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2人で1人


上司:なんでこんな簡単なことができないのよ!

アルノ:す、すみません!

上司:なんでコピー10部が100枚コピーになるのよ...
会議の資料の表紙が100枚あっても会議にならないでしょ?

アルノ:すみません!

上司:もう何年目よ

アルノ:2年目です...

上司:もう新人じゃないんだから!

アルノ:すみせんでした!


はぁ...

○○:『えらい怒られてじゃん』

うるさいよ...

○○:『もう今年に入って何回ため息聞いたと思ってるのよ笑』

それは...ため息つきたくもなるよ
...もうこの仕事あってないのかな...

○○:『あってないと思うなら辞めてもいいんだよ』

...○○はいつも簡単に言うよね


??:...しさん、にしさん...中西さん

アルノ:は、はい

明美:仕事中にぼっとしてるなんていい身分ね

アルノ:す、すみません...

明美:なんであんたがまだこの会社に居れてるのか不思議だわ

アルノ:...

明美:ほら、仕事して!

アルノ:は、はい!

○○:『なんだあいつ!ぶっつぶしてぇ...』

ちょっと静かにしてて!

○○:『わかったわかった笑』
『愚痴はいつでもいいな』
『俺は心の中にいるから』


小さいころからの幼馴染だった、奥田○○
○○は私の隣の家に住む同い年で、人見知りの私にいつも話しかけてくれて優しい子だった...

○○:アルノちゃん!今日は何して遊ぶー?

アルノ:今日はおままごとにしようよ!

○○:いいねー!

アルノ:アルノがママやるから、○ちゃんはパパね

○○:わかったー!


そんなある日、公園で遊んでいた時に、急に心臓が痛くなって倒れた
後から話を聞くと○○が見つけてくれて、消防に連絡してくれて搬送されたらしい

検査の結果、私の心臓はほかの子より弱くて、移植手術を受ける必要があって入院することになった

○○:アルノちゃん、大丈夫?

アルノ:大丈夫...じゃない...

ギュ

アルノ:!?

○○:ゆっくり息を吸ってー、吐いて

どう?落ち着いた?

アルノ:...うん!落ち着いた!

○○は毎日私の病室に来てくれて、励ましてくれた
それに何度も救われたし、そのおかげで毎日が楽しかった



そんな時に○○が交通事故にあって、植物状態になったと聞いた
同じ病院に運ばれて、隣の病室に運ばれていた

アルノ:...○○

○○:...


あの元気な○○の姿をもう見れないと思えないほどきれいな顔で寝ていた
私は隣の病室に朝から晩まで、可能な限り毎日話かけた

アルノ:今日はね...看護師の人がね...

○○:...

私がどれだけ話しかけても、○○の意識が戻ってくることはなかった...

そして...

○父:私たちにとって苦渋の決断でした...
でも、困っている人を見つけるとすぐに駆け付けて声をかける、そんな優しい子だったこそ、臓器提供に同意します...

○○の両親は脳死判定を受け入れ、臓器提供を行う決断をした


他の臓器はみんなドナーを待っている子供に渡っていくが...
○父:先生...

医師:どうされました?

○父:心臓だけは...心臓だけ隣の病室のアルノちゃんに使ってもらえないでしょうか?

医師:...

○父:アルノちゃんは...

○○の幼馴染で、大切な子なんです...
だから...どうか、お願いします!

医師:...わかりました
可能な限りを尽くして、心臓は中西さんに移植するよう手続きいたします

○父:...ありがとう...ございますグスッ

心臓だけは私じゃないと嫌だと、○○の両親が医者を説得してくれた...
そして...

医師:これより、臓器摘出及び、移植手術を行います

移植手術が行われ○○の心臓が私の心臓になった



そしたら...

○○:『よっ!アルノ!』

なんて○○の声が聞こえるようになった
臓器提供者の記憶が少しあるみたいなことは聞いたことあったが、声が聞こえるのは事例になく医者もびっくりしていた
でも、○○が自分の心にいるんだと思うと寂しくはなかった

それから順調に心臓が私に適応していき、学校にも通えるようになった
入院していた私には学校で友達ができなかったが、心の中に○○がいたから何とか生きてこれた

それから私は心の中の○○とともに成長し、社会人として働き始めるようになった


明美:中西さん、資料作成できた?

アルノ:はい!お願いします

明美:...あんたね...

アルノ:...はい

明美:なんでこっちの資料使ってるのよ!
これは違う会議の資料だって言わなかった?

アルノ:す、すみません!

明美:早く直して!会議始まっちゃうよ

アルノ:は、はい!


○○:『確実にアルノがこなせる仕事じゃないのを振ってんだろ』

でも...任された仕事だから

○○:『いつまでもあいつの言うことは聞かなくてもいいぞ』

でも...人間関係は社会人として必要でしょ?

○○:『人間関係なんてどうだっていいんだよ』
『あいつは自分より下のものに力を見せつけたいだけなんだから』

...○○はたまにアーティスティックなこというよね

○○:『そう?でもアルノには笑っててほしいからさ』
『アルノが自分を犠牲になんてしなくていいんだから』

...ありがと、○○

○○:『おう!愚痴言いたくなったら心の中で叫びな』
『俺が受け止めてやるから』


その後無事に資料を作成し直し、会議に間に合った

アルノ:ふぅ....

明美:...ふぅ、じゃないわよ

アルノ:...

明美:準備が大事だって何度も言わなかった?
あれだけ会議前にバタバタして...

アルノ:...


