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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2017年5月の記事一覧

三日月

「道」というものはいろいろある 見通しのよい 真っ直ぐな「一本道」 曲がりくねった「曲がり道」 「回り道」もあれば「近道」もある 「平坦な道」もあれば「凸凹道」もある 「いばらの道」を歩くこともある ふらふらと「寄り道」に 細い「あぜ道」 秘密にしたい「抜け道」「裏道」 本筋から逸れる「横道」「枝道」もある 行く先惑う「迷い道」に陥るときも 「道なき道」をゆくことさえある そこが自分の道であると信じて どんな道であっても 答えのない道で どんな道であっても 空が広がっ

風 なびく

見上げた高い木々 しなる枝葉 かけぬける風に 大きな動作でなびく 若葉は枝をつかんで 枝は若葉を離さない 戯れにはしゃいでも 生きる力がある 風がかけぬける下で ぼくは木漏れ日を 両手ですくいながら 風を見上げている

おかあさんの雲

あめがやんだ  やっとやんだ あめがきらいなぼくは  ずっと ふきげんなかおをしていた だいすきなおかあさんの カレーライスをたべても サラダをむしゃむしゃたべても ちっともうれしくなかった あめがずっとふっていたから でも あめがやんだ あおいそらがいっぱいだ おかえり ぼくのそら ふわふわした雲もうかんでる まっしろな まあるい雲だ あの雲は だれかににているぞ おかあさんだ おかあさんの雲だ にこにこわらってる 雲のかたちは すこしずつかわる それをながめるのが す

万緑に向かいて

春が長けて  若葉風が誘う いくつかの季を経て ふるさととぼくをつなぐ 色褪せた風景に 彩りがもどり 鮮やかさの陰に隠れて 懐かしさも戸惑いも驚きも よみがえる  青葉 若葉 新緑  緑の階層が  万緑に向かう 風の記憶は 時間軸に刻まれたもの はるか遠い空の果て はるか深い心の底 風が運んだ香りも 記憶のくさび 過去と今を結びつける やがて息を整え 静かに呼吸する