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Cafe おままごと⑧


○○:ふぅ....



あの出来事があってからの毎日


お客さんが来なくなるかなぁ...
そんなこと思ってた


だけど現実は違くて、SNSで少しバズってしまったことでお客さんが増えている
中には面白いもの見たさで来た人もいたけど...



来てくれたほとんどの人が『応援してます』と言ってくれたり
『私の子供もここに通わせたいんですけど...』なんて言ってくれる人もいた


大人の自分としては嬉しい悲鳴





なんだけど...


和:つかれた...

奈央:なおも...

○○:2人ともありがとね
休憩行ってきな

奈和:うん...



普段来てくれる常連さん、以外のお客さんたち


知らない人だからこそ、子供たちは緊張する
気が張ることで知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまう

子供たちの健康状況を注視しながらやってはいるけど...
これ以上負担を増やしてもいいものなのか


自分の中で葛藤する



この忙しさを知ってか...
瑛紗の友達の姫奈ちゃんもアルノちゃんも、美空ちゃんも


『手伝いますっ!』


って言ってくれるんだけど、彼女たちもまだ中学生
学業を疎かにしてほしくないし、目指している高校があることも知ってるし...
なんなら、受験だって始まってくる


って言ったら瑛紗は...


瑛紗:私は家族だから!
ボランティアみたいなもんだしっ!


って言って、今まで以上に手伝ってくれる
学校から一目散に帰ってきてすぐに現場に出ることもしばしば....

部活や友達との時間もあるだろうに...
申し訳ない気持ちが勝ってしまう



じゃあ姉の桃子に頼もうかなんて思ったけど...


こういう取り組みをやっていることを知られてしまって、子供の数が増えている


保育士も大勢いるわけじゃないから...
自然と負担は増大している状況だ



○○:まぁ自分が頑張ればいいだけか...


そう結論づけ、自分に鞭打ちながらなんとか営業している





カランカラン


○○:いらっしゃいませ...
あっ、あやめちゃんか


あやめ:こんにちは
すごい人ですね...



店内には人であふれている
このカフェではあまり見ない光景だ


○○:あの出来事があってお客さん来なくなると思ったら全く逆でさ...

あやめ:なるほど...
子供たちは?

○○:みんな頑張ってくれてはいるんだけど...
一気にいろんな人と関わると疲れちゃってね...

あやめ:...

○○:今は休憩を多めに...

あやめ:○○さん

○○:はい?

あやめ:私を臨時でいいので雇ってくれませんか?

○○:いやでも...

あやめ:私の好きな空間なんです..

○○:….あやめちゃん

あやめ:みんな疲労の色が見えるから...
それは...子供たちもだけど、○○さんも



○○:......いいのかい?
かなり時間を制限してしまうことになるよ?

あやめ:自分で言うのもなんですが、高校では頭いい方なんですよ?
だから勉強は大丈夫です!


○○:......


あやめ:それに...

○○:それに?

あやめ:...親とケンカしちゃって...家に居場所がなくて...

○○:えっ?

あやめ:家に...帰りたくないんです
私は部活もやってないから、学校終わったら直帰するしかなくて...

○○:そうか...




高校生という多感な時期だ

親とケンカ...
俺はそれすらもできなかったけど...


子供から大人へ
一歩ずつ着実に近づくための、その一歩

決して悪いことじゃないんだけど...

あやめちゃんの場合は、少し状況が変わってくる
少しだけ家庭事情を聞いていたからね




少し判断に迷っていると



あやめ:それに...以前アルバイトは募集してないって言ってましたけど...
○○さんの今の状況を見て、その言葉に「わかりました」って引き下がりたくないですよ



まっすぐ俺の目を見て訴えかけてくれる
元々本気じゃないなんて思ってないけれど、今回はほんとに本気の目で訴えてくる



○○:...

あやめ:お願いします!





これだけ、本気の想いを伝えてもらって...
本気の想いには誠意をもって応えないとね...

