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【ロイヤルホスト】パフェレビュー端書

僕は甘いものが好きだ。酒も飲む。成人病まっしぐらだ。

でも、好きなものが多いと言うことは、人生を楽しんでいるというのと同義ではなかろうか? 世の中には甘いものを食べるおじさんが結構人気があるとも聞く。「かわぃ〜」とかOLのお姉さんに言ってもらえるかも知れない。えへって照れ笑いをする練習をしておかなければならない。首を左右に傾げながら頭の上で猫みたいに手の平をニャンニャンってさせてもいいかも分からない。いいわけねーだろ。ここ、ころすぞ。

勝手に甘いもの禁止ルール


僕はweb上で趣味で小説を書いているもの書きである。文章を書くのが好きだ。

昔、村上春樹先生がエッセイ上で

「打ち合わせにパフェを食べる編集者はどうかと思う」

というような記述を読んで、勝手に

「もの書きの関連の人は喫茶店でパフェを食べちゃいけないんだ……!」

と思い込んでいた。

確かに、文芸作品を書くような男性はハードでボイルドにタバコを吸いながら、せいぜいソーダクラッカーを齧りつつ黙ってウィスキーグラスを傾ける印象がある。死んだ友人や恋人のことを思い出しながらとか、「糞が!」とか世界を斜に眺めつつ、六十年代の音楽に耳を傾けて。

実際、僕もそういうのに近い二十代や三十代を過ごした。何かを書こうとして、残そうとして生きてきたのだ。ピリピリしていて、パフェを食べて「うめぇ〜」などと吐息を漏らせるような雰囲気はなかった。何にも満足をしていなかったし、隙あらば何事にも文句をつけたいお年頃であったのだ。

でも結局、四十を過ぎるまで小説を完成させた事はほとんど無かったし、何をどうしてしまったのか、結婚し、月給をいただくサラリーマンとして生きてきてしまった。ずいぶん恥の多い人生を送ってきてしまった。


小説を書いた後


四十を過ぎて、webで長編を書いて公開した後(賞はもらえなかったし、性表現を修正しろと言われてこの前めちゃくちゃ削った)、僕は村上春樹じゃないんだなって思った。

何を言ってるんだ、と思われるかも知れないから、もう一度言うと、僕は村上春樹じゃないんだなって思った、という事です。太字にしてやったったりましたよ。どうですか、分かりやすい。

当たり前なんですけど、僕は世界のHARUKI MURAKAMIではない。文章や内容は大先生に似てるとか似てないとかよく言われたり、実際僕も村上春樹の小説ばかり繰り返して読んでいたから、「あれ、俺春樹なんじゃね? 世界のHARUKIじゃね?」と謎の感覚に囚われてしまった事もあったり、はたまた理不尽にHARUKIを憎んだりしたのだけれど、大前提として同じ人間はいないし、中でも僕が村上春樹ではない、という事実は、口にするのも憚る程の当たり前な事なのだ。

病院に行けって誰かに忠告されなかっただけ運が良かった。もし僕が真顔で知り合いに「俺、村上春樹かも知れん」などと相談していたら、また話は別だったのかも知れないけれど。さすがにそこまで壊れる事はできなかった。意気地が足りなかったのだ。残念だ。もしそこを突破していたら、やさしいお薬を出されていたかも知れない。

そうした状況を俯瞰するに、ちょっと大袈裟に書いてしまうと、僕は僕であって良いのだ、という結論をつい最近得たという事になる。具体的にいつ頃かというと、自分なりに試行錯誤をしながら小説を書いて、カクヨムという小説投稿サイトに「こんにちは江戸川台ルーペですこういうのを書きました」とご開帳をしてからだ。それら長編小説は賞ももらってないし、一銭のお金にもなっていないけれど、自分が自分でしかないという事実を飲み込み咀嚼するのに名誉や金銭の受け渡しが必要という道理もない。大切なのはほんのちょっとだけの覚悟ときっかけ、それと一定の物事に対する諦めだけだったのだ。

