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肩書き


「肩書き」


辞書で調べると...
―その人を特徴づける社会的な地位・称号など



ってこんな感じに出てくる



皆さんが想像する肩書きは、
何とかアドバイザーとか、何とかコンサルタントとか...

まぁいろいろ出てくるだろう


そう「役職」と違って、自分と相手の関係を示すものとしても使える
だから"いろいろ"あるのが肩書き




でもその肩書きってさ...
時に何個も持てるんだよね...







美月:次はどこで仕事?
"マネージャーさん"

○○:えぇっと...次は、雑誌の撮影行って...
そのあとドラマの読み合わせがあって、そのあとMV撮りに熱海へ前乗り

美月:きっつ!

○○:あのなぁ...
美月がオーディション片っ端から受けるって言うから

美月:まぁそこはわかってるよ
でもやらなきゃね


○○:...倒れるなよ?

美月:ふふっ、当たり前♪




時には、美月のマネージャーとして仕事を一緒にして....





美月:ねぇ....私、あのスケジュールでも頑張ったんだけど....

○○:わかったよ...
何をご所望で?

美月:やった♪
やっぱ持つべきは理解のある"幼馴染"だね~


○○:...お前、叙々苑だけは無しだぞ!

美月:なんでっ!

○○:お前のせいでどんだけ諭吉さんが飛んで行ったと!

美月:経済は回してこそよ~♪

○○:回してるのは、お前じゃなくて俺だけどな!

美月:もう...
うるさい男はモテないぞっ!

○○:...うっせぇ





時には、"幼馴染"としてストレス発散に付き合って....




美月:あぁ...疲れたぁ...

○○:アイドルがそんなジジィみてぇな声出すな

美月:えぇ~、いいじゃ~ん
どうせ○○しか見てないんだし

○○:まぁそうだけどさ...

美月:私の至福の時間なんだから

○○:...アイドルがソファに寝転がってアイス食ってるところが、ね~


美月:in○○ハウスってところも重要だから

○○:そう?

美月:うん、めっちゃ大事

○○:なんでよ笑

美月:だってこぼしても何してもいいじゃん笑

○○:ひどくない?笑

美月:うそうそ笑
そんなこと思ってないから

○○:...美月の言葉ってたま~に嘘っぽく聞こえるんだよな~

美月:え~?私、○○に嘘ついたことなくない?

○○:何言ってんの笑
マネージャーの仕事だって、最初は...

美月:あれは騙してないって!

