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少年隊35th anniversary BEST 通常盤〜勝手に解説編(Disc 1) 「LADY〜まいったネ 今夜」

【Disc 1】
01. 仮面舞踏会
02. デカメロン伝説
03. ダイヤモンド・アイズ
04. バラードのように眠れ
05. STRIPE BLUE
06. 君だけに
07. ABC
08. LADY
09. SILENT DANCER
10. ふたり
11. What's your name?
12. じれったいね
13. まいったネ 今夜

『少年隊35周年記念BESTアルバム通常盤』はこちらからも購入可能のようですので、よろしければご利用ください。

前回からの続きです。

『LADY』 87.11.30発売 オリコンチャート5位
作詞 川村真澄 作曲 服部克久
累計売上枚数 92,980

この曲は『レディレディ!!』という少女アニメのオープニングテーマ曲。
作詞家の川村真澄氏は渡辺美里さんの「My Revolution」を手掛けた方であり、
久保田利伸80年代作品のメインライターでもある。作曲した服部克久氏は意外にもいくつかのアニソンを手掛けていた。
今になって思えばジャニーズは早くからタレントを多方面へ進出させている。
テレビドラマや映画、舞台だけでなく声優、アニソン、ラジオ、バラエティーまで多岐に渡る活動を開拓していた。

『SILENT DANCER』 88.3.5発売 オリコンチャート5位
作詞 売野雅勇 作曲 和泉常寛 編曲 中村哲
累計売上枚数 107,710

この曲は1986オメガトライブ、カルロス・トシキ&オメガトライブの制作陣による楽曲。
編曲の中村哲氏はホーン・スペクトラムやプリズムなどで活動していたサックス&キーボード奏者だった。
「ABC」でパワーも最高潮に達した感があったので、この曲あたりからちょっと大人っぽいそれまでとは一風変わったテイストで音楽的にも実力派アーティスト寄りを目指そうとしていたのかなと思う。
すごく渋くてカッコイイ曲なのに残念ながらテレビでの露出は少なかったよう。
この曲とほぼ同時期に全く違うテイストの、チャゲアスの飛鳥涼による楽曲「ふたり」をリリースしているのは何故?
少年隊の方向性を探っていた時期だったのだろうか。

この時期のインタビューにあった彼らの言葉を見つけたので少しご紹介しよう。
『自分にとっての音楽は?』
植草 「子供の頃から寂しい時なんかに聴くと心がウキウキする」
錦織 「生活の一部。朝から晩まであった方がいいアイデアを思いつく」
東山 「楽しむもの」

『未来の夢は?』
植草 「3人バラバラになっても定期的に集まってコンサートをしたり、歳を取っても踊りをビシッっと踊ってそれを皆さんの前で披露出来ればいい」
錦織 「出来れば大物になりたい。でも大物になっても普通の人と変わらない生活ができていれば幸せ」
東山 「石原裕次郎さんや高倉健さんみたいな、男らしい役者になれたらいい」

何だか感慨深いものがあるね。



『ふたり』88.3.23発売 オリコンチャート2位
作詞・作曲 飛鳥涼 編曲 矢賀部竜成
累計売上枚数 251,920

この曲のカップリングに「ABC(S.P. Dance Mix)」(CDシングルのみ)が入っているのだけど、何故ここに入れるのか謎である。ちょっとミスマッチでは?
この時期は丁度飛鳥涼が「光GENJI」の楽曲を手掛けていた頃だったので、少年隊の楽曲も依頼という事になったのだろうか。
佳曲だとは思うが個人的には少年隊に飛鳥涼の曲はいい化学反応は起こらない気がする。
それでもチャレンジする事にはとても意味があり、大きな流れの中から見ると「君だけに」にはないものを秘めているよね。


『What’s your name?』 88.7.8発売 オリコンチャート1位
作詞 宮下智 作曲・編曲 Jimmy Johnson 
累計売上枚数 222,450

