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生きる意味は...


○○:はぁ...

ようやく慣れてきた社会人の生活...
起きて適当に朝飯を食って、満員電車に乗って職場に向かう
言われたことを一生懸命にこなして、先輩や課長に怒られて、帰りも終電
帰ってきたら飯屋はどこも開いておらず、コンビニの飯食って、シャワー浴びて寝たらもう次の日...
彼女もいないしなんのために働いているんだろう...なんて考えたことは一度や二度ではない

でもそんな俺にも少しだけ楽しみにしているものがある


妄ツイだ

元々坂道は好きだったが、自分と同年代の子たちがキラキラしているのが眩しくて見れなくなった
Twitterも他人の誹謗中傷や悪口が書かれているのを見て、吐きそうになっていたから遠ざけていたが...


妄ツイにハマったことで、今ではスマホのバッテリー消費をTwitterが一番占める
そんな日常を送っていた...


○○:さぁ...今日も行くか...

憂鬱なお盆の出勤...
上司が出るから出ないといけないはめに
実家帰ることもできないけど帰ったってやることないし...まぁいいか


いつもは満員電車になる時間だが、この日はすいていた
お盆ということもあり、学生やお盆休みの会社員がいなかったからだろう

いつもよりゆっくりと妄ツイが見れる♪
今日は何の作品にしようかな~

おっ!和ちゃんの作品書いている人いた
今日はこの人にしよ!

この和ちゃんの高嶺の花でクールなイメージ、わかるんだよなぁ...
読んでてしっくりくるし...

『その作品面白いですよね』

女の人の声...
ってか俺の携帯見られてる!?

○○:えっ!

??:あっ...ごめんなさい...
見えてしまって...

○○:いえいえ...大丈夫ですけど...

??:乃木坂、好きなんですか?

○○:...はい

??:そうなんですね♪
嬉しいです!

嬉しいです...ってことはメンバーか!?
マスクもして帽子もして...
でもあの声の感じと髪の色...誰だ...誰だ!

??:私の事わかりますか?

○○:え~っと...ちょっと待ってね...
今もう出かかってるから...

??:ふふっ...
誰でしょう~ね~

思い出せ...あの声...
いつ聞いた...そうだ!スタ誕だ....
じゃあ彼女は5期生...でも茶髪の子なんていたか?

??:まだわからないですか~?

○○:もうちょい...

??:ぶぅ...
これで当たったら今日のあなたのおみくじは大吉なのに...

おみくじ...大吉...
あっ!小吉!

○○:小吉?

??:ブフッ
いきなりそのあだ名ですか!?

○○:ご、ごめん...

咲月:まぁ正解ですけど...
名前で覚えていてほしかったなぁ~

○○:菅原...道真じゃなくて…

咲月:なんでそんなマイナーなあだ名を攻めていくんですか!!
咲月です!咲月!!

○○:あ~!思い出した!!

咲月:なんであだ名だけ覚えてるんですか...

○○:だってそっちの方がよく聞いたから...

咲月:○○さんには名前で覚えてほしいな~

○○:...ちょっと待って、なんで俺の名前知ってるの?

咲月:だって連絡来てたし...


課長L:○○君、お疲れ
今日会社のカギ開いてなかったから、出勤なし

こういうのはもっと早く連絡してくれよ...

○○:なるほど...
それをみて...

咲月:はい!

○○:ってか俺と話してても大丈夫なの?
その...週刊誌とか

咲月:電車の中まで来ないから大丈夫ですよ笑
それに...この後まだメンバー乗ってきますし!

○○:えっ!

咲月:あっ、ここの駅で...


『咲月~、やっほー』

咲月:やっほー、いろは

いろは:あれ?お隣の方は?

咲月:○○さん!乃木坂好きなんだって!

いろは:へぇ~

咲月:さっき和の妄ツイ見てたし...

いろは:妄ツイ!?

咲月:いろはも好きだったよね?

いろは:うん!!

○○:...

咲月:○○さん...なにポカンとしてるんですか!

○○:えっ...あっ...いや...
メンバーもこういうの読むんだなぁ~って

いろは:読みますよ!
特に私たちは一般の方がいう、いわゆる青春ってものをあまり実感できないので!

