インスピレーション(ダンジョンズ&ドラゴンズ)

ダンジョンズ&ドラゴンズ5版にある
「インスピレーション(以下:インスピ)」
という代物への個人的考えやら雑感やら。
ようは個人の感想です。

インスピは、ルールに確固とした定型で「こういうもの」という明記しているというより、DMとPLたちとでうまく使って、より楽しんで欲しい部分へのアプローチとして存在している感覚が自分にはある。
 典型的な獲得と使用方法は、「そのキャラクターの人格的特徴、つまり背景に関係するものによるロールプレイを演じたり、その関わりから発生する不利益を受け入れたりする」または「PLが自分のPCを上手くロールプレイで描き出した時」にインスピを得ることから始まる。
そしてそのインスピを得ている状態(インスピは1個しか保持できないので「有る」か「ない」の二つの状態しか発生しない)ならば、インスピを使用(消費)して、1回のロールを「有利」状態での判定にできる。
というものだ。
上記以外の獲得方法もダンジョンマスターズガイド(p240~241)に記載があるが、ロールプレイや英雄的な行動の後押し、目的達成の報酬やある種の物語などのお約束要素に対してのアプローチなど、プレイ自体が楽しくなるため、セッションがより盛り上がるためのアイテムとして活用できることが示唆されている。
また、自分以外のPCに対しても、そのロールプレイいいな、と思った時や楽しくて興味深い方法で物語に貢献したな、と思った場合などは、自分のPCが持っているインスピをそのPCに渡す、という使い方もできる。

ようは、盛り上げ要素であると同時に、よりヒロイックにPCを演出できる装置として活用できるもの、それがインスピである。
そう自分には見えている。

だが、ベーシック・ルールやプレイヤーズハンドブック内の記述はわずか半頁ほどだし、ダンジョンマスターズガイドでも2頁ほどだ。
文言からの解釈や活用度はDMによって差が出る内容ともいえる。
インスピを使用しない、そういうのもアリだよ、と記載もある。
よって自分の解釈と違った見方も当然あり得る内容と考えている。

ここで数年の感想として持ち得たのは、DMの趣向、目指す楽しみ、プレイスタイル、といった方向性で大雑把にインスピへの考え方と卓の傾向が分類できそう、というものだ。
 例えば、よりシミュレーション的なフロアタイル(ボード)戦闘を好みとするDMならば、「PCのリソース」と「平等性」を考慮する人が多い気がした。
均等に1セッション1回配るが、個々のPLのロールプレイへの「いいね」ではなく、戦闘用リソースの均一配布、的な使い方だ。
 逆に物語やキャンペーンでのPCの立ち位置を考え、物語と寄り添う部分を重要視しているDMは、ロールプレイやPC発言、行動への「らしさ」に対してインスピを与えていく。
といった違い。
それぞれに良さがあり、それぞれに特徴があるので、よりDMとPLとの相性が出やすい部分とも感じる内容、方向性だとも思う。
その点において、プレイスタイルの相性の良し悪しだったり、キャラ立などを考えるかで、「使用しないルール」と考えるDMもいる事だろう。

より楽しくなるために、であるが故、卓を立てる時は
やはり、「事前」に「インスピをどう扱う卓であるのか」の言及をしておくのが無難なのかな、とも自分は思う。
DMからの表明を見て、PLとして楽しめる方向性かという判断も可能だし、万が一の不満要素への払拭にも貢献できるだろうと思うのだ。

ボス戦前に配るDM
ダンジョンマップに入る時やシーン切り替えで配るDM
ロールプレイで渡すDM
背景に関連した人物描写で渡すDM
カッコイイ言動で渡すDM
ダイス芸した時に配るDM
インスピ自体を使用しないDM

方向も様々なら、どの程度の人物描写やカッコよさでインスピを渡すのかという捉え方の差も出たりするし、言及されないままセッション最後まで行き、結局インスピが何か知らないまま終えるというケースもゼロとは言えない。
世界観の違いや遊び方の違いでも、感覚的な違いはやズレが発生する部分でもあるのだ。
セッションをプレイしながら、適切なタイミングで必要であり適切な部分を順次、そのつどルールなどを説明していく方法が良い場合もあれば、プレイ前に話しておく方が良いルールや部分、内容もあるだろう。
そういった中で、「インスピ」は事前に周知すべき部分かな、と私の中にはある。
なぜなら、PLの満足度やプレイする内容にも関わる部分だと思うからだ。