○○:...助けてくれるかい?

あやめ:はいっ!

○○:ふふっ、ありがと!

あやめ:今日からでいいですか?

○○:いいのかい?...なんて愚問か...笑

あやめ:ふふっ、そうですよ!




お客さんから、スタッフになった私
少しだけ背筋が伸びた

ロッカーに荷物を置いて、貸し出していただいたエプロンに着替える...



急遽決まったアルバイト

夢が一つ叶った瞬間でもあるけれど....
今は○○さんが休めるように...

私が入ったことで負担にならないように....

ただただそれを意識しないと...





咲月:○○せんせ....あやめちゃん!?

あやめ:やっほー

咲月:えっ!?なんであやめちゃんいるの!?
なんでなんで!?

あやめ:ふふっ、咲月ちゃん
私、ここのお店で働くことになったの!

咲月:ほんとっ!?
じゃああやめちゃんと一緒にできるの!?

あやめ:うん、だからよろしくね
咲月お姉ちゃん?笑

咲月:ふぁわぁ~!!
うんっ!!この咲月おねえちゃんになんでもきいて!!

あやめ:頼もしいわ~ヨシヨシ

咲月:えへへへ///


○○:おっ!咲月ちゃん
今日この後?

咲月:うんっ!茉央ちゃんと!

○○:そっか、忙しいけどお願いね

咲月:うんっ!
あやめちゃんきてくれたからがんばれるっ!

○○:そっか....笑
って茉央ちゃんは?

咲月:あそこ!



咲月ちゃんが指さした場所を見ると...


茉央:....

カフェと保育所の間にある壁に身を隠しつつも、
こちらの事を見ている姿が...

咲月:茉央ちゃ~ん!

茉央:うぅ....

○○:人見知りな所はなかなか治らないかぁ~笑



そういいつつ茉央ちゃんの下へ歩いていこうとする○○さん


ただ...
○○さんがここにいるってことは、現場には今、人がいない

ここで○○さんの時間を使うわけにもいかない
なら...


あやめ:あ、あの!
あの子は私が何とかします!
だから...○○さんは先に現場へ行ってください!



人見知りでシャイな性格って言われがちな私
でも...

ここで働くって決めたんだから少しでも貢献しなきゃ!



○○:ふふっ、じゃあお願いしようかな
あの子はね、茉央ちゃんって子なんだ

ちょっと人見知りが激しい子だけど、仲良くなったらいっぱいお話してくれるからね

あやめ:そうなんですね!頑張ってみます!

○○:じゃあお願いね
咲月ちゃん、○○先生と一緒にお店に行こうか

咲月:はいっ!
じゃああやめちゃん、あとでね~

あやめ:うん!




茉央:....

あやめ:茉央ちゃん?
お姉ちゃんと一緒に行こ?

茉央:フリフリ

あやめ:そっかぁ...
どうして?

茉央:...しらないひと...こわい...

あやめ:そっかぁ....
じゃあお姉ちゃんのことは知ってる?

茉央:コクッ

あやめ:あれ?接客してくれたことあったっけ?

茉央:...マスのとき...

あやめ:ん?いつの時?

茉央:...く、クリスマスのとき

あやめ:そうだねぇ~
あの時一緒にツリーに飾り付けしたもんね

茉央:うん....

あやめ:その時のお姉ちゃん怖くなかった?

茉央:コクッ

あやめ:そっかぁ...
じゃあ今日、お姉ちゃんのお手伝いしてってお願いしたらやってくれるかなぁ?

茉央:...コクッ

あやめ:ふふっ、ありがと
じゃあ一緒に行こっか♪

茉央:コクッ



こうして手を繋いでお店まで向かう
まだ表情は曇っているけど、少しだけ緊張は解けたみたい






咲月:おまたせしましたー!
3ばんと4ばんですっ!

客1:ありがと~

客2:すごい美味しそうだね

咲月:○○せんせいがつくってくれるからすごくおいしいよ♪

客1:そうなんだ、楽しみね

客2:ねっ!

