見出し画像

視点を変えれば、経年マンションも生まれ変わる。

※上部掲載の写真はコスモ北千住ロイヤルフォルムにて2022年10月に撮影したものです。

当社では、リノベーションマンション事業でマンションの1室のリノベーションを行っています。
これまでのノウハウをマンションの共用部のリノベーションへも活かせるのではないかという想いのもと、新築時に売主として販売したマンションの共用部をリニューアルする取り組みを実施しています。
その取り組みについてインタビューしました。

―今回はどのような取り組みを行われたのでしょうか?

当社は、1974年にマンション分譲事業を開始して以来、首都圏・近畿圏を中心に、これまで10万戸超のマンションを供給してまいりました。
リノベーションマンション事業では、マンション一室のリノベーションをおこなっていますが、
「そこで蓄積したノウハウを築年数が経ったマンションの共用部のリニューアルに活かすことができないか。」
「共用部をリニューアルすることで、そのマンションを長く利用することができ、マンションの価値を向上させることはできないか。」
また、「新築時に販売した売主として、再び居住者さまと接点を持つことができないか。」
などの想いと共に、
大学や他企業と共同研究したり、実際に新築時に売主として販売したマンションへの提案をしました。

具体的には、
当時竣工20周年だったマンションの管理組合理事会に共用部リノベーションをご提案し、館銘板をリニューアルしました。
ご提案段階では、ロビーに国産木材を使用したベンチの設置の提案もしましたが、居住者さまへのアンケートにより館銘板が選ばれました。
館銘板は日々皆さまが目にするものなので、とても愛着があったようです。

リニューアルした館銘板(2022年10月撮影)

―なぜ、このような取り組みをしようと考えたのでしょうか?

全国の空き家が約848万9千戸
(平成30年・住宅・土地統計調査 特別集計より出典)を超え、
既存ストックの活用が研究、実践され始めて久しいですが、
再生・活用が実際進んでいるのは、
賃貸マンション、賃貸団地、オフィスビルなどに限られています。

しかし、

区分所有(※)の分譲マンションについてはほぼ進んでいません。

※区分所有
マンション全体ではなく、部分ごとに所有者が異なること。

そのため、
今後下記問題がクローズアップされることが考えられます。

■旧耐震物件(※)と違い、新耐震物件は未消化容積が少なく
建替補助金の対象からも外れている。
全所有者の合意が必要等、建替えがほぼ不可能。
(最も古い新耐震基準マンションが築43年)

※旧耐震物件
1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認において適用されていた耐震基準で建てられた物件

■人口減が想定される中、
分譲マンションの資産価値維持・向上を行うことで、
空室の増加や、それによる荒廃・不法侵入・犯罪・衛生環境の悪化など
マンションがスラム化することを避けたいというニーズは増加するが、
具体的な対応の研究・サービスがほとんどない。

■都市にとって分譲マンションは優良な建物ストックであり、
専有部のリフォーム・リノベーションについては
事業としても拡大しているが、共用部の修繕以上の
価値向上の手立てが現状ない。

などなど、色々な問題を抱える中で
高経年分譲マンション再生のプロジェクトを始めました。

―この取り組みへの想いはどのようなものでしょうか?

一棟所有の建物であれば意思決定がシンプルで、
ストック活用が可能です。

しかし、
1住戸ごとに所有者が異なる、区分所有の分譲マンション故に、
意思決定が難しいという問題があります。

資産向上の投資に対するリターンの判定が難しく、
修繕金などが読み込まれておらず、
現状維持の大規模修繕しかできないことがほとんどです。

分譲マンションの共用部を有効活用し、
お金を生み出す新しい価値を生み出すことができれば、
所有者のみならず、有効活用の方法によっては
周辺地域などにも影響を及ぼすことができるはずです。
新築時に売主として、10万戸以上のマンションを販売してきた当社だからできることだと思っています。



<担当者の紹介>
髙橋晴彦
入社から9年。
リノベーションマンションの設計・商品企画担当。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?