上司:おつかれ

明美:あっ!おつかれさまです~♪

アルノ:お疲れ様です

上司:明美君、さっきの会議良かったぞ
資料も見やすかった

明美:ほんとですか~?
ありがとうございます♪

上司:それに比べて...

はぁ…君も頑張りなさい

アルノ:はい...

明美:ふっ


○○:『アルノ...』

もう私ダメかも...

○○:『そんなこというな』

でも...でも!...
何をやってもうまくいかない
任せてもらったことすらできない...

○○:『アルノは...この会社に入ってやりたかったことができてる?』

...そんなの...できてないよ...

○○:『じゃあ...アルノがこの会社に居る意味って何よ...』

...なんだろ...

○○:『それが見つかるまで、我慢し続けることができる?』

...無理かな

○○:『じゃあ転職しよ!』

...でも今更何に...

○○:『高校出てすぐ働いてるなら...まだできるんじゃない?』

えっ?

○○:『小さい頃の夢...なんだっけ?』

...アイドル

○○:『そう!やってみれば?』

でも...私なんてなんも取り柄ないし...

○○:『何言ってんの!アルノにはちゃんとあるじゃん』

...何よ

○○:『笑顔と歌だよ』

...

○○:『俺が意識なかった時も元気づけるために見せてくれてただろ?』

...うん...って届いてたの!?

○○:『うん』

もう...

○○:『ほら、決断したら動かないと!』

うん!


次の日...

上司:はぁ!?会社を辞めたい!?

アルノ:はい

上司:これだから最近の若者は...
俺が入社した当時はな...


○○:『出た!これが老害ってやつだろ?』

...うん

○○:『じゃあ...こう返してあげな』

上司:...だったんだよ!
それを...

アルノ:すみません...
うるさいです

上司:はぁ!?お前、俺のありがたい経験談を!

アルノ:人生経験何年なんて、たかが数字に過ぎません
その経験談が私にとって間違いなら、どうでもいい戯言です

上司:な...

アルノ:すみません...
お世話になりました

上司:ちょ...おい!


○○:『どうだ!すっきりしたろ?』

うん、ありがと

○○:『あんな人間関係ばっか気にして媚売ってなんてところアルノには似合わないよ』

...○○...

○○:『これで俺が実際に居たら抱きしめてるところなんだろうな...』

...その言葉の直前までかっこよかったのに...

○○:『えー!いいじゃん』

...まぁね

○○:『ならよし!じゃあ一緒にアピール文考えようか!』


それからすぐに2人で自己アピールを考えて、歌の練習をしてきた

そして...
ア母:アルノー?あなた宛てに何か届いてたわよ

アルノ:ほんと!?

ア母:ほんと
頑張ってたもんね

アルノ:お母さん...

ア母:ほら、頑張った結果をみせて!

アルノ:うん!


中西 アルノ様

先日はオーディションへの参加、誠にありがとうございました

あなたを

『合格』
とします


アルノ:うそ...

ア母:アルノ!頑張ったわね!

アルノ:お母さんグスッ


○○:『おめでとう、アルノ』

...○○、ほんとにありがとう

○○:『ほんとに受かっちゃうとはな...』

ほんとだよ...

○○:『嬉しいよ...』
『アルノのあの笑顔と歌が世間にばれるのか...』

○○、これからも一緒に居てよ?

○○:『当たり前じゃん!』


それからレッスンを重ねて、デビューすることができた

がある日...

マネ:アルノこれほんと?

アルノ:なんですか!?これ...

『中西って彼氏いるらしいぜ』
『パパ活とかもしてたらしいし』
『有名人とつながりたいとかも言ってたらしいよ』

ありもしない事実がSNSに投稿された
そしたらそれをファンの人たちが鵜呑みにして、炎上した


...もうほんとにダメだ...

○○:『アルノ...』

もう誰も信じられないよ...
誰が...誰があんなこと...

○○:『多分、前の会社の奴らだな』

...なんで...

○○:『ある意味、おもちゃがいなくなってつまらなくなったから...』

なんでそんなこと...
私がなにしたって言うのよ!

○○:『人の恨みは意味の分からないところから来るからな...』

...

○○:『自分たちの近くにいたおもちゃが成功して、世間からチヤホヤされて...』
『それが気にいらないんでしょ』

...デビューしたての私は...
ファンの人たちとの信頼関係が浅いから...
これからどうすれば...

○○:『今釈明をしても火に油を注ぐだけだ』
『だから...活動し続けるしかないんじゃない?』

でも...私を応援してくれる人なんて...

○○:『アルノが実力で黙らせるの』
『アルノの笑顔と歌で』

...○○...

○○:『うるさいやつがいたら耳をふさぎな』
『アルノの心の声は俺にしか聞こえないから』

ありがと...○○、もうちょっと頑張ってみるよ

○○:『おう!』
『アルノの一番のファンはアルノの心の中にいるから』


そこからの私は死に物狂いで活動に取り組み、月日が経つのとともに否定的な声を抑えて、歌で評価してもらえるようになった




アルノ…頑張りなよ
あなたが自己犠牲で泣いて、自己否定して苦しんでる姿を見たくないから
あなたのことが、大切だから言わせてよ
俺はずっとあなたの味方だから
あなたの近くでずっと支えるから



私の自信を持って長所と言えるのは笑顔と歌

だけど本当に誇れるのは、奥田〇〇、あなたが私の心にいてくれること



...fin









参考楽曲
SUPER BEAVER
うるさい

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