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地域をフィールドとする人材創生

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日本の各地には、エドノミー®をはじめ、その土地の風土で培われてきた知恵=Local Wisdomがあります。実際に地域を訪ね、その知恵を探求していくツアーや人材育成などのプログラ…
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#文化ビジネス

文化・経済・心の3つのバランスを取ることの重要性を考える

同志社大学のビジネススクール時代の恩師・村山裕三教授から教わったことの大事な要素の一つに「文化性と経済性」のバランスを取ることがある。これは、工芸などの地場産業が持続的な仕組みを確立していくときに考えるべきことを示している。つまり、経済的にしっかりと収益を上げて人材を確保・育成したり、必要な投資を行っていけるようにすることと、その際に地域およびその産業の軸となる「文化の芯」を失わないようにする(=「文化ビジネス」と呼称)ことの重要性を意味している。 「文化の芯」を失って「経済

地場産業がグローバルに展開する上での4つのタイプ

地場産業の作り手(職人個人単位、会社形態問わず)が時代の変化に合わせたアップデートとグローバル化をしていく上で、どのような成長の上でのゴールイメージがあるかを考えているうちに、おおよそ4つに集約されてきたので、忘れないうちに整理しておきたい。(最近整理する感じのnoteが多い理由はそのうち明らかに…と引っ張ってみる) なお、多くの地場産業に見られる分業の各プロセスの担い手の方々を主として想定しているので、全てに当てはまるわけではないことを最初に断っておきたい。 1.総合メー

"Innovation"の誤訳がもたらした功罪と継続的アップデートの必要性

「Innovation」をシュンペーターが定義したのが1911年。新たな結びつきを通じて新たな価値を生み出そうというもの。 日本では「Innovation」を「技術革新」と1958年に経済企画庁が紹介したことにより、「イノベーション」は「技術革新」という思い込みがずっと続いてきた。 ※イノベーションについて(Wikipedia) この功罪は大きい。 20世紀の第2次世界大戦後の時期は価値は「新たな技術」がもたらした。新たな技術によって新たな製品が生まれ、それをひたすら改善

販路開拓における「展示」のタイプおよびメリット・デメリット:①見本市

モノづくりのビジネスを行なっていく上で「販路開拓」のフェーズは、実際に作った商品・サービス等を具体的に顧客に届くルートを作るという意味でとても重要である。ある意味「イグジット」とも言い換えられるかもしれない。 現状、様々な「販路開拓」の手法として人が多く集まる「展示会」等に出展するといったことが一般的に多く行われているが、企業の規模やビジネスのステージによって「展示」の手法を適切に使い分けることで、予算や自社の状況に合わせた成果を積み上げていけるので、使い分けることが重要で

モノづくりビジネスの全体像を把握することの大切さ

地場産業に不足している部分を補い、ビジネスとして成立するようにコーディネートする、という「文化ビジネスコーディネート」の仕事について、先日同志社ビジネススクールの村山教授の講義内で講演した。 講演するに当たって整理していた内容を自分で見ていて、モノを作ってそれを求める顧客に売る、というシンプルなことを実現するために、膨大なことをしないといけないということを、多くの方が知らないということを改めて思った。簡単に挙げるだけでも次のようになる。 ※まだまだ書ききれていない細かい不足部

恩師の重い言葉

ちょっと前のことだが、7月1日に株主総会を開催した。5周年を4月1日になんとか迎えることができ、そして6期目に突入ということで10周年へ向けての想いや計画などをお話した。 株主総会といっても弊社は小さな所帯で、もちろん非公開会社だ。株主の方々も設立に当たってサポートしてくださった同志社ビジネススクールの恩師や先輩の方々。今回は、そのうち、同志社ビジネススクールの村山先生、浜先生、そして退官された大久保先生が集まってくださった。 始まる前に大久保先生と雑談していたとき、そし

「伝統産業」「伝統工芸」ではなく・・・

僕自身は、地域固有の風土・歴史の中で育まれてきた産業を「伝統産業」ではなく「地場産業」、そしてモノづくり自体も「伝統工芸」ではなく単に「モノづくり」もしくは「工芸」と呼ぶようにしている。そしてそれをさらに現代の時代背景に合わせてアップデートすることで、自律・循環・持続していける「文化ビジネス」としていくために活動している。 なぜ「伝統産業」や「伝統工芸」と呼ばないのか? それはひとえにそれらが伝産法という法律で定義されているから。 その定義は次の5つ。  1.主として日

伝えるべき「芯」とは

同志社ビジネススクール時代、師と仰ぐ村山裕三教授から何度となく頂いた言葉が「文化の芯」。 時代の移り変わりによって、地場産業も様々にアップデートをしていくことが求められるのは当然であるが、守るべきものがあり、それを変えてはいけない。その変えてはいけないものが「文化の芯」ということだった。 この「芯」とはなにかということは、色んな業種によって様々だと思う。しかし、ここ数年世界各地を少しずつ周り、地場産業の素材や技術をデザイナーやクリエイターらに広げていく仕事に取り組んできた

職人?作家?アーティスト?の考察①

先日、フェイスブックで 「作家がその作品を大量に受注した場合、その人は職人なのだろうか。 というところで色々逡巡している…」 というつぶやきをしたところ、思わぬほど多くの方々から多数のコメントを頂いた。当の職人や作家の方々からがほとんどだったが、それだけ当の皆さんにとっても考えておられるところだったのかもしれない。 コメントの内容も多様であり、置かれている立場や業種によってもかなり異なるということが見えてきた。 それにしてもなぜ、これだけ色んな議論を呼ぶのだろう、と思

設立5年目に突入。いよいよこれから。

本日4月1日はCOS KYOTOが法人となった日です。2013年4月1日に法人化しましたので、ちょうど今日から5年目に突入します。世の中はエイプリルフールネタで溢れていますが、弊社は真剣に今年度の方向性を実行に移していく最初の日となります。 まず、お世話になっている皆さま、ご指導ご鞭撻を頂いている皆さまには、感謝の言葉しかありません。コーディネートという、自分では全く何も形になるものを創り出していない仕事には、それができる方々とのご縁が全てであり、アイデアなどを考えていく上