反社会的勢力はなぜ日本に多く、増え続けるのか(8)

 スイスの話を書いていくが、私はスイスは素晴らしい国だと思っているし、実際に行った経験として良い印象を持っている。綺麗な山国だ。従って、以下に書くことで、スイスを侮辱していると思われる人がいるならば、それは誤解であるし、誤解させていまうようなことを書いたことをお許し願いたい。

怪しいお金はスイスへ、の時代があった?
 昔の金融機関はスイスに拠点を持っていた。スイスフラン建て預金やローンもあれば、スイスフラン建て社債もあった。社債の場合、スイスフラン建て転換社債やワラント債、というのが、バブル期(1980年代後半)には急増した時期もあった。
 当時のスイス勤務者の日本人に言わせると、スイスで起債するとなぜかリスクをとる投資家が買ってくれた、というような話を聞いたことがある。その人はその投資家が何人家には触れなかった。
 ちなみに、スイスの現地法人でスイスフラン建て転換社債などを発行していたのは、証券会社の現地法人だけでなく、銀行の現地法人もある。ユーロ市場のトップを野村と興銀(今のみずほになったうちの一つの銀行)が争う時代もあったようだ。
 さて、バブル期に日系証券が引受ランキングでトップを争えたのは、発行体が日本企業だから、というのが説明だった。しかし、買っている人は外人だったのだろうか。先ほどの、リスクをとる投資家、というのは、怪しいお金だったと語ってくれる人がいる。例えば、1997年に廃業した山一證券はスイスのルガノに拠点を持っていた。闇の金も拠点の人達が現金で移動させていたという。(本当かな?)
 とすると、彼らはスイスに居た方が良いのだから、その怪しいお金と、それを扱う人は、今もスイスに少なからずいる筈ではないのか。。

清濁併せ呑むスイスの銀行
 
なぜスイスだったのか。スイスの銀行は清濁併せ呑む。あのナチスのお金もスイスが預かっていたらしい。それは今では証明もされているとのこと。
 先日、米国がイランが、米国人捕虜5人と60億㌦の交換をしたと発表され、捕虜の五人は米国に戻ったが、このお金の動きにスイスが絡んだ。
 お金自体は韓国がイランに支払うべき代金を米国がフリーズしていたもので、イランからすれば迷惑な話だっただろう。ところが、そのお金を直接イランに動かさずに、スイス、そしてカタールを経由したという。
 そもそも、イランが悪い国、というのは米国側の見方で、イランにはイランの主張がある。日本は親イラン国で、イランの資産が沢山あるので、イランがあまり悪い国には見えないし、米国一辺倒というのに気がかりな人もいるだろう。
 さて、話を戻すと、兎に角、喧嘩をしている両方の間の資金の動きや、怪しい金を受け入れるのがスイス。お金の出元を気にしないのがスイスである。そう、日本のヤクザのマネーも入っている筈だ。山一證券が悪い事をやっていたかどうかはわからない。しかし、昔は今ほど反社とかKYCとか言わない時代だったので、さもありなんというのが話を聞いた際の印象だ。
 そして、その関係者は今もスイスを利用する。

イーサリアムはスイスが拠点?
 日本からスイスに移住した人は、当然すべてが怪しい訳ではないが、どこの州に移住するかで難しさが異なることを知っている。スイスは風光明媚で、ダボス会議の会場もある、スイスモンブランもある、スキー場もある、と良い面ばかりを宣伝する人もいるが、マネロン的には怪しいことが多い国であることは間違いない。
 イーサリアムは真面目なブロックチェーン企業だけれど、拠点がスイスだと聞いたので、どこか怪しい雰囲気を感じざるを得ない。繰り返してしまうことになるが、Web3は常に怪しがられるというのが現実だろう。
 このところ、イーサリアムの初期投資家が資金を動かし始めたという話もあるが、これもマネロン的には何か背景があるのかも知れない。

なぜ反社はスイスを選ぶのか?
 ドバイと異なって、スイスは欧州の一部なので、上述の風光明媚さと共に印象が良い。不思議なことに、反社でも大卒はいる一方、大学中退の人が多いといことを聞いたことがある。理由はわからないが、そういうことらしい。学歴差別のように聞こえるかもしれないが、ここで取り上げているのはどういう人かということであり、彼らや彼女らが大卒か中退かで区別をしようというものではない。
 ところで、今、社会で立場を強めたい人は、自分達のレーゾンデートルを作るために、企業ではスタートアップ、学校では卒業資格を出せないけれど英語教育などで延びようとする高校レベル以下の学校、そして私学で経営困難となり資金支援が必要な大学、に向かうという話を聞いた。Web3のコンフェレンスを見ても、それはほぼ間違いなく事実だと感じる。
 既述の通り、そこには公的機関を(そこでは華々しく生きれなかった人を中心に)やめた人が集まろうとしているらしい。これが悩ましい。良い組織というレッテルを貼ってしまうからだ。
 さて、このうちでスイスにも触手を伸ばす組織が少なからずある。しかし、これが反社と関係しているかどうかはわからない。

 反社がスイスを選ぶのは、スイスはルールが緩くて、もともと清濁併せ呑むわけだし、周囲がスイス人なら、少ない日本人は良い人というレッテルを自分で貼って生きることもできるかららしい。反社も苦労をしているのだ。
 しかし、それは普通の日本人にとっても同じで、反社だからどうだということだけではない。

スイスで起債が出来た本当の理由を再考すると・・・
 発行体も日本企業、証券会社も日本企業、投資家も日本企業・日本人、つまり一から十まで日本人で仕上がったから、増えたのだ。そして、その実績を日本勢が手にしたのだ。

 投資家に反社がいたのは、いろいろと聞いた話を総合すると、ほぼ間違いないだろう。その企業が、調達した資金を、この反射的投資家に別の所でわたせば(全額ではないだろうが)マネロンが成立する。ここは仮想通貨を考える際の肝でもある、ので記憶しておいてほしい。とすると、昔はマネロンが正々堂々と真面そうな取引を使ってやっていたということなのだろうか。

 今の日本とて、本当は刑事事件の筈なのに、なぜか感情的なやりとりになってしまっているものはある。刑事事件にしない背景には、理由があるのだろう。山口組や工藤会の関係者がそこに関連していないとは言い切れない。但し、だれも報じないので事実さえわからない。そこにどれほどのお金が動いているのかと言えば、予想できないほどの額かも知れない。

 スイスの話も同じだ。普通ならスイスに住む理由は日本人にはあまりない。欧州が良いなら、フランスやイタリアがある。フランスは税金は安くないが自由な国だ。ポーランドが良いという日本人もいる。
 しかし、曰く付きのお金を持ち、曰く付きの歴史のある人がいる、という場合はスイスが楽なのだろう。一昔前のシンガポールとてそうだったというし、確かにシンガポールは今も北朝鮮と国交を持っている。しかし、リークアンユーの政策の下でルールがどんどん厳しくなり、兵役もあるので、移住者には制限がかかっている形とも言えるだろう。
 だから、スイスなのか。

 日本で反社というとヤクザもいるが、この北朝鮮関係の人を含むこともある。とても複雑なのだ。ということで、次回は、ヤクザではないのに反社とされる例を見て行きたい。マネロンの仕組みの一つにも触れたい。

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