私たちの自慢の弟と妹は一番最初に...前編

『応援してくれてるみんなへ』

20XX年10月某日
ある一人のメンバーが卒業を発表した

柚菜:もうちょっと居てくださいよｸﾞｽｯ

咲月:ｸﾞｽｯ...ﾋｯｸ...ｸﾞｽｯ...ﾋｯｸ

美空:ｸﾞｽｯ...蓮加さ～ん...

蓮加:な～に？みーきゅん

美空:寂しいです～！

蓮加:ふふっ...ありがとありがとﾖｼﾖｼ

美空:ふぇ～ん...

人見知りを発揮して、後輩にツンの態度で接することが多かったけど、ここまで自分の卒業を寂しがってくれるとは思わなかったなぁ...

乃木坂４６　３期生最年少　岩本蓮加
３期生最後のメンバーにして、乃木坂史上最長の在籍期間を誇る

記者:もうやり残したことは特になく？

蓮加:そうですね...
ここまで在籍させてもらって、私が憧れた１期生２期生の先輩たちの思いを後輩たちにしっかり受け継げたので...

記者:そうですか...
では乃木坂をご卒業後の目標は？

蓮加:目標ですか...
目標をあまり決めない人間なんで...
一つ一つのお仕事を誠実にこなしていければいいななんて思ってます

記者:岩本さんらしい回答ですね

蓮加:そうですね笑

記者:では最後に...
ご自身の卒業セレモニーに向けての意気込みをお聞かせください！

蓮加:はい
私がここまで成長してこれた証をいっぱい詰め込んだライブになっています
応援してくださった皆様に感謝の想いを込めて、ライブを作っていますので、ぜひ皆さんご覧ください

○○:久しぶりだなぁ...日本

あの日メジャー挑戦を宣言し、日本を旅立って早５年
手元にある携帯にはこんなメッセージが...

史緒里Ｌ:ちゃんと迎えに行きなさいよ？

最初は、「は？アメリカから？？」と思ったけど、ネットニュースを見て納得する

『岩本蓮加 卒業のお知らせ』

○○:あいつも...頑張ったんだな...
なぁ...蓮加

実は蓮加を迎えに行くと約束したあの日...

～～～～～～～

○○:...でもさ、待っててくれるなら...
ちゃんと迎えに行くから！

蓮加:...ｸﾞｽｯ

○○:ほら...約束

蓮加:...うん！

○○:ふふっ

蓮加:○○...

○○:でも蓮加に迷惑はかけられないから...

蓮加:うん、わかってる
だから今日が最後...

○○:///

蓮加:///

互いに互いの温度を感じた一瞬の瞬間
２人にしかわからない空間

蓮加:頑張って来いよ

○○:おう！

ｷﾞｭ

～～～～～～～

○○:互いのために連絡先も消してたからな...

もう過去となった思い出を思い出しつつ感傷に浸る
物おもいに更けながら待合ロビーへと向かう

？？:あっ！やっと来た！

○○:ごめんごめん笑

？？:降りたならちゃっちゃと降りてきなさいよ！

○○:悪かったって
"姉ちゃん"

史緒里:もう...

○○:でもさすが大女優さんだな
サングラスにマスクにハット...笑

史緒里:○○だって！
スーツにビジネスバックって...笑

○○:これなら一番バレないって通訳さんに言われたんだもん

史緒里:確かにバレてはないけどさ...
良かったの？サイヤング賞候補だったのに...
大歓迎されたかったんじゃない？笑

○○:まぁ...ワールドシリーズ行けなかったしね～
個人賞はそこまで興味ないし、こっちで持ち上げられて報道されてもあまり嬉しくないし

史緒里:相変わらずメディア嫌いは変わんないね～

○○:だって公表していない肘の手術をすっぱ抜かれたんだよ！？
そんなのむかつく以外に何かある？

史緒里:確かにね～
あれはびっくりしたよ

○○:でしょ～？
偽造の記事も何個も書かれたし！
だからもうメディアなんて信用してないから

史緒里:でも...こっちとしては面白かったよ？笑
あの女優さんとの熱愛報道とか笑

○○:いや...あれ一番きつかったんだから
見に来ていただいたから挨拶しにＶＩＰ席行ったら、そこを切り取って...だよ？
弁明に時間かかったし...相手方にも迷惑かけたし

史緒里:まぁね笑
ほら着いたよ

東京ドーム

○○:やっぱ観客の数すごいな...

