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秋の空は高いのに 冬の空を低く感じるのはなぜだろう 雪雲が空に蓋をして ぼくは窒息しそうになる 同じ空のつづきを きみもどこかで見ているだろう 長い時間の果てに 震える地球に身構えるように 表情を見せないまま 背後から広がる光が 銀花に瞬きをもたらして 灰色の雲が星空になる 凍える手を手袋に入れ 両手を口に当て 息の吹き溜まりをつくれば 少しばかりの暖を丸め込んだ 地球の上を 針の先で刺したような点に棲む きみもぼくも この空の下で生きている 叶えられない想いを 抱
冬がやってきた あっさりとした冬がきた そう思って首をすくめた ある日 一日中風はなく 日溜まりができていた 穏やかな日差しが溜まる 今日だけは何も起こらない ただの日曜日 昼下がりの日溜まりは ほっこりこっくりまるい 時間もゆっくり小休止 のどかな歩みを止めるよう 日溜まりに腰掛ける父と母 めずらしく並んで ぽつりぽつりと話しする そのままの時間を留めたく 声かける 照れくさそうに笑うと 写真に納まった そうしてわずかばかりの 安堵の時間は どこにもない 冬のひと時