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ひとりごと英語をレベル分けしてみた②

「英語スピーキングも、英語多読でやさしいレベルの本から順に読んでいくようにレベル分けできないか?」。そんな仮説から生まれた学習書「英語スピーキング100本ノック」(著・光藤京子)。同書では、1人でもできる英語スピーキングのトレーニング法として定評のあるひとりごと英語を、英文の長さや時制別に4段階にレベル分けしました。Step 1では日常の行動習慣を1文でつぶやきましたが、はたしてStep 2では?

日記表現をつぶやけば、
エピソード・トークもバッチリ! 

 ひとりごと英語のStep 2では、 日記に書くつもりで2文でつぶやきます。レベル 1は現在形で制限をかけたので、レベル 2では過去形にフォーカスしようと決めた際、イメージしたのが「日記」でした。日記なら過去の出来事や体験談が話題となるのも自然です。とは言え、あまり長々としたものではレベルが上がり過ぎてしまいます。

 そこで日記の中でも最もシンプルな「2文日記」をモチーフとしました。この2文は、最初の一文が過去に起きた出来事や状態を表し、次の文がそれに対する感想や詳細の補足というシンプルな形式です。これってネイティブにHow was your day?(今日どうだった?)と聞かれた際、即答するにもちょうどいい長さですしね。

 今日起きた出来事とその感想が英語で話せるスキルが身につけば、体験談やエピソード・トークの導入としては上出来です。英語のスピーキングにも自信が持てることでしょう。このStep 2での達成目標は下記です。

・過去形を使って、今日起きた出来事を報告できる
・感情を示す形容詞や感嘆文を使って、自分の気持ちを表せる
・現在完了形を使って、小さな自慢話や経験談が語れる
・過去の出来事について、2文で一言感想や補足を交えて話せる

 過去形では、過去のある1点(1期間)に注目した出来事や状況を表すことができます。以下に本文で登場した例文を見ていきましょう。

Step 2では過去形を使って、日記に書くつもりで2文でつぶやく。
また、現在から過去をふり返って語るときに使う「現在完了形」も解説する。

I had a lot of laundry to do today. (今日は洗濯物が多かった)
I was told to brush my teeth more. (もっと歯を磨くよう言われた)
I ran into a friend the other day. (先日友達とばったり出くわした)
I practiced piano when I was little. (私は幼い頃、ピアノを習っていた)
I used to cook for the campus festivals. (学園祭でよく調理を担当した)  We went to a bar after work. (仕事の後、みなで飲みに行った)
We used to play dodgeball together. (我々はよくドッジボールをした) My client kept calling me today. (今日は客が何度も電話してきた)
My neighbor helped me with the garbage. (お隣さんがゴミ捨てを手伝ってくれた)
A sleepy guy leaned against me on the train. (電車の中で寝ぼけた男が寄りかかってきた)

 まずはIを主語にして「今日あった出来事」について英語で報告しましょう。 それから先日の出来事や幼少期など、少しずつ遠い過去についてもつぶやけるように練習してみてください。

 used to...(かつては~したものだ)のよう なフレーズは、今と比較しながら過去を回想するのに便利な表現です。慣れてきたら、HeやWeなどI以外を主語にして過去の出来事を回想しましょう。 a sleepy guy(寝ぼけた男)のような表現を主語にしてつぶやけるようになれば、あなたの描写スキルもさらに前進です。

形容詞や感嘆文を使って、一言感想を述べよう!

 Step 1では日常の動作を表現する基本動詞や句動詞に焦点を当て、1文でつぶやいてきました。

 Step 2では英文が2文に増えたため、過去の出来 事をつぶやくとともに、その出来事に対する一言感想やリアクションをつけ 加える必要性が出てきました。そこで役立つのが、さまざまな感情を示す形容詞や感嘆文です。本文に登場した以下の例文を見てみましょう。

I was a little excited! (ちょっとワクワクした)
I was so disappointed. (超がっかりした)
I was so embarrassed. (とても恥ずかしかった)
It was so boring. (実に退屈だった)
It was so annoying. (とても腹立たしかった)
It was so refreshing. (すがすがしい気分だ)
It was stale.(硬くなっていた)
It was a little lukewarm. (少しぬるかった)
What a nice day! (何ていい日だ!)
How rude! (失礼な!)

 excitedは、人を主語にして「ワクワクして、興奮して」という意味を 表す形容詞です。一方、excitingは物や事柄を主語にして「ワクワクさせる、 興奮させる」という意味を表します。つまり上記のI was a little excited! (ちょっとワクワクした)は、視点を変えてIt was a little exciting!(それは少しワクワクさせるものだった)のように言うこともできるのです。

 同じことはbored(退屈して)とboring(退屈させる)、annoyed(イ ライラして)とannoying(イライラさせる)などにも言えます(主語を間違えて例えばI was so annoying.と言うと「私はとてもウザい人間でした」 という意味になるので注意しましょう)。