で、なぜそんな事をグダグダ書くのか、といえば、
卓募集やキャラ作り、セッション前での話において、
往々にしてインスピに関して話をされていない状態でスタートする事が
「体験、見聞きした部分では、けっこう、もしくはかなり多かった」
からだ。

戦闘に関する選択(オプション)ルールである「挟撃」を使うか、
とか、
キャラ作りでの選択ルールである「人間の特徴」を使うかどうかは
かなり、もしくはほとんどの場合、話題に出る内容だが
インスピは「私がDMの時は、こんな感じに扱うよ」って話を
セッション開始まで聞かない状態でスタートする事が多い。
この事は、今のところ、自分の中では不思議に思う一面となっている。

○○というシナリオやります!
〇レベルのキャラ〇名で作成方法は、こんな感じで。
日時は……

と、この内容の次にくる情報として、
自分はインスピに関する話があった方がDMの方向性が見えて嬉しいし
卓の方向性というか遊ぶイメージが分かりやすくて助かるんだけど
他の方々は違う、という事なのかな。

選択ルールの採用度が書いてあっても、
インスピへの言及は気にもしない部分、
ルルブに書いてる通り(とそのDMが思っている内容)だから大丈夫。
という感じなのだろうか。

ちなみに、自分がDMの時は
インスピはロールプレイと背景とカッコイイ言動など
おおよそ0~3回くらいの獲得チャンスがあると思ってもらっていい。
使い方も通常判定直後にロールプレイして(有利でもう1回の)追加で20面ダイスを振るのも許容している。
「不利」の判定を「通常」の判定にするには、これは判定後ではなく判定前に使用する事としている。
PLが他のPLの言動にカッコイイと反応してる時にインスピ渡すかどうかを聞いたりもする。
インスピではなくそのロール自体に有利の修正や+2などの修正というケースもある。
 変な言い方をすると、戦闘判定以外ではキャラは黙ったまま、行動もシナリオの話を進める判定処理用の表明だけ、なPCだとインスピがゼロでセッションを終えているが、その一方で、PCに成りきってロールプレイしているPLはそのセッション内でインスピを2~3回使用していた。
というのもあり得る進行方法だと思う。
もちろん、PLの楽しさを盛り上げるべく努力と気配りとアンテナを張り続けていくのはするし、インスピの有無の確認もする。
 それでも、当然、楽しめるかどうかの好みは分かれるだろうし、ヒロイックなロールプレイが苦手だとか、戦闘をもっと楽しみたいと言われれば、方向性が違う事を認識する内容となってしまう。

ではどうすればいいか?

その自分なりの指標のひとつとして、
「事前にインスピをどう扱う卓であるか、確認ができるスタート」
という前述の内容が見極めにもなってる気がする。
色んな考えや色んな卓があって、色んな楽しみ方があるのはステキなことだけど、その中で自分に合った楽しみ方を見つけやすい情報として、こういう遊び方の傾向が分かる指標も、事前に判別できる内容として記入されていく。
そいういう未来があってもいい気がした。

問題としては、
募集文が長くなることだったり、
D&D初! な人が何言ってんのかイミフ
ってのとかが出るだろうけど
まあ初の人とかは一回セッションに飛び込んでもらえれば……

もちろん、D&Dだけの話ではなく、様々なシステムやTRPG全般的な話としても、そのシステム内でも、どういう傾向の雰囲気でのセッションが行われるのか、分かりやすい何らかの指標的な要素が募集文などに盛り込まれると、相性による不幸を防ぐ一助になる気がしてる。
細やかな配慮、というより、知らない人が知ってる人の間に入って居心地が悪くならない対応を、の部分だったり、それぞれが想定している状態が個々の思い描く内容で乖離しないように、という事前確認のために、間口は広く敷居は低くできればいいなっていう部分として、こういうシステムに依存しるような不安要素は解消しておくべきだと思っている。

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