合わせ鏡から見えてきたもの

急にこんな話をしても、
なんのこっちゃ、ですけれども。
もしかしたら、読者の中に
似たような経験をした方がいたら、
面白いなあと思います。

小学4年生くらいのときのことです。
小学校当時の記憶は、多い方ではないのですが、
そのことはよく覚えています。

母のクローゼットには、当時は珍しかったかもしれませんが、
3面になった全身鏡がありました。

学校から帰ったある日、
鏡の前に立ち観音扉になった左右の2面を、自分の背後で合わせて
三角の中に自分を閉じ込めてみたんです。

すると、前後左右にずらーっとシンメトリーに、
自分の分身が現れて、一瞬ギョッとしました。
分身の一番遠いところの人の顔は見えず、影のようになっていたのが、
少し怖かったのです。

異界とつながってしまうのではないかと、
ゾクゾクする感覚に全身を震わせながらも、
鏡の前から離れることができなくなっていました。

正面の鏡を見直し、
自分の顔をまじまじと見つめていると、
ある瞬間に、
鏡に写っている自分が、
自分でないように見える瞬間がやってきて、
すごい恐怖に落ちるんです。

鏡に写っている人を見ながら
「この人、だれ?」
と後頭部の方に引っ込んでしまった意識が、
言っている。

そのとき、顔の全てに見覚えがない感じがしていて、
それから鏡の前に立っている自分に対して、
なんで、ここに「存在」してんねん!
と、そんな言葉になる前に、
意識が分離してしまうこの数分間が、
恐怖なのに、どこか引き込まれてしまう何かがあって、
その後も、思い出したように、怖いもの見たさで
鏡の前に立ち遊んでいました。

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のちに、
「不気味の谷」と言われる心理現象を知ったときに、
子供時代のこの遊びを思い出しました。

「不気味の谷」現象は、1970年頃に提唱された概念で、
人間型ロボットが、実際の人間に近い表情や動作を持つとき
好感を持つが、突如強い違和感、恐怖が現れる心理現象のことです。

唐突に、谷に落ちるような感覚が
鏡の中をのぞいているときに陥ってしまう感覚に
かなり近いのですが、正確には定義が異なるのかもしれません。

不気味の谷がなぜ現れるのか、
いくつか説明がされていまして、
目鼻などの顔のパーツの位置や大きさに対する感受性によって引き起こされる「全体処理」説の支持が多い。
詳しくは、参考のリンクを見てください。

「論理的思考や感情といった能力は人間特有のものである」との考えが揺るがされるために不気味だと感じるという説明もあり、
確かにそうかもしれないです。
この辺り、無意識に人が持っている感情について
気づかされて面白いなと思います。

人工的なものが、人間に近いほど不気味を感じるものの、
人間とほぼ変わらないほど似てくると、
谷を超えて再び好感を抱くこともわかっており、
人間の感性は、かなり柔軟にできているのですね!

感覚的な話になってしまって、
説明がうまくできず、、
わかりにくい部分は申し訳ございません。



参考:








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