地元出身だもんね
より寂しいよな

聖来:コクッ
あとなぁ?

○○:ん?

聖来:れなちさんが...
アンダー曲のセンターになった!

○○:えっ!?ほんと?

聖来:うんっ!
今日はラジオがあるから来れてないけど...

○○:連絡してあげな?
多分すごく喜んでくれるよ

聖来:もうしたっ!

○○:はやっ笑

聖来:早川ですからっ!

○○:そうでした...笑


小林:聖来~、コメント撮りとインタビュー行くよ~

聖来:は~い!
じゃあ○○、またな?

○○:おう



嬉しい知らせと悲しいお知らせと...
選抜発表は、次の体勢発表とともにいろんなことが発表され、動き始める
心の整理もできず複雑な状況で、次の準備をしないといけないという....

普段は会議に参加しているから、ある程度知った状態でいれるけど、今回は違った

ってことは、この感じを毎回メンバーは感じているのか
当事者じゃなくても、ドキドキしているんだからメンバーの心労は計り知れない
メンバーのケアもしっかりしていかないと...



しかしここで卒業か...松村さん
1期生さんがどんどんいなくなっていってしまうよな


そんな中でふと部屋の隅に目をやると...


さくら:...

一人不安そうに部屋の隅に立っているさくら
泣きそうなんだけど、口をぎゅっと結んでずっと耐えて...





飛鳥:ねぇ?

○○:お、おう...

飛鳥:声、かけないの?


さくらを見ていると、飛鳥が声をかけてきた


○○:...かけてもいいんだけどね
今は自分の気持ちを整理する時間かなって

飛鳥:ふふっ、わかってるじゃん

○○:蓮加をみて育ってますから

飛鳥:蓮加もそういうタイプだっけ?

○○:うん、あなたに憧れてね

飛鳥:...本来ならさ、センターって喜ばしいことじゃん
その表題の期間は乃木坂の顔を務めるんだから

○○:...そうだね

飛鳥:でもさ、背負ってみると嬉しいなんて感情はなくてさ
どうしよ、私が勢いを落としたらどうしようなんて思っちゃう
不思議だよね

○○:...そうだね
それがグループの伝統でもあるし、背負わせすぎなのかもしれないけど
真面目で責任感の強いみんなだから、そう思うのかもね

飛鳥:...○○、あんたのその感性大事にしな?

○○:何よ急に笑

飛鳥:私もさ、考え始めちゃうのよ
ここまで続くと

○○:...卒業?

飛鳥:コクッ

○○:そっか...

飛鳥:今、私たち先輩と呼ばれる人たちの立ち位置は、前に立つことより引き継いで行くための準備期間なのかもって
最近思う
だから少しでも私たちが教えられてきたこと、思い続けてきたこと
それがスタッフさんも共通認識として持てていればそれだけ心強いことはないの

○○:...わかった

飛鳥:うん、頼むね
さて、そろそろ気持ちの整理も終わったかな?えんぴー

○○:ふふっ、もうさくらの親だよね笑

飛鳥:あの子は...
こんな私を慕ってくれる可愛い後輩だからね

そういってさくらの下へと歩く飛鳥
その後ろ姿は、なんかかっこよかった


そのあとに話しかけてきたのは…


絵梨花:飛鳥があんなに話すなんて珍しい

○○:あっ、えっと...

絵梨花:なによ、いつもの感じで呼んでよ!

○○:...生ちゃん

絵梨花:恥ずかしがっちゃって~
可愛いな~

○○:...うるさい

絵梨花:あ~!先輩にそんなこと言っていいのかな~?

○○:だって日芽香にいつも聞いてたもん
変人エピソード

絵梨花:ちょっと!ひどくない!?

○○:...
松村さんとは話されたんですか?

絵梨花:堅いな~○○は
言葉が堅いよ、うん
いつもひめちゃんと一緒に居る感じで話して!

○○:....わかったよ笑

絵梨花:うんうん、その感じ
で、なんだっけ?
マツとの話?

○○:うん

絵梨花:そんなに話はしてないよ?
寂しいって伝えたけど

○○:...そう...ですか


生田さんだって寂しいだろうに...
これまでも多くの仲間を見送ってきている人だから...
先輩の強さを改めて感じる


絵梨花:あっ、今度さ!
ひめちゃんとちーちゃんの中3トリオでご飯行くからさ、その時は○○も来てよ!

○○:えっ?俺も行くの?
3人で楽しんでおいでよ

絵梨花:や~だ!
○○も一緒に行くのっ!

○○:えぇ...


駄々っ子生ちゃん…
これは従弟の日芽香に何回か聞いたことある
このモードに入った生田さんはマジで制御できなくなると…
このモード解除できる人は限られてるし…どうしよう


真夏:こ~ら生ちゃん、○○君を困らせないの



ここで援軍
助かりました、キャプテン


絵梨花:えぇ~...むぅ....




そしてそんなやり取りを遠くから見ている人が…




蓮加:...

美波:蓮加?

蓮加:...ん?

美波:...バレバレだから
○○くんの所行きたいんでしょ?

蓮加:...別にそういうのじゃないから


美波:強がらなくていいのに...
ただでさえ最近会えてないんでしょ?

蓮加:...違うもん...

美波:蓮加!

蓮加:...別に...連絡もないし...久しぶりに会っても何も言われなかったけど...
別に...別に!気にしてないもん!

美波:(素直になればいいのに...笑)
でも自分の気持ちに素直にならないと、伝わらないんだよ?

蓮加:...わかってるもん...
わかって...るもん...






To Be continued...


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