咲月:じゃあごゆっくりどうそ~♪



客1:すごいわね~、今の子たちって

客2:そうね~、息子たちの時にもあったら行かせてただろうね~

客1絶対行かせてた!
しかも、ここで働いてもらう代わりに、代金は頂いていないんでしょ?

客2:そうなの!
それで土日に見てもらえるなら、すごくありがたいわよね~

客1:ニュースになってた迷惑野郎のおかげで知ったお店だけど...
もっと早くから来たかったね~

客2:ほんとに!
ん!このサンドウィッチすごくおいしい!!




茉央ちゃんとキッチンに行く途中、そんな"生の"声が聞こえてきた

今日からのアルバイトのはずなのに、なんか自分の事のようにすごく嬉しい




○○:おっ!来たね!

あやめ:すみません、お待たせして

○○:いいのいいの~
茉央ちゃんもあやめちゃんに心開いたみたいだね

茉央:///

○○:ふふっ、じゃあ...
あやめちゃんには、ホールの方をお願いしようかな
園児たちをうまく使いながら、ね!

あやめ:はいっ!


○○:咲月ちゃん、茉央ちゃん
今日はあやめ先生の言うことをちゃんと聞いてね!

茉咲:はぁ~い!

○○:じゃあ頑張ろ!


「「おーー!」」




それから茉央ちゃんと咲月ちゃんの2人に助けてもらいながら、
何とかさばききった




そして閉店の時間...



咲月:つかれた~

茉央:茉央も~

あやめ:ふふっ、2人ともありがと!


ギュ


咲月:えへへへ///
さちゅ、あやめちゃんのハグすき~

茉央:ま、茉央のほうがすきだし!

咲月:さちゅのほうがすきだもん!

あやめ:ほらほら、ケンカしないよ~



そして....


奈央:あっ!!あやめちゃんがいるぅ~!

和:ほんとだ....

奈央:あやめちゃ~ん!

あやめ:あっ!奈央ちゃん!

奈央:えへへ~
あやめちゃ~んスリスリ

あやめ:えぇ....笑

和:奈央、おねえちゃんこまってるよ笑

奈央:えぇ~

咲月:ねえ!つぎわたし!!

茉央:そのつぎ茉央!!


なぜか和ちゃん以外の3人に懐かれた私...




一方の和ちゃんはというと...

和:○○せんせ~

○○:おっ、どうした?和ちゃん

和:和もおてつだいするっ!

○○:手伝ってくれるの!?
ありがとヨシヨシ

和:えへへ///
○○せんせいのよしよしすき~

○○:そうなの?笑

和:きょうはなにするの?

○○:今日はね~
あやめちゃんの歓迎会もあるからね~

じゃーん!

和:あっ!パフェだっ!!

○○:せいかーい!

和:ジュルリ

○○:じゃあ和ちゃん、盛り付け一緒にやろっか!

和:うんっ!



こうして盛り付けを一緒にして...

○○:は~い、お待たせ

咲月:○○せんせい!きょうのおやつは!?

○○:そう慌てないの!
今日はね~...

じゃーん!

茉央:パフェだ!!

○○:そう!パフェにしました~!
みんな頑張ってくれたし、あやめちゃんの歓迎も兼ねてね


「「やったーー!!」」


あやめ:ありがとうございます!
こんなに豪華なパフェは久しぶりです!

○○:ほんと!?
やったね!和ちゃん!

和:うんっ!

あやめ:えっ?

○○:これ、和ちゃんが盛り付けしてくれたんだもんね~

和:ね~

あやめ:そうなんだ!
ありがと、和ちゃん!

和:えへへ//



○○:じゃあ食べよっか
今日は...奈央ちゃん!

奈央:はぁ~い!
てをあわせてくださいっ!


「「はいっ!」」


奈央:いただきますっ!


「「いただきますっ!」」









...The next one is the final episode of Season 1.

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