史緒里:ね！いつ以来？

○○:MLB選抜と日本代表とのドリームマッチで呼ばれた以来？

史緒里:それもすごいけど...笑

○○:でもほんとに久しぶりだな
乃木坂のライブも姉ちゃんの卒コン以来だしね

史緒里:あれは宮城のセキスイハイムスーパーアリーナだったしね

○○:そうね...
小学校の時のスケート教室で転びまくった嫌な思い出の場所でね

史緒里:なにその思い出笑

○○:姉ちゃんもめっちゃ転んでたでしょ？

史緒里:まぁ...って嫌なこと思い出させないでよ！

○○:ごめんごめん笑

史緒里:もう...

○○:でも...蓮加が最長なんてな...

史緒里:私たちからすればそうだろうなって思ってたよ？
あの子は乃木坂の事ほんとに大好きだから

○○:そっか...

？？:あぁー！史緒里～！

史緒里:はづ～！

葉月:久しぶり！

史緒里:久しぶり！元気だった？

葉月:うん！
○○君も！

○○:お久しぶりです

葉月:メジャーでの活躍、ほんとにすごいね！

○○:いえいえ...自分はまだまだですよ笑

葉月:...かっけー！

○○:恥ず///

史緒里:はづも○○の全試合見てくれてるんだもんね

葉月:うん！
芸能界を引退してからは少し時間取れるようになったしね！

○○:そうなんですね...
もう芸能のお仕事には後悔もなく？

葉月:うん！
夢の選抜に入ることもできたし、アンダーでセンターも任せてもらったし！
葉月は乃木坂が大好きだから、乃木坂以外で何かしてる自分が想像できなかったし

史緒里:そっか...

？？:久保～

史緒里:あっ、梅と...山下！？

美月:なに驚いてんのよ笑

史緒里:だって...この１年ずっとドラマに出ずっぱりじゃん！
休みなんかない大女優さんだし、今日来れないかと思ってた

美波:自分も大女優のくせしてね～

美月:そうだそうだ！
今年映画何本でた？

史緒里:ん～...４本？

美月:かぁ～！大女優さんはやっぱすごいね！

史緒里:うるさい！///

その後も関係者席に集まってくる同期たち
姉ちゃんもその一人だけど...
その光景を見ているだけでも、すごい所に来ちゃったと思う

今野:おう！みんな集まったか

美月:あっ！今野さん！
お久しぶりです！

今野:おう、久しぶり
準備はばっちりか？

美月:もちろんですよ！
誰だと思ってるんですか？

今野:悪い悪い、大女優さん

美月:今野さんまでそのいじりする！

今野:久保もな...
あっ弟君連れてきた？

史緒里:当たり前ですよ！
ほら、○○挨拶

○○:初めまして
ニューヨーク・ヤンキース所属の久保○○です

今野:初めまして
乃木坂４６合同会社代表の今野義雄です
本日はお越しくださいましてありがとうございます

○○:こちらこそ
お招きいただきましてありがとうございます

今野:岩本からどうしても、と聞いておりまして...
もしかして...？

○○:...ご想像されているものがそれなら...そうですね

今野:ふふっ
プライベートは本人に任せておりますので...
岩本の事、よろしくお願いしますね

○○:...はい！

今野:では本日はお楽しみください

○○:ありがとうございます

史緒里:じゃあ私たちは準備があるから
○○、関係者席でおとなしく見てなさいよ？

○○:なんの準備よ笑
ってかこども扱いするな！

史緒里:いいからいいから！
じゃあまた後で！

○○:...おう

ついに始まった蓮加の卒業コンサート
乃木坂に在籍したのも最長っていうこともあり、ずっと出ずっぱりの蓮加

初選抜のジコチューで行こう、悔しい選抜落ちを経験した日常など...
流れた月日を実感させる曲の数々

ユニットのコーナーでは、後輩全員がそれぞれ参加した
まぁ...泣きっぱなしのメンバーが多かったけど…

そして本編最後には、自身がセンターを務める卒業シングルの曲
多くの先輩たち、同期、時には後輩を涙ながらに見送って来た蓮加
自身が送られる側になると涙を見せずに笑顔で、周りの慕っていたメンバーが泣くという少し異様なだけど乃木坂らしい光景で本編を締めた

そしてアンコール
通常は蓮加のスピーチから、というのが定石だろうがこの日は違った

？？:Ｗｏｗ...Ｗｏ～

知る人は知っているだろう
２０１７年、初めて蓮加たち３期生が神宮でやったあの始まりの曲を

○○:準備ってこれの事か...

