天才の父を持つと...②
ピチャン
蓮希:...
○○:...
いつもなら蓮希がお風呂で遊ぶからにぎやかな入浴となるんだけど...
今日はめちゃくちゃ静か
それもそのはず
彼の中で葛藤してるのだから
蓮希:...ねぇ...パパ?
○○:ん?
蓮希:チームの移籍ってさ...
どんな気持ちなの?
○○:う~ん...
そうねぇ...一言でいうと『楽しみ』しかなかったね
蓮希:楽しみ?
○○:うん
蓮希:なんで?
○○:だって...
いろんな考えを持った選手たちと野球できるじゃん、楽しくない?
蓮希:...うん、それはそうなんだけど...
○○:あまり乗り気じゃない?
蓮希:うん...
○○:それはなんで?
蓮希:だって...
ここまで一緒に頑張って来た仲間だから...
最後まで一緒にやりたい...って思っちゃう
○○:そっか...
蓮希:ねぇ、パパ?
俺、やっぱ今のチームに残っていい?
○○:うん、いいよ
それが蓮希の決断ならパパたちは一生懸命応援していくだけだから
頑張れよ?
蓮希:うんっ!頑張るっ!
バタンッ
蓮加:あんたたちいつまで風呂入ってるの!
早く出てきなさい!
○○:は~い
正直に言えば、移籍をして欲しい気持ちがなかったわけではない
ロッテのJrからも誘われていた部分もあって、強いチーム、強くなれる環境で育って欲しい...
そう考えていた部分もある
ただ蓮希は自分以上に背負ってるものもある
プロ野球選手の息子、メジャーリーガーの息子...
そういう色眼鏡で見られる
だからこそ野球を嫌いになるかもしれない...
そんなことも頭に浮かんだ
そんな中での蓮希が決めた大きな決断
それをしっかり支えていくことが親の責任だろう
その後、蓮希と柚乃を寝かせていると...
蓮加:チョンチョン
○○:ん?
蓮加:...
○○:...はいはい笑
髪乾かすのね
蓮加:コクッ
あとこれも
○○:ヘアオイルね
ブォーー
○○:相変わらず綺麗な髪だなぁ...
熱くない?
蓮加:うん、大丈夫
○○:そっか、ならよかった
蓮加:...さっき蓮希と風呂でなんの話してたの?
○○:ん~?
蓮加:いつもみたいに遊んでなかったじゃん
○○:んー...ひみつー笑
蓮加:ねぇ~え!教えてよ!
○○:やぁ~だ笑
蓮加:蓮加だけ蚊帳の外じゃん...
○○:...男の秘密だから...
蓮加:そっか...
○○:それにしてもいつも以上に甘えん坊だね
蓮加:だって...
今日ご飯の時、○○の隣史緒里だったし、柚乃の面倒見てないといけなかったし...
ギュ
○○:嫉妬してくれたんだ...
可愛いね~
蓮加:むぅ...
○○:でも...いつもありがと
柚乃の面倒見てくれたり、蓮希の練習の送り迎えに加えてご飯も家事も...
すごく感謝してる
蓮加:///
○○:蓮加と結婚出来てよかったよ
蓮加:き、急にそんなこと言うな!//
○○:でも、これはほんとに思ってること
蓮加は自慢のお嫁さんだから...
蓮加:○○...
○○:さっ、寝るかね
蓮加:...待って
○○:ん?
チュ
蓮加:これは私からの感謝の気持ち
これからもよろしくね、自慢の旦那さん?
○○:...ふふっ、わかったよ笑
あれから蓮希は練習に打ち込み...
カキーーン
史緒里:また打った!
蓮希は打撃もいいね~
○○:そうねぇ~
史緒里:あれ?今日蓮加は?
○○:蓮加は柚乃とお留守番
史緒里:まぁそうだよね~
今日はだって、あれだもんね~
○○:まぁね...
でもよくジャパンの試合のチケットなんて取れたね
史緒里:この前ご一緒した俳優さんからもらったんだよね~
○○:...
(その俳優さん、絶対姉ちゃんと一緒に行きたかったろうに...笑)
史緒里:○○?
○○:ん?なんでもないよ
史緒里:そっ♪
頑張れー!蓮希!
そう姉ちゃんがプレミア12の試合のチケットを取って(?)くれて観戦に行けることになったのだ
蓮希からすれば初の日本代表の試合
WBCで野球人気が跳ね上がり、日本で開催される試合はすべて即完売
OBといえどもチケットを簡単に手に入れられなくなったのだ
東京ドーム...
蓮希:パパ~!しおちゃん!早く早く!
○○:そんなに急がないの!
史緒里:○○~、写真撮ってあげるから蓮希とそこに並んで!
○○:わかった、蓮希おいで
蓮希:うんっ!
史緒里:ハイチーズ!
蓮希:すごいいっぱい人がいる!
史緒里:パパもちょっと前まで代表で投げてたんだよ~?
