見出し画像

再会を果たした作品

今日のフランス語のレッスンのテーマが、
人生に最も影響を与えた本だったので、
思わず、前のめりになりました。
私自身はそんなに読書家というわけではないですが、
20代に出会った本は特別です。
数少なくても、影響の深さでは人生でもっとも大きいです。

フランス語のタイトル
「Livres fondateurs」のfondateur(s)は、「創設者」「創立者」の意。
その人の人生を創り出した本について、それぞれのインタビューを聞きました。

ボードレールの『悪の華』、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』、デュマ『三銃士』、ボリス・ヴィアン『フォームの泡』

ボードレール、ベケットは、いいですね。
ボードレールは特に、退廃や叛逆、耽美的な描写が非常に好きでした。

難解で、好き嫌いが分かれる作品が好きなことを、
誇っているわけではありません。

明るい20代だったはずなのに、
好んで選んだ作品がある。
人生が報われない、先の展望が描けずに、不安と絶望を想像上に描いていて、魅力的な作品世界にかくまってもらうことで、息ができていました。
とても心地よい場所でした。
人生の全てが描かれていると感じていましたし、
これ以上の表現、言葉の組み合わせを、
ボードレール以外で見つけることはできませんでした。

今、とても懐かしく振り返りました。
当時は、受験も失敗し仕事に就けず、彼氏もいない。
あんなに苦しく寂しい20代に、名作に出会えた。
永久に文学史に残る作品を残してくれたボードレール。
とんがった作品だし、かんたんには人を寄せ付けないところがある。
作品の良さに近づくために、素晴らしい翻訳で読んでほしいところです。

退廃、叛逆といったテーマから離れて、
何周も人生を巡って振り返る時、
ただ苦しいだけで何も見えなかった時間に
一冊の傑作とともに過ごしたことが
あまりにも贅沢で、
幸せすぎるくらい幸せな時間だったことに気づきました。

時間が経つと、
その時には見えなかった点が全て結びついて
一枚の完璧な絵のようなイメージで
目の前に浮かび上がる。
これが人生の贈り物というものだ。
生きてるって、ほんとに感じる瞬間・・

その作品や作者について、
誰かと話ができれば、幸せが増します。
好きな作品は誰かと共有して、味わいを深めてください。
コメントを投稿して、作品についてレビューしてみてください。

ゴドーを待ちながらも傑作です。

こうした作品に対して、
さまざまな人がそれぞれの経験や思いを投影されて、
自分がまた素人の雑な感想で台無しにしてしまったら、
申し訳がない。

じゃあ一言だけ言わせてください。
この作品で何かを待つ空白の「間」に
日本的なものを感じてすごく好きでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?