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だから僕は好きな音楽を聞いていいし、好きな小説を読んでいいし、好きに文章を書いていい。ウィットに富んだ比喩を並べ立てなくてもいいし、世界各国を転々としなくていい。そして当たり前の事だけれど、パフェが好きなら誰に気を使うまでもなく、何だって、いくらだって食べれば良いのだ。

もしかしたら、パフェを好んで食べる男が書く小説や文章は絶対に読まない、という人がいるかも知れないけれど、それは寂しいけれども仕方がないことだ。巨人ファンの小説家が書く文章を読まない人もいるだろうし、高卒が書いた文章は読まないという人もいるだろうし(本当にいるのだ)、もしかしたら男性が書く小説を読まないと心に決めている人間だっているかも知れない。

月が満ちて欠けて、海のさざ波が寄っては返すように、世界のほとんどの人はお互いすれ違うだけの人生である。大洗海岸のさざ波はノース・ショアを知らない。この歳になれば分かるが、わずかに関わりあう人間の中でも、人として、どんなに言葉を尽くしても、決して分かり合えない人間がいる。とても悲しい事だ。でも本来人間は分かり合えないだけではなくて、大部分の人達はそのお互いの存在すら知らない・認知しないまま一生を終える事がほとんどなのだ。

だったら、パフェ好きな人達とキャッキャウフフしながらパフェと共に人生を楽しむ方が、ずっと建設的ではなかろうか。辛く悲しいことが多い人生を、冷たくて甘いパフェで癒す事に異議を申し立てる人間がいるのなら、うんうんと聞き流し、時に頷きながら、長いスプーンをデザートグラスと口の間で優雅に往復させればいい。その回数分、我々は確実に幸せになれるのだ。

だから、僕は今、自分が好きな食べ物について語りたいと思う。

ずいぶん長い前置きになったが、パフェについて。

しかもロイヤルホストのパフェについて。


何故ロイホのパフェなのか


僕は友達があまりいないが、数少ない友人とは長く付き合う傾向にある。特に二十歳半ばくらいから付き合っている友人達とは今でも毎週土曜日に集まって一緒に食事をするという習慣がかれこれ十年以上続いていて、その締めが大体ロイヤルホストなのだ。

iPhoneにパフェの写真がずいぶん溜まってしまった。通っているお店の店員さんとも顔見知りである。それはそうだ。毎週土曜日に同じおじさん達が食事も頼まず甘味だけを注文するのだ。従業員の間で何というコードネームで呼ばれているか、想像するだに恐ろしい。甘味おじさんず、とか、スウィートオジーズとか、そういう感じでお願いしたいところですが。

だからいつか我々の友情が壊れたり、だれか一人が首の手術の為にどうしてもL.A(ロスアンジェルス)へ飛ばざるを得ない、などという事態になれば、このパフェ記事も滞る事になる。そのどちらも可能性としては極めて低いが、この世界に絶対という事はないので一応記載しておきたい。

また、レビューについてはとても不確定な情報であるから、あんまり細かいツッコミなども不要である。ついこの間の事なのだけど、パフェ中段のカシスクリームに塗れた細かいフルーツがバナナなのか、それともマンゴーなのかでずいぶん議論になった。その程度の舌でパフェのレビューをするなどと大変おこがましいのだが、ロイヤルホストのパフェは全体的に高レベルであり、世間に知らしめたいというおじさんなりのいじらしい気持ちがある。世界に轟け! ロイホのパフェ! 余計なお世話かも知れんがね。がね。点数は単純に100点満点がいいんじゃないかな、と思っています。が、気分やテンションによって100億万点とか言っちゃうかも知れない。おっさんなんで。

コスパとかは、地域によってお値段も違うし、そもそもロイホって上流階級が集うキング・オブ・ファミレスなので、そういう野暮な事を言うのはやめておこうと思いますけども、多分言及してしまうと思う。ご存知の通り、ロイヤルホストはいいお値段がする方なので。ドレスコードがあるファミレスって珍しいよね(ねーよ)サンダルとかで入店したら恥ずかしいから、みんな気をつけようね(冗談です) 襟付きのシャツじゃなきゃダメだぞ(冗談だってば)

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

江戸川台ルーペ 2020年7月




べ、別にお金なんかいらないんだからね!