あの日と同じアカペラでのスタート
そして...

『わぁぁーーーーー！！』

"桃子がいる！"

"葉月も！"

"梅～！"

"美月～！"

"与田ちゃーん！"

ここまでファンの声が聞こえればお分かりだろう
まさかの卒業した３期生が勢ぞろい

蓮加もこれは知らなかったようで...

蓮加:...ｸﾞｽｯ...ｸﾞｽｯ

蓮加はほとんど歌えていない
でも...あの１２人でしかわからない苦悩や楽しかった時間をすべて昇華していくように、ステージの真ん中に立つ蓮加を歌いながら囲んでいく

『３番目の風』
乃木坂に加入して初めてもらった、自分たちのために書かれた楽曲を...

全公演終了後...
○○:ここで待っとけって言われてもな...

姉にここに居ろと指示されたのは、普段監督会議で使われるであろう会議室

ｶﾞﾁｬ
蓮加:...あっ！
ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ　　ｷﾞｭ

○○:ちょ...ドレスで走るなよ...笑

蓮加:だって...

○○:まぁ...なにはともあれお疲れ様、蓮加

蓮加:ちゃんと見ててくれた？

○○:当たり前じゃん笑

蓮加:そっか...嬉しい！

○○:でもほんとに...綺麗だね

蓮加:うん！このドレスもいっぱい話し合って決めたんだ～

○○:ドレスもだけど...
蓮加が...綺麗

蓮加:///

○○:蓮加、あの日の約束ってまだ有効？

蓮加:当たり前でしょ！？
そうじゃなきゃ今日まで頑張ってないし！

○○:そっか...

ｽｯ...

蓮加:！！？

○○:蓮加の門出と...俺たち２人にはぴったりな花かなって

蓮加:ｸﾞｽｯ...ｸﾞｽｯ...
こんなの...ずるいじゃん...

○○:改めて岩本蓮加さん...
今度は僕のそばで支えてくれますか？

蓮加:...はいっ！

互いに互いを想いあって流れた月日
それでもこの花とともに咲く彼女の笑顔は、すべてを精算してくれるようなそんな笑顔だった

美波:いいの？行かなくて

史緒里:そりゃ行きたいけど...
いけないでしょ、あの幸せの空間には

美波:そうね...
でも○○くんも粋だよね

美月:ほんとに！
バラ１００本って

史緒里:○○はロマンチストなところあるからね～

美波:でも蓮加が３期生の中で最初の既婚者になるのか～

史緒里:思い出ファーストの振り入れしなきゃね笑

美波:そうね笑

美月:でもいいなぁ～
私もプロポーズはあれくらい情熱的なやつがいい！

史緒里:それよりも前に相手を見つけないとね笑

美月:そうなんだよな～
いい人どこかにいないかな～

史緒里:あれ？この前いいって言ってた俳優は？

美月:あぁ～ダメダメ...
危うく二股されるとこだった

史緒里:うわぉ...笑

数日後...
○○:じゃあ姉ちゃん、行ってくるわ

史緒里:うん！今シーズンもちゃんと応援してるから！

○○:おう

史緒里:あと日本に帰ってくるときは楽天に帰って来てよ！？

○○:わかったって笑
もう何回も聞いたよ...笑

史緒里:ならよし！

蓮加:○○ー！準備できたよー！

史緒里:しっかり蓮加の事守ってあげなさいよ？

○○:わかってるって

史緒里:じゃあ...

ｷﾞｭ

○○:姉ちゃん、ここまで気にかけてくれてありがと
大丈夫、２人でちゃんと幸せになるから

史緒里:そっか...
うん！そうだよね！

○○:じゃあ...行ってきます

蓮加:行ってきまーす！

史緒里:うん...いってらっしゃい！

○○はヤンキースのエースとして、蓮加はそのエースを支える女房としてアメリカへと向かった

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