○○:そうなんだ...

いろは:○○さんはどういう妄ツイ見てるんですか~?

○○:え~っと...

咲月:これだよ~

○○:あっ!おい!

いろは:さつ、サンキュー

○○:いつの間に俺のスマホ取ったの?

咲月:いろはと話してたら私の膝の上に置いてきたの

○○:俺のせいか...

いろは:あっ!いろはもこの人のやつ読んでる~!
この人の書く話、面白いですよね!

○○:あ、あぁ...

いろは:和の学校でのイメージなんてまさに高嶺の花だな~って思うし、長編も面白いし!
さくらさんの妹の感じも可愛いし、蓮加さんの彼女感もわかるし!

○○:うん...

咲月:わかる!ほんと普段の和って感じだし先輩たちの感じもいいよね!

○○:ってか君たち、どこまで乗ってくの?

咲月:いろはと遊ぶ予定だったけど、○○さんがいたからこのまま乗っていようかなぁ~って、ねぇ?

いろは:うん!○○さんの読んでるほかの妄ツイも知りたいし!

○○:左様ですか...

いろは:○○さんも大丈夫ですよね?

○○:俺は...

咲月:大丈夫だよ!さっき上司の人から連絡来てて来なくていいってなったから

○○:勝手に...

いろは:そっか!じゃあ大丈夫だ!

幸い俺らの近くに座っている人もいない...
まぁ大丈夫か...


そんなこんなで話をしていると...



『きゃーーー!』



隣の車両から人が逃げてくる
逃げてくる人は口々に...

『刃物を持っている男がいる!』『誰彼構わず切り付けてる!』
と言っていた...


さっきまで楽しそうに話していた咲月といろはも、恐怖で動けなくなっている...
でもこの二人が傷つくのは絶対にあってはならない...

○○:二人とも!はやく逃げて!

咲月:...腰抜けて動けない...

いろは:...咲月!

まぁ...俺ならどうなってもいいし、なんかどうとでもなる感じしてるし...

なんか使えるものないかと思って、カバンを見てみると...

社用PC、社員証、コンビニで買った弁当と飲み物...
じゃあどうなってもいっか...

カバンの中を確認をしていると、刃物男がこの車両に入って来た


二人を見ると...

いろは:咲月!はやく逃げないと!

咲月:足が...動かない...

いろは:ほら!背中のって!

咲月:○○さんは?

○○:二人が行ったら行く!


もう距離がすぐそこまで迫っている

○○:チッ

カバンを前に担ぎ、二人と刃物男の間に立つ

見たとこ、50代の小太りのおじさん...
でも…なんか見たことあるようなないような...


刃物を構えた男が突進してきた...


咲月:○○さん!

いろは:だめ!!


ブスッ



カバンに刃物を刺させて...
あ~あ、社用PCが逝ったか...
後で始末書書かなきゃ...


ドコッ 

みぞおちを左アッパーで思いっきり殴り...

バコッ

屈んだところで後頭部に蹴りを入れ...


ドテッ


○○:ふぅ...
すみませ~ん、救急車と警察と駅員さん呼んでもらっていいですか?

いろは:...

咲月:...

他のお客さんも恐怖と突然の出来事にあっけに取られて、口をぽかんと開けたまま...

○○:おーい!
あっ!こいつなら気絶してるんで大丈夫ですよ~

そういうと皆少しずつ動きだす...

咲月といろははまだ固まったまま...


その後…
誰かが警察に通報してくれて止まった駅で連行されていった


俺も事情聴取をうけ、刃物男の詳細を聞くと...

○○:えっ!?課長?

そう刃物男は課長だった...
どうやら仕事のストレスと自分は働いていて他が遊んでいたのが気に入らず、もうどうでもよくなったと言ってるらしい...
課長も課長で、部長からいろいろ言われていたらしい...


