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「2010年の『 BEFORE_AFTER 展 』」

8年程前の話。

僕が今でも忘れられない展示会が、大阪の平和紙業株式会社による企画展、「 Think PAPER『 BEFORE_AFTER 展 』 」です。 グラフィックデザイナー 増永明子さんがデザインをし、コスモテックは箔押しで全面協力をさせて頂いた展示会です( 会期は2010年11月8日(月)~17日(木) )

約20種類の紙を使い、コスモテックで箔押し加工をしたB1サイズのポスター24点を展示した大阪 『 BEFORE_AFTER 展 』。

今、改めて振り返ってみると、この展示会がコスモテックや僕にもたらしてくれたものは非常に大きかったと言えます。まさしく『 BEFORE_AFTER 』。

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時は2010年10月29日(金)30日(土)31日(日)。

季節は秋が深まって冷え込むようになった頃。
3日間連続、朝から深夜まで、ポスターの箔押し加工を行いました。

大阪からはデザイナーの増永さん、平和紙業からは西谷浩太郎さんが駆け付けてくださり、全員が一丸となって、ポスター製作に挑みました。こんなにもひとつの仕事だけに集中的に時間を割いた経験は初めてで、今も僕の中にしっかり刻み込まれております。

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コスモテックが本格的に全面協力させて頂いた展示会といえば真っ先に頭によぎるのが 「 Think PAPER『 BEFORE_AFTER 展 』 」。

増永さんの極上のデザインが箔押しによって命をふきこまれていく様を目の当たりにし、また、増永さん自身による細やかな指示を身近に体感することが出来たことはかけがえの無い時間でした。

肉体的にも精神的にも正直ハード過ぎた3日間。

展示会の主催である平和紙業の西谷さんは、最初から最後までとことん付き合ってくれました。朝から日付が変わる頃までずっと。後半2日間は休日だったにも関わらず。それが、どれだけ僕にとってもコスモテックの職人たちにとっても心強かったことか… 奮い立たされました。

今でも思い出します。

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左 平和紙業 西谷浩太郎さん | 右 コスモテック 箔押しの匠 佐藤


加工最終日、作業がやっと終わった夜中。

最後の最後は僕と西谷さんで運送会社の集荷センターまで車をとばして、駆け込むようにポスターを東京から大阪行きの便に乗せました。

帰りの車中、安堵感からか僕等の目には薄っすらと光るものがありました。二人とも日頃は全く泣くような人間では無いのですが、この日は何故かグッと込み上げてくるものがあったのです。

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おかげさまで大阪での展示会は大盛況でした!

僕も展示会を見届けるために初めて大阪に出張し、そこで多くの出会いもありました。 展示会場に堂々と吊るされているポスターを眺めている時、お手伝いさせて頂けた誇らしい気持ちと共に、誰も知るよしもない製作の裏側・僕たちの3日間の死闘が蘇ってくるかのようで胸が熱くなりました。

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この展示会のためだけに工程を確保し、休日返上で集中して加工した3日間。デザイナー、紙屋、箔押し屋がまるで合宿のように一日中工場に詰め、同じ目的のために力を合わせる体験は、僕の中に 「 共に作り上げる楽しさ 」 を刻み込みました。

肉体的にも精神的にもハードだったにもかかわらず、加工に熱中した3日間はそれを上回る興奮で疲れをほとんど感じませんでした。

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同じ場所で顔を合わせて意見をぶつけ合うこと、目の前で試行錯誤すること、完成を喜び合うこと、そこには遠慮や立場の違い、上下関係などはなく、ただ一緒にいいものを作りたいという気持ちに満たされた素晴らしい空間でした。

この体験から、僕は今でも企画段階から一緒に加工のことを考え参加させていただくこと、お客様にコスモテックに来ていただいて加工に立ち会っていただくだくことが大好きです。 「 一緒に作り上げる 」 という意識がこの時の興奮を思い起こさせるからでしょうか。

真剣に仕事に向き合い、人に向き合い、作品に向き合うことを教えてくれた『 BEFORE_AFTER 展 』 に、今でも深く感謝しています。

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