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ファンデルヴァーの失われた鉱山  PCの活躍を伝える試み  第 三 夜 開拓町ファンダリン

ネヴァーウィンターの街を出てから4日目の夜、一行はついに開拓者の町、ファンダリンに到着した。
ギザ牙族の隠れ家で助けたシルダーが、街までの護衛ということで報酬を後日支払う上にその日の宿、「ストーンヒル亭」の宿代も一泊分負担してくれ、一行は遅い晩餐に舌鼓を打ちつつ大いに旅の疲れを癒した。
夕食の最中、さらわれたグンドレンの捜索を継続しようと、呑みに来ていた町民たちに話をきいてみたが、飲んでいた町の人々はゴブリンや町の外の情報にうとく、開拓開始時からこの町にいたという元冒険者にしてリンゴ果樹園の主、ダラン・エダーマスや、街の外に出ていくことがある、幸運の女神タイモーラの学僧にしてこの町唯一の社である、幸運の社の僧侶シスターガラエルならあるいは?との話が上がる。
グンドレンと関係のない話としては、この町は街道を荒らすオークの脅威に震えている状況に加え、町の中の事はなにやら口にするのも憚られるような歯切れの悪さを示すだけだった。

翌朝、「バーセンの万事屋」に当初の目的でもあるグンドレンの積み荷を届けると、店主のバーセンもグンドレン含め、ロックシーカー三兄弟である他の二人、タルデンとヌンドロもここ一カ月程、町に姿を見ていないという。
1旬(10日:レルムは1カ月を3つの旬、3旬で捉える)から2旬ほどでロックシーカーの誰かが必ずここ毎月は買い出しに来ていた状態にもかかわらず、という事で店主も訝しむが、それ以上の情報は何も掴めずじまいに終わる。
代わりに、牛車に積まれてい荷物にギザ牙族の隠れ家から持ち帰った品々の箱にリネンの経営する「獅子盾商会」という武器防具店の印章箱があった事から、獅子盾商会にも顔を出すことにする。
ここで一行は、色々な話を効率よく確かめるため、それぞれに分かれ、各自で情報を収集して回り、手分けして入手した話を「ストーンヒル亭」で再び合流し、一旦整理することにする。

「幸運の社」に赴いたウルリッヒは、僧侶のガラエルが昨日やつれて帰宅した理由の聞く中、東の廃墟コニーベリーの北に森に住まうバンシーが英知と予言に長け、様々な問いに答えてくれる事を知る。
ガラエルはその「アガサ」というバンシーに司祭からの言付けである呪文書のありかを尋ねに行ったらしいが、アガサは現れず、途方に暮れて帰宅したとのこと。
ガラエルの代わりにアガサの元へと訪れ、司祭から託された質問への答えを持ち帰れば「ポーション・オヴ・ヒーリング」を人数分(4本)貰う約束で依頼を引き受ける。
加えて、ウルリッヒは帰り間際にガラエルから「宝石に彩られた飾り櫛」を預かった。
アガサに見せれば話を聞いてくれるはずだと彼女は言うが、所縁は不明のまま、その場を立ち去ることにした。

アリスは、リネン・グレイウィンドの営む「獅子盾商会ファンダリン支店」に牛車で武器防具の詰まった荷箱を届け、大いに感謝を受ける。
お礼は受け取らないつもりではあったが、口は悪いがきっぷうの良いリネンから隊商の届け料として、という形でゴールドを受け取り、情報も収集しようとするが、得られたのは町になる前から植樹していたエダーマスなら色々と詳しいかも知れないという程度しかなかった。

仕方なくエダーマス亭の大きなコテージを訪ねると、モンスターの縄張りとしてはファンダリン周辺を境にして西にギザ牙族、東にオークという脅威が増しているのは知っていたがそれ以上は有効な情報は得られず、また、アリスの心に根差したサンダツリーの話も、得る物がない状態だった。
昨晩の鉱夫たちや農夫たち同様、エダーマスの関心事もオークの蛮行や、そのオークが根城とする地域にうろつき始めたというゾンビの噂であり、アリスが話を持ち帰ったうえで、改めてゾンビが徘徊する廃墟の捜索依頼をエダーマスはアリスたちのパーティへ申し込みに行くと約束し、話を終えることとなった。

ムサシは、旅の出発当初から気に掛けていたハリア・ソーントンが所長を務める鉱夫交易所へ、昨晩に手八丁口八丁でやり込めた鉱夫ラナーを連れだって訪れる。
怪訝な面持ちを向けるハリアと二人っきりでこの町ファンダリンとレッドブランドの話を交わし、ハリアがレッドブランドの頭領が「ガラス杖(グラス・スタッフ)」といわれている者だと言うの聞き、自分の内の深いところ、心の奥底に潜む目的である人物が、まだこの町にいるらしい事を知る。
また、普通の町民以上に詳しいハリアに疑念を持ちつつも、ハリアの申し出を成功報酬として、持ち帰った時に考えることでうやむやにしつつ、ハリアがガラス杖を殺した証拠を持ち帰る事にはある程度了承する。
目端の鋭いムサシは、盗賊間のシークレットサイン、符牒があったことに気付いたのだ。
ここはファンダリンのゼンタリム支部、あのブラック・ネットワークと名高い悪の組織の建物だと気付き、ムサシは自分が気付いたことに気付かれない様に、自然な振舞でそっと外へと出ていった。

深い中ではないが旧知の仲でもある町長の元へと足を向けたヴェイトは、久々に見た懐かしい顔がやつれ、曇っている事を知る。
町長として様々な問題を抱えているハーヴィンの口から聞けたのは、オークの問題、町の調和の問題、つまりはこの町の行く末であり、ギザ牙族の話ではなかった。
ヴェイトはオークの問題を取り合う約束を交わすが、ここでもゴブリンとグンドレンの情報は得られず、町を出入りする鉱夫でもあまり出ないのか、ダラン・エダーマスやケリン・オルダーリーフなど、再建しつつある町の生き字引的な人物に聞いてみるしか、ほどの話があるだけで、若干顔色の良くなった自分より年下の壮年の男に見送られて宿に帰る事となった。


ストーンヒル亭に各自が帰宅し、昼御飯をとりながら各々の情報を交換して整理しようとすると、ここにシルダーも帰ってきて、シルダーが彼なりに調査したグンドレン関係の情報も聞くが、結果として収穫ナシと知って、一同は落胆する。
それでも、あきらめずグンドレンを救う意思を見せるシルダーが、依頼としてグンドレン救出を持ち掛け、これと同時に、シルダーの本来の目的である領主同盟の調査員「イアルノ・アルブレック」なる人物が、この町で消息を絶ったらしく、その行方探しへの協力も申し出る。
話に関連性が増したレッドブランドに話が及ぶと、ムサシがいつになく町の安全を守ろうと息巻き、皆を説き伏せようとする。
店主たちにも話を聞いてみると、町の住民が確かに困惑と怯えに慄いている事を一同は知る。
ここ最近では、この町に住む木彫り職人のセル・ゼンドラーも、歯向かった翌日には殺されたというのだ。

ムサシの情報も確かめるべく、たむろっていると聞いた場末の酒場兼宿屋である「眠れる巨人亭」へと来てみると、レッドブランドのガラの悪い連中が口汚く絡んできた。
ヴェイトに怯えながらも剣を抜いた彼らレッドブランドのならず者を待ち受けていたのは、圧倒的な魔力による爆殺と、研ぎ澄まされた矢弾の一撃、そして狂いなき正確無比な斧の一振り。
そして、軽妙なる足技を駆使した防ぎようのない急所への一刺しだった。

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