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脳卒中を体験できて嬉しいと考えていたバカな私。②

前回は、

シャワールームの冷たいタイルの上で動けなくなった私は、
出せる限りの大きな声でシェアメイトの名前を呼んだ。

というお話しでした。

ドア越しに「大丈夫?」と聞いてくれる彼女に対し、「来て、来て」と私が必死に言うと、彼女は「入ってもいい?入るね」と言い、中に入ってきてくれた。

そのやり取りはほんの数秒だったが、私は今でもその時のことを鮮明に覚えている。

シャワールームに入ってきた彼女は、「大丈夫?動ける?」と聞いてくれたが、私は自分で体を動かすことができなかった。

体を動かすことができないというより、むしろ、「体が動いてくれない」という表現の方が正しいのかもしれない。

とにかく、頭が猛烈に痛いなか、私の体はピクリとも動いてくれなかったのだ。

彼女がシャワールームに入ってきたと同時に私は、

「ambulance!(救急車)ambulance! ambulance!」

と繰り返した。

救急車を呼んでくれた彼女に、「明日仕事があるけど、仕事に行けないことを会社に伝えてほしい」と、私は伝えたのだが、こんな状況下でも、私の頭はしっかりとしていて、なぜか冷静だった。

明日、職場に行けないことを伝えた後、彼女は、私の体をシャワー室から出そうと、この動かない体を、無理やりどうにかして出そうとしてくれたのだが、体がドアに挟まり、ドアは開かなかった。

ドアに体が挟まると、もちろん痛い。

「痛い。痛い。痛い」

と私が言うたびに彼女は、角度を変えて私の体をシャワー室から出そうとしてくれたのだが、そのたびに体の一部がドアに挟まるため、私の体をシャワー室から出すことはできなかった。

そもそもドアの構造が、向こうから押すことはできても、引くことができない構造だったため、動かないこの体をシャワー室から出すことは不可能だったのだ。そんなことをしているうちに、なんの前触れもなく吐き気が急にやってきた。

そして私は、その吐き気を感じるか感じないかのうちに、寝たまま嘔吐した。

長くなるので一旦区切ります。


#嘔吐 #シャワー室 #救急車

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