私記10

 健康診断にいったら一年前から体重がぐんと減っていた。体型はほとんど変わっていないし、このとこ毎日のように飲酒するから2、3キロは増えているものと思っていたぶん、ちょっと危機をかんじるていどに減っていた。めしがくえないのだ。腹は減るし味覚も正常だが、いつもの半分も食べるともういやになってしまう。たばこのせいもあるかもしれないが、食べるってことに我慢ならないほど飽きがきている。たいへんあやうい。体力がおちるのは避けたいので、「孤独のグルメ」のドラマを見ながら気を紛らわしつつ食欲をでっちあげて、なんとか腹におさめている。だれにとはなく、というより、だれもかもに申し訳ないことをしている。

 そういえば眠れないことも増えた。疲れて眠いのにどうしても落ちられないのである。眠ろうとすると、脚や歯や手の指の神経がとげとげしく過敏になって気になってしかたなく、わっと叫びだしたくなることしばしば。諦めて起き出して、本を読むなり絵を描くなり映画を見るなりする。夜明けと深夜の間ごろになってようやくうとうとする。かと思えば、あるときにはまる半日まったく目を覚まさず、起きて時計を見てあぜんとしたりする。何が起きているのやら。めがねをこないだブルーライトカットのものに換えたから、目の疲労はずいぶんらくになったが、その分画面を見る時間はかなり増えた。それが関係しているかどうか。要するに、端的に調子がぜんぜんよくない。ともかくも、眠れなくてもさっさと床にはいって目を閉じている生活をめざす。

 きのう、小中の同級生から突然電話がきた。そこまで仲良しでもなかった、電話するのも初めての人。今何してるんだと訊かれ、院生してる、就活はなんにもと言ったら意外がられ、まあそうでしょうねと思う。この歯がゆい状況が落ち着いたら心当たりに声をかけて飲みにでもという話。二週間ほどまえにも、飲み屋にいったらたまたま中学の同級生が集まっていて、外の喫煙所で話しながら「変わったね」と言われた。納得はできる。むかしもっといやなやつだったからね。今もだけど。だから今は、そのいやなやつだった自分を決算、あるいは成仏させる時機かもしれない。体のこの痛覚のない調子崩れも連動している可能性、ありやなしや。落ち着いて見定めること。べつに最終的に逃げでもいいので、言語化を怠らないように。

本買ったりケーキ食べたりします 生きるのに使います