○○:どの口が言ってるのよ笑





時には気の許せる"親友"として、これまでの人生を共に歩いてきた





~~~~~~~~



まぁここまでのやり取りを見てもらったら大体わかるのかもしれないが...

俺と美月は幼馴染


なにするにもずっと一緒で、常に隣にいるのが当たり前だった


一緒に居て気を遣わないし、何をしたいかお互いにすぐわかる
美月も俺の性格を知っててくれてるし、俺も美月の考えを知ってる

小学校、中学校と学校に馴染めなかったり....
人間関係が上手くいかなくなったり...

まぁ、似てるところばっか



だからかな...
あいつが"アイドル"をやりたいって言ってきたとき
ものすごく嬉しかった


オーディション期間中もずっと相談を受けて、写真撮ったり特技を一緒に考えたり
美月が受かるためにできることはなんでも手伝った

結果はもちろん合格
まぁでも、美月が落ちるなんて考えられなかったから心配はしてなかったけどね




ただ....
俺と美月が一緒に居なかった期間でもある...




美月が乃木坂46の中でメキメキと頭角を表す中

俺はというと、通信制の高校に通いながらバイトして適当に毎日を過ごしていた
やる気も生きる目的もなく、ただただ寝て起きての日々を繰り返すだけ


ただ、ずっと美月の事は気にしていていた


○○:あいつ、すげぇな...
センターやってんのか...

19枚目のシングルで、選抜に選ばれていないながらも
選抜常連の先輩たちの中で、同期の久保とともにセンターを務めたり...


○○:専属モデル...
もう...行くとこまで行ったな...


専属モデル就任のニュースを見て、夢が叶ったことを心で祝福したり...



でも、直接連絡を取ることはしなかった

一度会ってしまったら、離れたくなくなってしまうから...


美月も同じことを思っていたようで、俺たちのトーク画面はいつの間にか公式ラインで埋もれていった




あの時を除いて....



2019年4月

乃木坂の活動としては23枚目の「Sing Out」の期間


そう、美月はずっと頑張って頑張って頑張りまくった結果、休業せざる得ない状況になってしまったのだ

その時に初めて"乃木坂46"の美月から連絡が来た



美月L:ねぇ、今日暇?



とだけ


まだ休業が公になる前だったけど、「あぁ....なにかあったな」と察しはつく


まぁそれからしばらくは、美月が近くにいる生活を送った



ただ...
2人の空白の時間を埋めていくように、ずっと近くにいたから
その期間はめちゃくちゃ楽しかった


美月にとってもその時間は大事だったようで、徐々に体調も良くなっていった


そして、美月の体調が安定してきた頃


美月:ねぇ○○?

○○:ん?

美月:明日行ってみたい所あるんだけど

○○:...それはドライブでってことかい?

美月:イエスッ!わかってんね~

○○:わかったよ
ただし、変装はしっかりしてくれよ?

美月:あいあいさー!



この時は美月のいつもの、思いつきに付き合わされるんだ、って思っていた....

山でも海でも、行きたいなら付き合うって決めてたから


次の日...


美月:さぁ!行こう!

○○:わかったから
ちゃんとマスクして!


美月:はいはーい!
あっ!案内は私やるから免許取りたての○○は運転に集中してね~

○○:...それ信用していいの?

美月:あっ!美月ちゃんの言うことが信じられないって?

○○:違う違う
美月、地図読めたっけ?

美月:...まっ、細かいことは気にしな~い

○○:ったく...
一通を逆走とかさせるなよ?

美月:わかってるって!



そうして運転して連れてこられたのは...

〇〇:......ここ?

美月:うん!



海でもなく、自然豊かな山でもなく......



美月:はーい!到着!

○○:...こっから歩くの?

美月:違う違う
ここだよ、ここ

○○:....ここって

美月:そう!我らの総本山
"乃木坂46の事務所でーす!"


○○:おい、美月
お前まさか...


"卒業"

この2文字がちらつく
ただ、そんな素振りは一度も見せなかったから...
いや、隠しているだけか?

...なんて嫌な考えが頭の中をぐるぐるしている




美月:あっ!お疲れ様で~す!

警備員:お疲れ様です!
お久しぶりですね!


俺を置き去りにもう警備員さんと話をしている美月
このまま帰ろうかなって思っていると...


美月:はい!

○○:...何これ

美月:臨時入館証!
これないと入れないからね~

○○:...嫌な話じゃないといいけど



そうして美月の案内で社内をどんどん進む



コンコン


??:は~い



美月:失礼しますっ!

??:おぉ!美月、久しぶり

美月:お久しぶりです!
"今野さん"

今野:どうだ?少しは休めたかい?

美月:はいっ!もうピンピンしてます!

今野:そうか...
ん?誰かと一緒に来たのかい?

美月:...あっ!そうですそうです!


忘れられてたし....


今野:えぇっと...彼は?

美月:ほら、○○挨拶して

○○:えっ、あぁ...
伊東○○です

今野:...君はどうしてここに?

○○:それが僕にも...

美月:今野さん!

今野:うわぁっ!びっくりしたぁ...

美月:○○を私の専属マネージャーで雇ってください!


○○:....はっ?






今○:はぁーーーー!?



今野:って○○君は知らなかったのかね?

○○:自分はただここまで運転させられてきて何も聞かされていないので...

美月:お願いしますっ!

今野:...訳を聞いてもいいかい?


美月:...私は0か100かでしか動けないみたいです

今野:...

美月:この休みの期間中、どう動いたら穏便に乃木坂を辞められるだろうってずっと考えていました


○○:おいっ...


美月:でも...
結局答えなんか出なくて....
いつの間にか、何を変えれば私は頑張れるだろう、に疑問は変わってました

今野:....

美月:その答えが○○です
私の事を、家族よりも知っててくれている○○と一緒なら、私は頑張れると

今野:...美月の意見はわかった
でも、それを彼に何も伝えずに来て...
困惑している彼の"これから"を捧げてくれって言うのかい?

それは少し順番が違うんじゃないかな?

美月:わかってます...
でも...私にはこうするしか方法が...



○○:今野さん、でしたっけ?

今野:あぁ...合ってるよ

○○:自分を美月の専属マネージャーにしてください

美月:っ!?

今野:君まで...
いいんだぞ?美月が突然言い始めたことなんだから断ったって

○○:...いつもの事です

今野:...ほう

○○:実は、今日美月が卒業したい旨を言いに来たんだと思ってました

今野:それはなぜに?

○○:美月の性格を知ってるからです
妙にテンションが高かったから

でも、卒業を持ち出した時、自分はここでファンの一人として止めようと思ってました

今野:...

○○:美月は、自分で決めたことを意地でも曲げない
今野さんもご存じですよね?

今野:...あぁ

○○:でも....
それを曲げられる人物がいたらどうします?

今野:もしかして...

○○:はい...
美月を知っているからこそ、できることです



今野:....

わかった、○○君


"美月のことお願いできるかい?"


○○:はいっ!