 以下にまとめたので、これらの表現をセットで覚えてしまいましょう。

I was so bored.(私はとても退屈だった)
It was so boring.(それはとても退屈だった)
I was so excited.(私はとても興奮した)
It was so exciting.(それはとても興奮させるものだった)
I was so tired.(私はとても疲れた)
It was so tiring.(それはとても疲れさせるものだった)
I was so disappointed.(私は超がっかりした)
It was so disappointing.(それは超がっかりさせるものだった)
I was so embarrassed.(私はとても恥ずかしかった)
It was so embarrassing.(それはとても恥ずかしいものだった)
I was so annoyed.(私はとても腹立たしかった)
It was so annoying.(それはとても腹立たしいものだった)
I was so refreshed.(私は超スッキリした)
It was so refreshing.(それは超スッキリさせるものだった)

 上記に挙げた-edと-ingの感情を示す形容詞以外にも、Step 2では sweet(優しい)、stressful(ストレスの多い)、unpleasant(不快な、 嫌な)、crunchy(サクサクした)など、さまざまな形容詞が出てきました。 ぜひ何度も復習してみてください。

 さらにHow+形容詞What+名詞から成る感嘆文も、一言感想を述べるのに便利な表現です。これらの言い回しを用いて、自分の心の動きを英語でつぶやく表現力にさらに磨きをかけてください。

現在完了形を使って、小さな自慢話や経験談を 語ろう!

 Step 2の後半で取り上げたのが、現在から過去をふり返って「今までのこと」を語るときに使う現在完了形です。

 単純に過去形を用いる場合は現在とは切り離して語られます。一方、現在完了形を用いることで過去の出来事が今に影響していることを強調することができます。以下の例を見てみましょう。

I have already finished my breakfast. (朝食はすでに食べ終わった)
A package has just arrived. (小包みがちょうど今届いた)
I’ve known her for a long time. (彼女は古くからの友人だ)
My friend has studied Czech for 3 years. (友達はチェコ語を3年習っている)
I’ve been doing laundry since this morning. (朝からずっと洗濯にかかりきりだ)
I’ve heard about him. (彼について聞いたことがある)
I’ve never been to Australia. (オーストラリアには一度も行ったことがない)
My friend asked, “Have you read this book?” (友達に「この本読んだことある?」と聞かれた)

 Step 2では、現在完了形の「完了」「継続」「経験」の用法について取り 上げました。

 「完了」の用法では Iʼve finished my work!(やっと仕事が終わった!)のように、今までにもう~したこと、「過去から続いてきたことが現在はもう完了している達成感や臨場感」に力点が置かれます。
 今までかかりきりだったがついに達成した出来事や、ちょうど今起こったタイムリーな出来事をつぶやく際に使ってみてください。

 一方、「継続」の用法ではMy friend has lived in Tokyo for two years.(友人は2年東京に住んでいる) のように、今まで続いていること、「過去から続いてきたことが現在も続いている持続感」が強調されます。
 数年来続く趣味や習い事を自慢したり、長年の人間関係についてつぶ やく際にぜひ使ってみてください。

 3つ目の「経験」の用法では、I feel like Iʼve experienced this before.(こ の場面、前に見た気がする)のように、今までに~したこと、過去の体験が今につながっていることが強調されます。
 Have you (ever)...?([今までに]~したことは ありますか?)と質問された際はぜひIʼve...(私は~したことがあります) やIʼve never...(私は今まで~したことがありません)を使って答えてみてください。

助動詞を駆使して、過去回想にさらに彩りを!

 その他にもStep 2では、Step 1で出てきた助動詞の発展形としてmay have...(~だったかもしれない)、should have...(~すべきだった)、 must have…(~したに違いない)なども取り上げました。

 過去の出来事に対する後悔や当て推量、確信のある推理をつぶやくこれらのフレーズを使って表現力を磨けば、過去を回想してつぶやく際にも一段と自信が持てることでしょう。

may have(~したかもしれない、~だったかもしれない)
→ある事柄が過去に起きた可能性を表す。根拠は乏しく推測の域を出ない。
should have(~すべきだった、~だったはずだ)
→過去に期待されていたことが実行されなかった後悔を表す。または過去の時点での予想を示す。
must have(~に違いない)
→ある事柄が過去に確実に起こったと、強い確信がある場合に使う。
■例文
I may have left my keys at the office. (会社にカギを置いてきたかも)
I should have left home earlier. (もう少し早く家を出るべきだった)
I must have left my umbrella on the train. (電車に傘を置いてきたんだ)

著・光藤 京子
国際会議やビジネス会議の通訳を務めた後20年近く、東京外国語大学などで英語コミュニケーションや通訳・翻訳の指導にあたる。日英翻訳グループTAS代表、翻訳コンサルタント。グローバルコミュニケーションのプロフェッショナルとして、講演や雑誌の執筆活動も行う。

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