これだけの事件となるとメディアも大きく報じていて、止まった駅には報道陣がいっぱい詰めかけていた
これで会社の名前は世に出るし...仕事も無くなるな~

事情聴取を終え出口に向かうと...
『どうやって犯人を抑えたんですか!?』
『周りはどんな感じでしたか!?』
そんな質問が矢継ぎ早に飛んでくる…

あ~、鬱陶しい...
なんでどの局も同じようなことしか報道しないのに、こんなにいっぱい来るんだろう...
そんな感じで気だるい感じで答えていると...

『なんで自ら危険なことをしたんですか』

この質問だけはなんか知らないけどイライラした...
自分を悪者にしたいのかどうしたいのかよくわからない質問...

○○:確かに危険を顧みずに行ってしまい、無謀な行動だったと思います
話し合いとかで解決できるのであれば、それが世間的にも理想でしょう

メディア:...

○○:でも...男が刃物を持ってこちらに走ってくる...
そんな状況においてあなたは冷静にその判断ができますか?

メディア:...

○○:私の後ろには、自分よりも若い子や、さらに向こうの車両には小さい子供もいた
自分がここで止めなければ日本の未来を担う子を傷つけることになる
であれば、私は迷わず自分を犠牲にしてでも守りたいものを守る
あなた方がどう掻き立てようと、自分の中の優先順位は守らせていただきます
私はヒーローにもなりたくないし、暴力でしか解決できなかったことは反省すべきところです
これをマネしてほしいとも思わないし、称賛を浴びたくもない
これが私の願いですので、後は皆さんにどう報道されようが興味ありません、では

俺が記者の群れから戻ると...
いろははマネージャーさんを呼びに行くとか言って、咲月を俺に預け出口に走っていった


○○:はぁ...
咲月...よくあんな人たちの前で笑顔でいられるよな...

咲月:...グスッ

○○:咲月?

咲月:...死んじゃうかと思った...

○○:あんなんじゃ死なないよ

咲月:それでも怖かったの!
○○は...平気なの?

○○:平気...ではないかな...

咲月:え...

○○:勤めていた会社の上司が犯人...
仮にもお世話になっていた人を、自分で抑えて警察に突き出したんだもん

咲月:そう...だよね...

○○:小さな会社だからつぶれるだろうしな~
これからどうするか...

咲月:じゃあ...さ
私たちのマネージャーになってよ

○○:...は?

咲月:妄ツイでありがちな展開だけどさ...

○○:うん...よくあるよな

咲月:でも...仕事ないなら私たちの事サポートしてよ

○○:...

咲月:...だめ?

○○:まぁ今ここで、は決められないかな

咲月:そうだよね...ごめん...
でもなんで○○あんなに強かったの?

○○:よく護身術の動画見てたからね~
まぁほんとに使うことになると思わなかったけど...

咲月:すごいなぁ~...


その後いろはがマネージャーさんを連れてきた...
マネ:咲月!大丈夫だった!?

咲月:はい!○○さんが助けてくれたので!

マネ:あなたが皆を助けてくれた...

○○:あぁ...もう報道されてたんですね...

マネ:本当にありがとうございました!

○○:そんなそんな...
頭上げてください!

マネ:あなたが助けてくれたおかげで、この二人も活動ができる...
命だけでなく二人のアイドルとしての命も救ってくれたのよ
感謝してもしきれない...

咲月:マネージャーさん...

マネ:ん?

咲月:○○さんをマネージャーにできないですか?

マネ:えっ?

○○:おい...


その後咲月がことの詳細をマネージャーさんに説明し...

マネ:じゃあ○○君のこと推薦しておくよ

○○:いや...

マネ:でも仕事無くなる可能性あるんでしょ?

○○:まぁ...多分無くなると思いますけど...

マネ:じゃあこの二人を守ってくれたお礼としてこれくらいさせて

○○:まぁ...はい



この後、ほんとに勤めていた会社はつぶれ...


咲月:○○さ~ん、次の予定は?

○○:この後雑誌の撮影だから、昼飯食べ過ぎないでね

咲月:はーい

今ではマネージャーをすることになった
ありがちな展開だけど...そのおかげで俺は生きれている

もう生きる意味が分からないなんて思わない

咲月:○○さ~ん、行きましょ?

今では守るべきものをちゃんと守る
それが俺の生きる意味だから...




...fin

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