個人的に好きな才女、宮下智氏の作詞で、作曲は馬飼野康二氏。
横道に逸れてもやはりこの路線には必ず戻って来る少年隊。
ダンスミュージックこそ彼らの真髄。激しいダンスを見たいというオーディエンスを決して裏切らない。
さすが馬飼野さんは泣かせどころをわかってらっしゃる。
サンフランシスコ留学から帰国しクラッシック音楽のピアニストとして活動する傍らポピュラー音楽の作曲活動を始め、田原俊彦の楽曲などを手掛けていた宮下氏は、少年隊の楽曲を手掛ける頃にはノリに乗っていた時期だったのではないかと推測する。
トシちゃんの歌でもわかるけれど、なかなか面白いフレーズを書く方なんですよね。
この曲で言えば「恋はいつも I need you 礼儀知らず」とか「天使も悪魔も知っちゃない」を大胆にメロディーにはめ込むところとか面白いなと思う。


『じれったいね』 88.11.10発売 オリコンチャート1位
作詞 森浩美 作曲 筒美京平 編曲 新川博
累計売上枚数 183,960

ここで再び筒美京平作品に舞い戻って来た。作詞家の森浩美氏は、田原俊彦「抱きしめてTonight」や荻野目洋子「Dance Beatは夜明けまで」などの作詞を手掛けた方で、少年隊ミュージカル「PLAY ZONE」での作詞や原作も手掛けた。
この曲をリリースした時期あたりから少年隊は大人の男としての色気が出て来て、(今考えると実際には20代前半でまだまだ若造のはずなのだけど)もう若さだけでは誤魔化せなくなった分テクニックや見せ方に磨きをかけていたように感じる。
アレンジの新川博氏はキーボード奏者でハイ・ファイ・セットのバックバンドでデビューし、松任谷由実のツアーの音楽監督も務めていた方。
この曲にはアレンジ違いの「続・じれったいね(海外版)」というものがあり、ボブ佐久間氏が編曲を担当した。


『まいったネ今夜』89.6.19発売 オリコンチャート1位
作詞・作曲 宮下智 編曲 石田勝範
累計売上枚数 199,270

私が少年隊の楽曲の中で「ABC」を一番に挙げるとしたら、二番目はダントツで「まいったネ今夜」を挙げたい。
この曲の他「レイニー・エクスプレス」という曲も宮下氏が作詞だけでなく作曲も手掛けた作品である。
同じくミュージシャンの西寺郷太氏が「POP FOCUS」という連載モノでこの二曲を挙げているのは偶然。
実は筆者は彼と同世代で、趣味が似通っているのか私が追うアーティストを悉く彼が絡んでいたりするので、(JADOES、岡村靖幸、一十三十一、トライセラトップス、少年隊のニッキなど)ちょっぴり嫉妬も交えた羨望の眼差しでいつも見ている。
そんな事はどうでもいいので本題に戻りますが、「宮下智」というのは作家活動上のペンネームで、ご自身の音楽活動は「盛岡夕美子」という本名で1987年に「余韻(レゾナンス)」というアルバムをリリース後にアメリカ人とご結婚されて音楽家は引退しアメリカに移住した。しかしその後、何とショコラティエ(菓子職人)に転身してアメリカでトリュフを製造する会社を設立していたのだった。昨年2019年には東京でトリュフ専門店を開業しているという面白いご経歴の持ち主である。
実は筆者もニューヨークでヴィーガンレストランのスイーツを作る仕事をした経験があるのでスイーツ作りの面白さはちょっとわかるような気がするのですが、彼女のアルバムは80年代アンビエントの傑作の一枚とも言われていて、ピアニストとしても結構カッティングエッジなミュージシャンのようなのでまたいつか作品を作って欲しいなと思っております。
少年隊へ提供したこの一曲もメチャクチャいいんですよね。
私の記憶が正しければこの曲はテレビドラマ「ニューヨーク恋物語II」の挿入歌でもあったように思う。
ジャジーでゴージャスな大人っぽいミュージカル曲のような一曲。
華やかなドレスや宝石も何もかも手に入れた悩ましいくらい美しい年上の女性に憧れているのだけど、「愛だけが足りないね」と若い純粋な男は見透かしている。ゲームのように恋を弄ぶ彼女を手に入れるのには心を奪われてしまってちょっと降参気味。なんていうのかな、ミドルエイジの女性ならばこういうシチュエーションは堪らないハズだ。
オーケストラの譜面も宮下氏が書かれたのだろうか?クラッシックを勉強されている彼女ならきっと書けそうだ。
間奏のピアノソロは誰の演奏?など、色々質問してみたい。
ご存知の方がおられたら是非教えて欲しい。


(参考:Wik! https://w.atwiki.jp/orideta/pages/118.html


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