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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2017年3月の記事一覧

言葉、ふたつの力

言葉は引力と斥力のふたつの力を持っている。 引力は引き合う力。 斥力(せきりょく)は反発する力。 愛ある言葉や丁寧に考えられた言葉には引力が働き、 心ない言葉や薄っぺらい言葉には斥力が働く。 言葉を発する人もそれを受けとる人も 言葉にこめた考え方や意思によっても そのときの心身の状況によっても 働き具合や響き具合は違ってくる。 だから引力を感じる言葉だと感じたときは 素直にそれがかけがえのない力になる。 人はもともと弱い存在だし、 いつまでも、どこまでも、どこにいても、

ぼくの居場所

子どもの頃、 まだやわらかい頭や心を持っていた頃、 子どもは人間とだけではなく いろいろな動物や虫たちとお話ができたり、 石ころや草花や空にうかぶ雲の声だって 聞くことができています。 しだいに自分が大きくなるにつれて、 それらの声が一つずつ聞こえなくなってくると 子どもはオトナの硬い殻を被るようになります。 そしてついには人間の言葉しか聞こえなくなる。 そうなると硬い殻は脱げなくなってしまいます。 硬い鎧のような殻は 身を守ってくれるかもしれません。 でも脱げない殻は中身を

サイン 2017

いつの間にか 飛ばなくなった鳥のように 高い空を見つめて 憧ればかり いつの間にか 泳がなくなった魚のように 深い海を見つめて 思慮にふける 見上げる空にも 見渡す海にも 確かさはどこにあるのだろう いつの間にか 考えなくなった哲人のように 厚い書物を重ねて ため息ばかり いつの間にか 話せなくなった語り部のように 薄い台本を広げては閉じる 重ねた書物にも 広げた台本にも 真実はどこにあるのだろう  だれか助けてよ  だれか側にいてよ  だれか触れてよ   わた

そらと あなたと わたし

そらが きげんのよいときは あなたは にっこりわらって はなうたうたう そらが きげんのわるいときは あなたは なにもいわずに ほんをよんでいる そらが うつりぎなときは あなたは そわそわして おちつかない  あなたはいったい だれなの あなたが きげんのよいときは そらは にっこりわらって ひかりのあめだ あなたが きげんのわるいときは そらは しかめっつらの なきがおだ あなたが うつりぎなときは そらは みないふりして とおいめをする  わたしはだまって