~~~~~~~~


美月:今野さんもよくOK出したよね~

○○:今思えばね
普通の採用試験だったら、3回は面接あるのに

美月:それを今野さんに会って話しただけだもんね

○○:ほんとに...


そんな昔話だけど俺らの大事な時間を、振り返るように話す美月



その表情だけでわかる

あぁ....
ついに"決心"しちゃったか...





○○:それで?



"いつ卒業するの?"


美月:っ!?

○○:気がついてないとでも思った?

美月:絶対に気づかれないって思ってたのに...

○○:あのなぁ....
去年のツアーからなんとなく感じてたわ

"もうこの景色を味わうことは最後だな"って顔してたし



美月:...まっ、○○なら気がついちゃうか

○○:もう、後悔はなく?

美月:うん、アイドルとしてはやり切った

○○:そっか...

美月:止めないんだね

○○:じゃあ俺が止めて、撤回する?

美月:ううん

○○:ね?俺でも曲げれなくなったら、それはもう何を言っても無理

美月:...ねぇ、○○?

○○:ん?

美月:ありがとう

○○:ばーか、こっちのセリフだよ


そう言って笑い合う


美月:ふふっ、じゃあもう2個お願い!

○○:普通1個だろ?

美月:いいから聞いて!

○○:はいはい


美月:私が卒業したら、かっきーの専属になって

○○:....はい?

美月:それと....

○○:ちょ、ちょ待って
なんで賀喜の専属?

美月:あの子見てたらわかるでしょ?
私の休業前に似てるって


○○:....

美月:図星♪
私の推しをどうか、お願いね?

○○:...もう今野さんに話してあるんでしょ?

美月:ピンポーン!大正解!

○○:ったく...わかったよ

美月:じゃあ2つ目ね....


自分の唇に柔らかい感触が...



美月:....迎えに、来てね






まぁそんなくらいに...
俺って肩書き何個持つことになるんだろうな...

マネージャー、幼馴染、親友、彼女、奥さん、父親.......


いくつかはまだ早いんだけど...笑

でも、俺はあなた以外考えられないよ



美月......


今までいろんな景色を見せてくれてありがとう




そして...


卒業、おめでとう





...fin

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