蓮希:え~!見たかった...
史緒里:まだ蓮希が小さい時だったもんね~
さすがに覚えてないか...
○○:まぁね...
史緒里:今日はあそこいけないの?
○○:ブルペン?
さすがに無理じゃない?
蓮希:えぇー...
○○:...まぁ聞いてみるか
史緒里:パパはね、いろんなコーチ、選手と知り合いだからね
もしかしたら見せてもらえるかもよ?
蓮希:ほんと?
史緒里:うん!
○○:いいってよ、一緒に行こっか
蓮希:やったー!
史緒里:誰に連絡したの?ボソッ
○○:嶋さんボソッ
史緒里:嶋さんって...楽天にもいた?
○○:そうだよ?
今バッテリーコーチとして入閣してるから、連絡とったらいいよって
史緒里:ってかいつ繋がってたのよ
○○:この前楽天とヤクルトの交流戦の解説に行ったら、たまたま居てね
挨拶したらそこから...
史緒里:なるほど...
蓮希:パパー!早くいこーよ!
○○:わかったって笑
あとパパの手を絶対に離さないって約束できる?
蓮希:なんで?
○○:これから代表として戦う選手たちは、みんな集中してるから
準備の邪魔をしないって約束できるなら一緒に行くけど...
蓮希:わかった!いい子にしてる!
史緒里:じゃあ私は先席に行ってるわ
○○:あれ?一緒に来ると思ったのに...
史緒里:いいの!
親子で感じてきなさい、世界で戦う選手たちの空気感を
○○:わかった
嶋:おう!こっちこっち!
○○:お疲れ様です!嶋さん
蓮希、こんにちはって
蓮希:こ、こんにちは...
嶋:○○の息子か~
可愛いね
○○:まぁ...笑
嶋:野球やってるの?
蓮希:うんっ!
嶋:ポジションは?
蓮希:キャッチャー!
嶋:っ!?
○○:そうなんです笑
嶋:そうか...
それは嬉しいね
バンッ
○○:今投げてるのが...
嶋:そう、今日の先発の髙橋宏斗
蓮希:中日の人だ!
嶋:よく覚えてるね~ヨシヨシ
蓮希:えへへ///
髙橋:まっすぐ!
古賀:ほい!まっすぐ!
ビュン
バンッ
古賀:ナイスボール!
嶋:今日のスタメンバッテリー
どう見る?
○○:いい音鳴らしますよね、古賀君
嶋さんの教えがいいから笑
嶋:おい?いじってんのか?
○○:そんなことないですよ笑
嶋:ほんとかなぁ...
蓮希君、後であそこに座ってみる?
蓮希:えっ!?いいの?
嶋:うん、もうアップ終わるからね
蓮希:やったー!
嶋:○○はマウンドね
○○:マジっすか...
嶋:ほらカメラさんたち、チャンスですよ~
○○:ちょ、ちょっと!
嶋:うそうそ笑
誰もいないでしょ?笑
○○:びっくりした...
嶋:さっきバカにされたから仕返し笑
○○:もう...
蓮希:パパ~!投げて~!
○○:よしっ!
行くぞっ!
ビュッ
パンッ
蓮希:いぇーい!
嶋:ほぉ...
○○:どうです?
嶋:やわらかいキャッチングするよなぁ...
この年代であのキャッチングはいいよ
○○:そうですか...
嶋:あれで野球を知っていったら面白い選手になるね
蓮希:パパ~もう一回投げて!
○○:もう試合始まっちゃうから続きは家帰ってからね~
蓮希:えぇ~...
○○:しおちゃんがスタンドで待ってるから
ブルペンにありがと言って行くよ
蓮希:はぁい...
蓮希:ありがとうございましたペコッ
○○:じゃあ上で見てますね
嶋:おう!しっかり応援してくれよ
○○:もちろんですよ
嶋:蓮希君もまたな
蓮希:はいっ!
史緒里:おかえり~、どうだった?
蓮希:楽しかったよ!パパとキャッチボールもできたし!
史緒里:そっかぁ~、よかったね~
蓮希:うん!
○○:ごめん、遅くなった
史緒里:大丈夫よ~
嶋さんのサインもらってきてくれたんでしょうね?
○○:あっ...
史緒里:...
○○:ご、ごめんって...
史緒里:ふんっ!
蓮希~、しおちゃんと一緒に見ようね~
蓮希:うんっ!
史緒里:べぇーだ!
○○:...
試合は8-0で韓国に圧勝した
蓮希はずっとキラキラした目で試合を見ていた
彼にとって目標となる人たちを間近で見れたのはよかったと思う
小さいうちに"ホンモノ"を見せる
それは育成について書かれたどんな本よりも、教科書になる
子供は大人よりも感性が鋭い
鋭いからこそ、自分で見たものが自分の目指すものになる
蓮希、あなたのこれからが楽しみだよ
...Fin
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