白杖使用者の冒険―何とも奇遇な道連れのご縁

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ご存知のかたはご存知。
私は、台東区の上野浅草エリアだが、月に1回程度、文京区の本郷三丁目に出かけて行く。

今までは電車を1回乗り継いで行っていたのだが、つい最近、点字図書館のある高田馬場へ都バスを使ってみたとき、途中で「本郷三丁目駅前」で停まったので、もしかしたらここも都営バスで行き来できるかもしれない?と思い、今回、本郷三丁目まで都営バスの旅を決行。

浅草から上野までバスで行き、そこから少しだけ歩いて横断歩道を渡り、別のバス停へ。別の都営バスに乗り換える。
しかし、この乗換え地点も慣れさえすれば、非常に近く使いやすいということがわかったのだった。

確かにバスだと時間が倍かかる上、渋滞などがあれば時間が読めない。
しかしながら、東京都心のバスは、そんなに時間の誤差はないはず。私の場合は電車で行ったところで、駅員介助を頼んだりすると結局かなり待つことになるなど時間が読めない。いつどこで迷うかもわからないので、どうせ時間は読めない。
それならば時間に余裕を見て都バスの旅も良かろうと。

行きは、高田馬場へ行くときと同じであるため、時間はぎりぎりであったが無事到着。次回からはもう1本前を狙った方が良さそうだ…やはり時間は電車の倍はかかる。

さて、問題は帰りだった。
来るときに停まった道路を、ひとまず何とか渡ってみた。
そして、道路向かい側あたりをひたすら探ってみるのだが、どうにもいつまで経ってもバス停らしきものは見当たらない。
道路の端を伝って探り探り歩いていたら、
「今、前に柱がありますよ」と男性の声。
間髪入れず、「どこに行かれますか?」と聞いてくださり、
「〇〇系統のバスの停留所を探しています。恐らくこの辺りだと思うのですが…」と言うと、
「ああそうですか。僕もこれからバス乗るんで、じゃ良かったら一緒に行きましょう。」と、なんと、しかも同じバスに乗る予定の人だったらしい。
何というタイミングの出会い。

そしてこの男性の腕に触れさせていただき、結果的には、その道をまだまだ真っ直ぐに歩いて横断歩道を渡り、100~200Mは歩くこととなった。
本当に、良くぞ同じバス停に行く人に声をかけてもらえたものだ。

しかも、この方、上野駅に行くのだと。降りる停留所も同じ。

「慣れていないのでごめんなさいね」と言いながらも、歩道を歩きながらも「あ、前から3人来ます(道狭くなります)」だとか、「あと10Mくらいで横断歩道があって、その先にバス停があるみたいですね」だとか、わかりやすく説明をしてくださる。
しかし、一度大きな側溝(道に鉄の網がある側溝)の穴に白杖の先が偶然ひっかかってしまったことをきっかけに、「今みたいな場合って、どうやって障害物説明したらいいんですかね」などと聞いてくださった。
さすがに側溝にひっかかるなどは…私にとってはイレギュラーな気がしたので、確かに白杖では目の前のものを探っているが、白杖で届かないところや白杖を振るタイミングと方向などで探り損ねる場合はある。特に上りの段差などは気付きやすいが、突然へこんでいたり下がったりする段差は白杖で探り損ねることがある。など、お伝えした。
他、道が狭くなる時は、ただ私が掴んでいる腕をご自身の背中の後ろの方へまわしていただければ、それだけで「あ、道が狭くなるからこの人の真後ろを歩けってことだな」と伝わって、1列で歩くことができる、というようなことも。
(これは実際、駅員さんとホームを歩いている時なども良く思うのだが、「道が狭くなります」と言われるだけでは、横から腕に掴まっている状態だとどうしたら良いのかわからず逆にふらふらして歩きづらくなってしまうため、さっと腕を腰に回していただいた方が、寧ろ阿吽の呼吸で自然に真後ろを歩くことができるので大変助かる)

「ああ~、通常、我々そういうこと、習わないからな。わからないよねぇ」などと、興味を示してくださっている。
いやいや、しかし、我々とて、どうして欲しい、どんな手助けがどのように必要か、は人によっても違うし、習いもしないからこちらからもわからない。結局は人と人の一対一のコミュニケーションなのだなとつくづく思います…などと会話をしながら。

バスを待っているときも、「これ(白杖)、正式名称なんて言うんですか?」だとか、「バスが来たときってどうやって段差とかお伝えしたらいいんですかね」など、興味を持って聞いてくださった。
(恐らく)初老の愉快な男性で、これから上野駅に行って新幹線で帰るのだという。
本当は谷中を歩きたかったのだけど、反対方向のバス乗ってこっちに来ちゃった。だからこれから上野駅までバスに乗って帰る。とのこと。
このかたがここにいなかったら私はきっとバス停が見つからず泣いていたというのに!(笑)

降りる駅も同じであったため上野広小路で降りて、その後、なんと乗り継ぐ先のバス停までも案内してくださった。暖かい日差しの日に、なんともありがたく、そして素敵な旅の道連れだった。


しかし…これは、行きは良いが、帰りは天気が良く時間があれば散歩に良い距離だが、だいぶ歩く上に自力で見つけられるかどうか。急ぎや悪天候時は電車だな。

しかし、こうして、最近、だんだんとじわじわと、行動範囲が広がり、脳内地図が広がっていく。

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