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勝手に鉄道検定:140問目

ご覧いただきまして、ありがとうございます!
この記事は、下記の構成となっています。

・問140の「出題」
問140 : 四国で発売されていないフリーきっぷ

・問139の「解答・解説」
問139 : 阿佐海岸鉄道で導入される世界初の乗り物

問140の「解答・解説」は、明日更新される記事をご覧ください。
「勝手に鉄道検定」の問題一覧は、こちらの記事にまとめています。

勝手に鉄道検定:アーカイブ(一覧)

「勝手に鉄道検定」の動機については、こちらの記事をご覧ください。


問140の「出題」

【問140】JR四国で利用できるフリーパスとして、間違っているものは何か?

1. 四国フリーきっぷ
2. 四国グリーン紀行
3. バースデイきっぷ
4. みんなの四国きっぷ

問131~問140のテーマは、「四国」です。
四国の観光に役立ちそうな情報を問題にしていきます。

問131~139では四国全体の列車を題材にしてきました。
四国でたくさん列車に乗るなら、フリーパスがおススメです!
選択肢の中には、1つだけ実在しないフリーパスがあります。

明日11/7(土)の11:45頃までは、Twitterにて実際にご解答いただけます。
現在解答できる鉄道検定のツイートは、固定ツイートに設定しています。
https://twitter.com/cosine_travel


問139の「解答・解説」

正解は、「2. DMV」です。


阿佐海岸鉄道では世界で初めてDMVが実用化される予定です。
以下、詳しく説明します。

◆この内容を知るメリット

観光地などでは、鉄道の駅が観光地から離れている場合があります。
鉄道の駅から観光地まではバスを利用するケースが多いはずです。

鉄道とバスが一体化したような乗り物があれば、乗り換えなくて済みます。
この度、阿佐海岸鉄道ではそんな乗り物「DMV」が実用化される予定です。

それでは、解説に移ります。

◆問題文に即した解説

問139は、阿佐海岸鉄道で導入される世界初の乗り物を問う問題でした。
ここで、問題文をもう一度確認します。

【問139】徳島県・高知県を走る阿佐海岸鉄道では、ある乗り物を世界で初めて実用化する。その乗り物とは何か?

1. FGT
2. DMV
3. LRT
4. BRT

既にFGTヨーロッパなどで、LRTBRT日本でも実用化がされている例があります。
世界初のDMVも含めて、選択肢を順に見ていきます。

◇FGT

FGT : Free Gauge Train(フリーゲージトレイン

FGTは、異なる幅を持った線路間を直通できる車両です。
これを理解するために、まずは線路の幅ゲージ)の話をします。

あまり鉄道に詳しくない方も「Nゲージ」は聞いたことがあると思います。
Nゲージ=鉄道模型というイメージが強いかもしれません。

しかし、正確には鉄道模型が走る線路の幅Nゲージといいます。
2本のレールの幅が9mmであり、9(Nine)の頭文字をとってNゲージです。
鉄道模型には他にもHOゲージ16.5mm)などがあります。

ゲージは模型だけのお話ではなく、みなさんが普段利用される鉄道にも該当するお話です。
多くの在来線(特にJR)では、狭軌と呼ばれる1,067mmのゲージを採用しています。
対して、新幹線は標準軌と呼ばれる1,435mmのゲージを採用しています。


FGTが求められる場面は在来線と新幹線を直通させる場合などです。
九州新幹線西九州ルート長崎ルート)でもFGTの利用を検討していましたが、諸事情があり断念する形となりました。
既に在来線と新幹線が直通している山形新幹線秋田新幹線では、在来線を狭軌から標準軌に変える改軌工事を行って新幹線車両が在来線に入線できるようにしています。

ちなみに、フリーゲージトレインは和製英語です。
海外ではGauge Changeable Trainなどと呼ばれます。

◇DMV

DMV : Dual Mode Vehicle(デュアルモードビークル

DMVは鉄道とバスが合体したような乗り物です。
一部の区間は道路を走行し、一部の区間は線路を走行します。
道路と線路の境界では、モードチェンジを行います。

問139の問題文の通り、阿佐海岸鉄道で世界初の実用化がなされます。

現在、阿佐海岸鉄道の終点は甲浦(かんのうら)駅です。
甲浦駅から高知県の室戸岬に向かうには、鉄道からバスに乗り換える必要がありました。

しかし、DMV導入後は乗り換える必要がなくなります。
阿佐海岸鉄道を走っていた車両が甲浦駅にてモードチェンジを行い、道路を走って室戸岬へ向かいます。


阿佐海岸鉄道を走るDMVの車両は、3つ用意されています。
※画像はこちらのPDFより引用

画像1

・未来への波乗り(青)
・すだちの風(緑)
・阿佐海岸維新(赤)

DMVの営業運転開始は、2021年春を予定しています。
徳島駅から室戸岬へお越しの際は、牟岐(むぎ)線阿佐海岸鉄道のDMVをご利用ください。
※室戸岬まで向かうDMVは、土休日に1日1往復の予定です。

◇LRT

LRT : Light Rail Transit(ライトレールトランジット

LRTは次世代型の路面電車です。
何が次世代かと言われると明確に答えるのは難しいのですが、LRTの大きな特徴としては低床式車両を使うことです。

低床式車両は停留所のホームとの段差がほぼ無く、車内にも段差がほとんどありません。
バリアフリーが意識されており、お年寄りの方やベビーカーを押す親御さんなどにも優しい設計となっています。

日本国内で初の本格的なLRTは「富山ライトレール」です。
JR西日本の路線であった富山港線の廃線跡を活用して開業しました。
富山ライトレールは2020年3月で廃止となり、現在は富山地方鉄道市内線の一部である富山港線として営業しています。

関東地方でも「芳賀・宇都宮LRT」という新たな路線が建設中です。
富山ライトレールは既存の路線を転用して開業しましたが、全区間で新たに線路を敷設するLRTとしては芳賀・宇都宮LRTが国内初の事例となります。
運行ルートなどは下記のページをご覧ください。


◇BRT

BRT : Bus Rapid Transit(バスラピッドトランジット

BRTは定時性が確保されたバスです。
FGT、DMV、LRTは線路の上を走りますが、BRTは道路を走ります

通常のバス路線ですと、渋滞などの影響を受けて遅延することがあります。
しかし、BRTでは専用道を整備することで一般道での渋滞の影響を低減し、定時性を向上させることができます。

BRTの専用道は新設されるケースもあるはずですが、国内で利用されるBRTの専用道は多くが鉄道路線の廃線跡です。
日立電鉄の跡地を利用したひたちBRT鹿島鉄道の跡地を利用したかしてつバスなどがあります。

また、災害によって鉄道での復旧が困難と判断された場合に鉄道路線がBRTへと転換される事例もあります。
東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼線大船渡線の一部区間はBRTで運行されています。(※1)
2017年の九州豪雨で被害を受けた日田彦山線の添田駅~夜明駅もBRTに転換されることが決まりました。(※2)

※1
気仙沼線・大船渡線のBRT区間は2020年4月1日で鉄道事業が廃止され、正式に廃線となりました。

※2
添田駅~宝珠山(ほうしゅやま)駅間はBRT専用道に転換され、宝珠山駅~夜明駅間は一般道を走行します。

◆最後に

FGT、DMV、LRT、BRTについて説明しました。
DMVは阿佐海岸鉄道で世界初の導入となります。
2021年春以降は、DMVで徳島県・高知県の旅をお楽しみください!


最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!
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